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ドンドンドンッー
朝から誰かがオンボロ寮のドアを叩いてる
今日は学校お休みだからゆっくり寝ようと思ったのに…
『はぁ~い…』
「どうもー♪」
『ラギー先輩!?』
今度はなんだろう…
悪い人じゃないんだけど、なんだかんだこの人も癖があることを最近理解してきたから身構えてしまう
『どうしたんですか、こんな朝早く』
「朝早くってもう8時ッスよ」
そういえばサバナクロー寮ってマジフト部に入部してる生徒とか運動系の部の人多いんだった
朝起きるの皆早そう…
『今日はどんなご用ですか』
「いやぁ〜今日はユウさんに転寮に向けてサバナクロー寮1日体験をして貰おうと思ってお迎えに上がったッス!」
『はい!?なんですか、それ』
「言葉の通りッスけど、まぁまぁ百聞は一見にしかずって言うじゃないスか
説明するより実際に体験して貰った方がいいと思うんで着いて来てください」
『え…嫌です』
「まぁそう言わずに!」
『嫌な予感しかしないんでお断りします!ていうか転寮の話本気だったんですか!?』
「そうですか、じゃあ仕方ないッスね…」
あれ?意外にすんなり諦めて…
「おーい、出番ッスよ〜」
『!?』
ウス!と言って草むらからサバナクロー寮生と思われる大男が複数人出てきたかと思うと、失礼しますと言って私を軽々担ぎ上げた
『えっちょっと…』
「悪いッスね〜ユウさん、本当は手荒な事したくないんスけど…
オレはオレの為になんとしてもユウさんをサバナクロー生にするって決めたんで」
『は!?』
「じゃ、連れてって」
『嫌ーーっ!!人攫いー!誰かーーっ!!』
数分後ー
必死の抵抗虚しく私はサバナクロー寮に連れて来られた
「ようこそ、サバナクロー寮へ!」
『無理矢理連れて来といて何が"ようこそ"ですか!』
「じゃあまずは寮内を案内するッス、ここは見ての通り鏡の間から抜けたら最初に着く入口ッスね〜」
『見事なシカトっぷりですね…』
「知ってるかもですけどサバナクロー寮は夕焼けの草原出身者が多いんで獣人が殆どッス。なんでそれに適した寮の造りになってるッス」
あ、これ絶対1日体験終わるまで帰らせてくれない感じだ
『はぁ…分かりましたよ、1日体験します』
そう言うとパッと晴れた笑顔に変わって手を掴み腕をブンブン振った
「前向きに考えてくれるんスね!良かった良かった!!」
『あの…なんで私をそんなにサバナクローに転寮させたいんですか』
「…気付いてないんスか」
『何を?』
「はぁーーっ!!こりゃあのジェイドくんもレオナさんも苦労しますわ〜」
叫びながら頭を抱えてしゃがみ込んだ
『よく分からないけど馬鹿にされたのは分かりましたよ!』
なんで私の転寮の話にジェイド先輩とレオナが出てくるの?
「こないだもチラッと匂わせといたのに鈍すぎッスよ…
どう考えてもレオナさんユウさんのこと好きでしょ」
『は……はあぁ!?無いない!それは無い!!』
レオナの何処らへんからそう思ったの
明らかに私の事からかいがいのあるオモチャくらいにしか思ってないでしょ
「いいッスか?レオナさんは基本的に面倒臭がりで何かに興味を示すことも殆どないです
それがユウさんに関してはどこか惹かれてる」
『だからどこでそう思ったんですか』
「鈍感通り越して馬鹿ッスか」
『ば…っ』
「嫌いな人間にキスすると思います?」
『…!』
「もっと言えば、ユウさんが挨拶出来ない人間は嫌いと言っただけでレオナさん初めてオレに謝ったんスよ
普通何とも思ってない人にそんな事言われてあのレオナさんがそんな事すると思いますか」
『……レオナが?私を?』
「ま、本人がそれを自覚してるかは怪しいッスけど…」
にわかには信じられない
確かに嫌いな人にキスするなんて私なら絶対出来ない
でもキスされたのは、レオナにとって何ともない事だからだと思い込んでいた
だってキスくらいって言ってたし
ラギー先輩に謝ったのも私が言ったから…ってだけじゃなくて
レオナ自身ラギー先輩に悪いと思ってたからしただけで
でも今まで一度も謝られたこと無かったのにってラギー先輩言ってたっけ…
え?じゃあ本当に私が言ったからなの…?
『でも…本人がそう言ったわけじゃないんですよね』
「オレ、初めてレオナさんのこと可哀想って思いましたわ」
『だ、だって!そんな事言われたって…そうなんだーレオナ私のこと好きなんだーって普通思えます!?』
「いや思って欲しいんスけど…
まぁまぁユウさんがゲームに出てきそうなレベルの超の付くド天然鈍感娘って事はよーく分かったんで」
『ちょいちょい馬鹿にしてきますね』
「それを自分で確認して貰うためにもこの1日体験はうってつけじゃないスか」
『うぅ…確認するの?』
「真剣に向き合ってる人に背中を向けるんスか」
『! 聞いてたんですか!?』
「良い雰囲気になって来たら退散したんで途中までッスけど
陰ながら見てるって言ったでしょ?」
全然気付かなかった…
一体どこに隠れてたんだろう
「あれぇ~偉そうにレオナさんに言っといて自分は逃げるんスか~?」
『は、腹立つ…!!でも言い返せない…!』
「シシシッ!じゃ、レオナさんとこ行きましょうか」