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「”俺の下に付いて働け、そうすればお前は他の脅威から守られる”…ですか。いかにも彼らしいですね」
『ジェイド先輩はどう思いますか?
私言われるまでそんなに深く考えたこと無かったんですけど、確かに危ないのかもしれないと思って。
”サバナクロー寮長の付添い”になれば今より安全なのかなぁって…』
レオナ寮長は既に有無を言わさない様子で、
寮長の中では”決まりだな”みたいなことを一方的に言われて帰ってきてしまったわけなんだけど
この世界をよくわかってない自分だけで判断するより、
折角助けてくれると言ったジェイド先輩の意見を伺うことにしてオンボロ寮の談話室までわざわざ来て貰ったのだった
グリムはさっさと寝ちゃって…薄情者~~!
顎に手を当ててジェイド先輩が考え込む
『あの…わざわざオンボロ寮まで来て頂いてすみません、紅茶どうぞ』
「あぁ、お気遣いありがとうございます。
オクタヴィネル寮はモストロ・ラウンジを経営しているので煌びやかで賑やかですが、このような何もない所も静かで落ち着きますね」
にっこりと何の悪びれもなく微笑む
『褒めてませんよね、それ…』
「ところで」
「私をこちらに招き入れて良かったのですか?」
『えっどういう意味ですか…?』
フッと鼻で軽く笑ってジェイド先輩がゆっくり立ち上がる
「私の性別をご存じでしょうか」
『だ…男性です』
一歩ずつこちらへ近づいてくる
な、なんか怖い…
「その"脅威"とやらに私も含まれるのでは?」
『それは…』
思わず後ずさりするが後ろの壁に背中がぶつかる
「本当に危機感がないようですね」
『じぇ…ジェイド先輩…?』
ち、近い…
身体が触れそうな程詰め寄られ、先輩に当たった照明が影となって私に落ちる
こ、怖い!
ぎゅっと身体が委縮すると、私に掛かった影が消えて視界が明るくなる
恐る恐る見ると、ジェイド先輩が何かに驚いた顔をしていた
『…? あ、あの…』
「あぁ、すみません…今のはからかってみただけです」
『もう~!やめてくださいよ、怖かったです!』
「……」
今度は何故か急に黙り込んでしまった
一体なんなんだろう
「ユウさん」
『えっ…はい!』
急に名前で呼ぶなんて…
さっきからジェイド先輩の様子がおかしい
「私とお付き合いしませんか」
『…………えぇ!!!??』
な、な、なに言ってるの!?
「私は貴女に特別な感情を抱いているのかもしれません」
『えっいや、えっ!?しれませんって…』
「自分でもよく分からないんです、こんな感情は初めてなもので」
『な、何言ってるんですか?あっ分かった!さっきみたいにからかってるんですね?』
「いいえ」
からかってなどいない、そうジェイド先輩の目が訴えてくる
突然で信じられないけど、本気なの…?
『え、で、でも…先輩が私を知ったのは今日ですよね?』
私も今日ジェイド先輩のこと知ったわけだし…
「いえ、以前から貴女のことは観察していました」
『観察!?』
「えぇ、ちなみに貴女が女性だということもずっと前から知っていました。情報収集は私の得意分野ですから。
陸の世界の異性で魔法も使えないという貴女に興味が沸きまして、ちょっとした興味本位で生態観察をしていました」
『生態観察って…人を珍獣みたいに言わないでくださいよ』
ストーカー行為もどきを堂々と打ち明けてくるなんて
変な人が多い学校だとは思ってたけど、この人も礼儀正しい好青年に見えてちょっと変わってる…
「ずっと自分が観察してきた貴女にちょっかいを出そうとしているレオナさんが面白くない…そう、狙っていた獲物を横取りしようとされて腹が立つような…ただそれだけだと思っていたのですが」
『…』
(獲物って……言ってることはオモチャ取られた子供みたいだなぁ)
「貴女が私を怖がり拒絶しようとして、酷く胸が痛みました」
『…(嘘くさ~)』
シクシクと分かりやすい泣き真似をしだした
「だから私は貴女に異性として好意を抱いているのかもしれません、自分でも信じられませんが…」
先輩は、こんな不可解な事が…なんて呟きながら
また顎に手を当て眉間に深い深い皺を寄せて、先程よりもずっと真剣に考え込んでいる
『生まれて初めて告白されたのに素直に喜べない…』
そもそも本気で言ってるのかどうかも全く掴めない
やっぱり、からかわれてる…?
「そうです、私と付き合えば貴女は”脅威”の為にレオナさんに従う必要もなくなるのではないでしょうか」
『えっ…うーん、それは…』
どうなんだろう?
レオナ寮長に秘密を知られてしまったことに変わりない
例え”ジェイド先輩と付き合うからもう大丈夫です!”なんて言っても…
あの人なら納得するとは思えないし、秘密をネタに何かしら要求してきそうな気がする
『…って、そうじゃなくて!私ジェイド先輩のことよく知らないのにお付き合いなんて』
「付き合う前から互いの全てを知っているつがい等いませんよ、そんなものは付き合ってから知っていけばいいのです」
私の言葉に被せてグイグイ押してくる
この人こんなに押しが強い人だったの!?
「良かった、決まりですね」
『何がよかったの!?勝手に決めないでください!!!』
ああっもう!
レオナ寮長にしてもジェイド先輩にしても、
なんでこの人達勝手に決めちゃうの!