気持ちの境界線
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『はぁ~~~~~…』
「ユウ!朝から深い溜息吐いてどうしたんだよ」
寮から朝食の為食堂に向かって歩いていると、昨日どうだった?とエースに声を掛けられた
『いや~~それがさぁ、昨日…』
私はレオナ寮長とジェイド先輩に言われたことをそのまま話した
「なんだそれ!たった1日の間にとんでもないことになってんじゃん!」
『ホントだよ~もう悪化しかしてないよ』
「それで?どうするわけ」
『昨日ずーーっと考えてたんだけど、何も浮かんでない。
両方に真剣に話して断ろうかと思ったんだけど、そもそもあの人達本当に人の話聞かないで一方的に話進めちゃうからなぁ~
ああーーー!もうどうしていいか分からない!!』
頭をぐしゃぐしゃっとかきむしりたくなる
「どうしました、朝から大声を上げて」
『! ジェイド先輩…』
首元までキュッと締めたネクタイに、ピシッと制服を着こなしたジェイド先輩がまた後ろに立っていた
この人、気配なく人の後ろに立ってること多いなぁ
こんな風に今までも背後から観察されてたんだろうか…
「目の下に隈ができてますよ」
私の目元を黒い手袋で、スッ…となぞる
『お蔭様で寝不足です』
「先輩、こいつのどこが気に入ったんすか」
『なんだ、その質問!失礼な!』
「正直、分かりません」
ぶはっと噴き出してゲラゲラとエースが爆笑する
『くっ…なんだこの屈辱!』
「ジェイド先輩おもしれー!ユウ付き合っちゃえば?」
『エース!!人ごとだと思って~~!!』
「おや、まだ決心がついていなかったのですか。
今日は記念すべき交際1日目なのでお迎えに上がったのですが」
『付き合ってませんから!!』
「これから一緒に朝食を摂っても?」
『それは構いませんけど…』
「有難うございます」
先輩は嬉しそうにニコッと微笑む
うっ…
綺麗な笑顔
食堂に着くと、いつも起きるのがギリギリのエースと同じ時間になったのだから当然なのだがめちゃくちゃ混んでいた
『うわ…席あるかな』
「ユウさん」
ジェイド先輩の声がする方を向くと、こちらの席を確保しましたと手をあげて呼ばれた
『凄い!よく空いてる席ありましたね』
「丁度食べ終えた方々が席を立たれたもので」
こんな混雑した中からそれを一瞬で見つけて席確保まで出来たのが凄い…
「あっ俺の席も一緒に取ってくれてある!サンキュー先輩!!」
エースは席に筆箱を置いてお礼を言いながらすぐにビュッフェの列に走って行ってしまう
私は本当はいつも少し早めの時間に来るんだけど、エースは慣れっこって感じ
この時間帯はこんなにバタバタしてるんだ
『じゃあ私も料理とってきます!先輩は何食べます?』
「いえ、私が取ってきますのでどうぞ座ってて下さい」
『えっでも…』
「あれ程混雑している中に行けばまた誰かとぶつかってしまう危険性があります、ここはどうぞ私に」
『あ…ありがとうございます』
学校生活ってこの学校だと特に上下関係が厳しそうだけど、ジェイド先輩は歳下の私達にも敬語を使ってたり
なんていうか偉ぶらないんだな…
先輩に朝食取ってきて貰って自分は座って待ってるなんて、なんかそわそわしちゃうな
5分も経たないうちに先輩は自分と私の分のプレートを持って戻ってきた
「お待たせ致しました、どうぞ」
『! 私の好きなパンプキンミートパイにチーズクリームカレーもち、キャラメルカップケーキ!』
私の好きな物ばっかり…!
「クッソ〜!俺様の狙っていたミートパイ取られたんだゾ!」
『グリム!ごめん、忘れてた!
1人で起きれたんだね』
「そのミートパイくれたら許してやってもいいゾ!」
『え~~!?それだけ沢山のミートボール取ってきてるんだからいいでしょ!』
グリムが涎を垂らしながらミートパイを奪おうと、短い手でシャッシャッと奪おうとしてくる
滅多にメニューに出てこない大好物だもん
あげないぞ!
グリムに背中を向けてパクリとかぶりつく
「…おい」
『もう!しつこい!お座り!!』
振り返ってそう言うと、機嫌の悪そ~~な顔をしてレオナ寮長が立っていた
「…てめぇ、この俺を犬扱いか?」
『あ……レオナ寮長おはようございます…今のは違くて』
こここ怖い!
ライオンに睨まれたハムスター並に圧力のオーラが凄い
「まぁいい。それよりも初日からどれ…世話係をサボって優雅に朝食とは良いご身分だな」
『今、奴隷って言おうとしませんでした!?』
「朝の身支度、早朝マジフト練習の準備。全部お前の仕事だ」
『えっそれ何時起きしなきゃいけないんですか!』
っていうか…まだ世話係やるとは言ってない
言ってないけど、不機嫌過ぎて言い出せる空気じゃない
ちょっと時間置いて機嫌が良さそうな時にでも改めて言おう…
ジェイド先輩が、ガタッと立ち上がってレオナ寮長と向き合う
『先輩…?』
「あ?なんだお前…」
「申し訳ありませんが…
ユウさんは私と付き合う事になりましたので、レオナさんの世話係は出来なくなりました」
NOおおおおおおおお!!!!
ちょ、先輩!!空気読んでええええ!!!
「よく聞こえなかったな」
フンッと鼻で嘲笑する
普段ならレオナ寮長が怖くて殆どの人はすぐに、恐れ、謝り、こびへつらうのだろう
「どうぞお引き取り下さい、と申し上げました」
しかし、ジェイド先輩は気にも留めてない様子で淡々と続け
それがまた火に油を注いでいる
「はぁ?おいおい…誰に向かって口を聞いてるのか分かってるのか」
「勿論です。サバナクロー寮の寮長、レオナ・キングスカラーさん」
く、空気がいきなり痛い感じになってきた
エースとグリムは急いで食事をかき込んで、逃げるようにテーブルを後にした
わ、私もこの場から逃げ出したい…
「付き合う?笑わせてくれるぜ…
お前、オクタヴィネルの蛸にいつもくっ付いてる海藻だろ」
「くっ付いてるだなんて言い方は心外ですねぇ。彼とは利害が一致した対等な関係ですよ」
「今後の学校生活の為に契約を結んだって事か」
契約…?
レオナ寮長が何を言ってるのか分からない
「純粋な好意ですよ。貴方が信じられないのも無理はないでしょう」
「いちいち勘に触る野郎だぜ。
いいか、俺はなぁ…
面倒臭ぇ事は嫌いだが、自分の思い通りにいかない事はもっと嫌いなんだよ!」
す、凄い…ガキ大将のような台詞を堂々とカッコよさげに言い放った!
「コイツは絶対俺のものにする」
「おや、無謀な挑戦を好むとは知りませんでした。フフフ…」
私の話の筈なのに、完全に私の気持ちとか無視して話が進んでく…
しかも私にとってどんどん悪い方向に向かってるような気が!
この人達怖すぎる…!
平穏な学園生活を送れる未来が想像出来なくなった