気持ちの境界線
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「アズールが本当に失礼をしました」
『いえ、気にしてません。アズール寮長もジェイド先輩のことが心配だったからみたいですし』
「ああっなんて優しい方でしょう!
ところで私、名案が浮かんだのですが…いっそ女性である事を公開してモストロ・ラウンジの看板娘として客引きすればさぞ大繁盛するとは思いませんか!」
「アズール、いい加減にしなさい」
「アハッ、ジェイドがキレてんの久々に見た〜楽しいねぇ小エビちゃん」
『ふふっ本当仲良しですね』
「まぁ良いでしょう…
ですが貴女の置かれた状況は危うい物なのは確かです。私と契約したくなったらどうぞモストロ・ラウンジに」
『…考えておきます』
「大丈夫ですよ、私がお守りします」
ジェイド先輩に優しく微笑まれる
この笑顔を怖いと思う時もあるけれど、心底安心する
「もう遅いですから寮までお送りしましょう」
『ありがとうございます』
鏡の間を抜けてオンボロ寮へと歩いて行く
暫く無言が続いて少しそわそわする
何か話した方がいいかな…
「先程の…」
『は、はい!?』
急に話しかけられて思わず声が上擦ってしまった
「私とのお茶が楽しみというのは、特に深い意味は無い…んでしょうか」
『……』
「最初は貴女の何処を好きになったのか、いつの間に好意を抱いていたのか私自身分かりませんでした
ですが今では…
貴女が目を輝かせていたり喜んでいたり笑って下さると胸が熱くなります」
暗い夜道の中、ジェイド先輩の声だけが聞こえる
「貴女と会えない時間に、貴女の事をずっと考えてる自分が居ます
アズールが心配したのはそんな私を見ての事かもしれませんね…
彼とは昔から一緒に居るので私の変化に私より気付いていたのかもしれません」
『本当に…仲が良いんですね』
「貴女に嫌われたくない
ですが貴女と離れている時間は不安で堪らなくなります…」
ジェイド先輩が心の内をこんなに話してくれるなんて…
その想いに胸がキュッとなる
『私…は…』
ジェイド先輩の気持ちにすんなり応えられたらどんなに良いだろう
だけど真剣に想ってくれてる
私も真剣に向き合いたいからこそ、いい加減なことなんて…言えない
「……困らせてしまいましたね、申し訳ありません
私とした事が少々焦り過ぎたようです。
本日は有難う御座いました」
『…こちらこそ有難うございます、とても楽しかったです』
「次はデートのお誘いをしても?」
『! …は、はい』
「良かった、では私はこれで」
そう笑って背中を向けたジェイド先輩はなんだかとても切ない顔で無理して笑顔を作ってるように感じて
私は先輩の背中に向かって口をついて叫んでいた
『…あの!私…!
本当に経験不足っていうか…恋愛の好きって気持ちかどうかとか未だに分からなくてきちんとお返事出来なくてごめんなさい!』
ジェイド先輩は振り返ってじっと私の話を聞いてくれてる
『でも…私、さっきも言いましたけどジェイド先輩とのお茶の時間楽しいです!かっこいいなって思う事も正直あります…それと私も先輩が笑ってくれると嬉しいです!』
ああ、何言ってるんだろう私
支離滅裂かもしれない
だけどジェイド先輩のあんな表情見たら何も言わずには居られなかった
『い…今の私に言えるのはこれだけなんですけど……
つまり私が言いたいのは…』
「ユウさんは本当にお優しいですね
それだけ聞ければ今は充分です」
先程までの切ない表情からいつもの優しい笑顔に変わり微笑んでくれた
「またかっこいいと言って頂けるよう尽力します」
その時珍しく歯を見せて笑ったジェイド先輩はそのままの素顔を見せてくれた気がした