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鏡の間からサバナクロー寮へと入るー
わぁ…ハーツラビュル寮にはお邪魔したことあるけど、また全然違う
ここがサバナクロー寮かぁ
『レオナ寮長は何処に居るんだろう…』
辺りをキョロキョロと見渡しながらとりあえず真っ直ぐ進んでみると、
見たことある人が忙しそうに何か抱えて走っている
『あっ!ら、ラギー先輩!』
先輩はこちらに気付いたが、忙しくて手が離せないといった様子でその場から声をあげた
「あーっ来たんスね!レオナさんなら部屋に居るから!俺の後についてきて!」
『は、はい!』
知ってる人が居て良かった…
サバナクロー寮に知り合いなんて居ないし、知らない人に話しかけるのってドキドキするもんなぁ
ラギー先輩のことも知り合いって程じゃないけど…
あの時一緒に居たから、なんで尋ねて来たかは知ってるし
って…え!?
『ちょ、ラギー先輩!?
早い!!何処行ったの!』
おーい、何してんスかー!
と、通路のはるか奥曲がり角からラギー先輩が顔を出して呼んでいる
は、早い!!
目を離した隙にこれだけの距離を移動したの…?
さ、流石運動能力が高いと言われるサバナクローの副寮長!
『ま、待ってください!』
「遅いッスよ!早く!!」
『いや、ラギー先輩が早すぎ…ちょ、ま…ついて行かせる気あるんですかーっ!!』
全速力で追いかけて、ようやく見失わない程度の距離を保ちながらなんとかレオナ寮長の自室に辿り着いた
『…ゼッ…ゼェッ……わ、脇腹痛い…』
「あーあー、これだから他寮の奴は体力がなくてだらしないッスね。
レオナさーん、来ましたよ!昼間の」
昼間の、ってなんだよ…
くそぅ、ちょっと脚が速いからって……うぅ、脇腹痛い…
ベッドの上で悠々と寛いでいたレオナ寮長が、あぁ来たか…と起き上がりはせずにゴロリと体勢だけ変えてこちらを見た
「入学式典で着た式典服、クリーニングから戻って来ましたよ」
「あー、そこら辺置いとけ」
あぁ、遠くて何か分からなかったけどさっきラギー先輩が抱えてたのは式典服だったんだ
自分の分のついでにクリーニングから持って来てあげたのかな?
ラギー先輩って気が利くんだなぁ
「ダメっすよ!そこら辺に置いたら折角クリーニング出したのにレオナさん雑に扱ってぐちゃぐちゃにするでしょ」
「うっせぇなぁ…じゃあお前適当に閉まっとけ」
「…じゃあここにしまいますからね。レオナさん!聞いてます!?」
「あー…」
えー…っと?
気が利くんだなぁ、とかじゃなくてオカンと息子っぽいな…
ていうか私の存在、忘れられてる?
『このままこっそり帰ってもバレずに忘れて貰えたり…』
そろり、と後ろに足を進めてみる
「んなわけねぇーだろ」
『…で、ですよねー』
うぅ…怖いなぁ
一体どんな話をされるんだろう
良い想像が全く出来ない
「単刀直入に聞く。なんでお前みたいなのがこのナイトレイブンカレッジに居る?」
『…な、なんででしょうね』
「おい、俺の質問の意味がわからねぇわけじゃねぇだろう」
ギロリと鋭い目で睨まれて思わずびくりと肩が震える
『ほ、本当に自分もよく分からないんです!目が覚めたらあの棺だらけの部屋に居て…
皆みたいに魔法だって使えないし…
本当になんで私がここにいるのか…』
本当になんでなんだろう…
デュースの話では、ナイトレイブンカレッジから馬車で迎えられた時は嬉しかったと言っていた
だけど私は魔法が使えないんだから魔法学校に…魔法の鏡に選ばれる筈がないんだ
それに馬車の迎えが来た記憶が無いどころか、この世界についても分からない事だらけだ
「…成る程な、嘘はついてないようだが。じゃあこれからどうやってここで生きてくつもりだ?」
『? どう生きていく…とは?』
質問を返した私にレオナ寮長は、ハァーッと深い溜息を吐きながら呆れ顔をした
「ここは男子校だぞ?そしてお前は魔法も使えない…」
『はい…』
「俺のような広い心を持った奴ならともかく、低俗共がこの事を知ったらどうなると思う」
「飢えたハイエナの前で丸々太った豚がフラダンスしてるようなもんッスね、シシシッ」
『……!』
2人の発言にツッコミたいところがいくつかあったけど
確かにそうかもしれない
学園長が元の世界に戻る方法を見つけてくれるまで男の子のフリをしておこう、くらいの軽い気持ちで考えていたけれど…
もしかしなくとも私はかなり危ない環境にいるのかも
『だけど……どうするって言われても魔法が使えるようになるとは思えないし…』
「なぁ、ラギー。俺の身の回りの世話をする人手が足りてないんじゃねぇか」
レオナ寮長がニヤリと悪い笑みを浮かべたかと思うと、その言葉を聞いてラギー先輩も口角を上げた
「そうッスね〜、オレ以外にもう1人くらい欲しいと思ってたとこッス」
え…
な、何?どういう事?
「お前、今日から俺の下に付け」
『は……はぁ!!?』