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ナイトレイブンカレッジに入学してから早数ヶ月
春のポカポカした陽気が段々と厳しい日差しになってきた
「ユウさーん!」
『あ、ラギー先輩。こんにち…』
前から走って来たラギー先輩にいきなりガシッと両肩を掴まれた
『!? な、何ですか!?』
「れ…レオナさんがおかしいんスけど今度は何言ったんスか!」
『おかしいってどんな風に?』
「"おいラギー悪かったな"って言ったんス…」
『あっちゃんと謝ってくれたんですね!良かった』
「オイラギーワルカッタナって何語ッスか!?人語でも獣人語でも聞いた事ないんスけどっ」
『え……?普通に人語じゃないですか』
「オイラギーワルカッタナですよ!?」
『何回言うんですか…』
「レオナさんには今まで散々色んな目に合わされて!嫌な役もやらされてきたけど!!
謝られた事なんて1度も無かったんス!」
『ええっ…本当ですか!?』
「マジ!大マジッス!!一体何を言ったらレオナさんからあんな言葉が出てくるようになったんスか」
1度も謝った事が無かったというレオナもある意味凄いけど…
そんなレオナをずっと支えてきたであろうラギー先輩の精神力というか忍耐力というか…凄まじいなぁ
尊敬してしまう
それにしてもラギー先輩のこの慌てぶり…本当の本当に謝られた事が無かったのが分かる
何を言ったらって…
『…そういえば挨拶出来ない人嫌いって言ったかも』
「は?」
ラギー先輩はポカンと呆気に取られた顔をしている
『挨拶出来ない人は嫌いって…』
「いやいやいや、冗談ッスよね?」
『いや、ほんとに…』
「それだけ…?」
『はい』
「………」
『先輩?』
「ユウさん!!アンタはオレの希望の光ッス!」
『突然何ですか!?』
「どうかサバナクロー寮に来てください!!そしてレオナさんの側に居てください!オレを助けると思って頼むッス!」
『ええ!?な、なんで?』
「転寮の手続きとか面倒なことは全部オレがやるから大丈夫ッス!」
『答えになってない!』
「ユウさんはただレオナさんの側に居てくれれば!!
この通りッス!!」
ガシッと両手を握られ頭を下げられた
え、何なになに!?
転寮って…私がサバナクロー寮に?
意味が分からないっていうか頭が追いつかない
『いやあの、ラギー先輩…』
「誰の許可を得て触れているんですか」
私の手を覆っていたラギー先輩の手を掴みギリギリと握力だけで離してみせた
「…痛っ!何するんスか」
「それはこちらの台詞です」
『ジェイド先輩…こ、こんにちは』
「今日は」
ニコッと私に笑って見せたが怒っているのが分かる
「ライオンの差し金ですか」
「オレの独断…って言ってもどうせ納得しないでしょ」
「当然です」
「アハッ…コバンザメちゃんじゃーん。絞めるの~?」
「! 片割れも居たんスか」
物騒な事を言いながらダラダラと歩いてやってきたのは、ジェイド先輩と双子であるフロイド先輩だった
ジェイド先輩と同じくらい長身でガタイの良い体格をしており2人が並ぶとそれだけでかなりの威圧感だ
「フロイド、寮で待ってるように言ったでしょう」
「え~だって待ちきれなくって。あ、監督生ってお前?」
フロイド先輩がぴっと指差して大きな身体を屈めるようにして顔を覗き込んでくる
ちょ、ちょっと怖い…
『! は、はい』
「ふ~ん、小さくってビクビクしてて可愛いじゃん」
「フロイド、彼女が怯えてます」
ジェイド先輩に掴まれていた手をバシッと振り払ってラギー先輩が背中を向けて去っていく
「まぁどう思おうと勝手ッスけど、オレはオレの為に動かせて貰うんで」
「覚えておきましょう」
ラギー先輩、何だったんだろう
転寮ってまさか本人の関与しないところで手続き完了したりしないよね…
「大丈夫でしたか?」
『あっはい…っていうか別に絡まれていたとかじゃないです!なんかラギー先輩興奮気味ではあったけどお話してただけですよ』
「全く…ハイエナに鎖くらい付けておいて欲しいですね」
『……』
聞いてないし
「今日はオクタヴィネル寮に招待したくて参りました」
『…転寮ではないですよね?』
「フフ、ええ違いますよ」
「ねぇ小エビちゃんはさぁ~オレ等の寮来たことある?びっくりするよ~」
『小エビ?』
「ビクッて飛び跳ねたじゃん」
んん?もしかしなくとも小エビって私のこと?
「すみません、フロイドは海の生き物に当てはめてあだ名を付ける癖がありまして」
『小エビかぁ…どうせならもっと可愛いお魚が良かったな』
「えーどんな?」
『えっとクリオネとか』
「クリオネは魚じゃなくて巻貝だしー」
『えっそうなんですか!うーん、じゃあ金魚とか』
「ぶっぶー金魚ちゃんはもう居るからダメ~~」
『えー!!』
(フロイドが嫌いにならないか不安でしたが杞憂でしたね
意外に馴染んでいる…)
「そろそろ向かいましょう」