やればできる子
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
知ってる事ばかりで退屈な授業を終わらせて、ユウのいる1年生の教室に向かう
「~♪」
今日はユウが弁当を作るって言ってたから、庭園…いやあんまり人が居ねぇとこの方がいいな
植物園にでも行くか
「おい、ユウ…」
1年の教室に着いて、入口から教室内を覗き込んで声をかけようとすると同級生と楽しそうに笑いあってるのが見える
『あはは、さっきも後ろから見てて頭ガクンガクンさせてたよ~!!トレイン先生、めちゃくちゃ睨んでその後なんかチェック付けてたよ』
「マジかよ~!絶対寝てんのバレて減点されてんじゃん、それ!起こせよー!」
『いやだって床に落ちそうなくらい斜めになってて…ぷぷ、面白過ぎて…アハハハハ!』
「ひっでぇ、ユウ!お前が寝てても起こしてやらねーからな」
ズカズカと教室の中に入って行き、同級生の目の前に仁王立ちする
「おい、俺の女と愉しく談笑中のところ悪いんだけどなぁ…昼休みが終わっちまうだろ?」
「えっ……あの、す、すみませんでした!」
『ちょ…レオナ!』
ごめんね、と小さく同級生に手を振るのを横目で睨みつけながらユウに教室の外に押されて出される
そのまま植物園へ向かって、ユウの作った弁当を受け取って2人で食べ始めた
弁当は俺の好きなものを詰め込んでくれたようだ
野菜も入っているが…仕方ねぇ、残すわけにいかねぇからこれも食うか
『来てたなら声かけてくれたら良かったのに』
「かけたろ」
『えっ本当?気付かなくてごめんね』
「楽しそうに話してたもんなぁ」
ムスッとしながら答えるとユウはニヤッと笑った
『え~?もしかして嫉妬してたりする?』
「あぁ」
『えっ…』
素直に認めたのが意外な反応だったようで、ユウが赤面する
くそ…腹立ってんのにコイツのこういうとこが可愛くて堪らねぇ
『べ、別にただのクラスメイトだからね?
レオナが心配するようなことはないから…!』
嫉妬してるといった俺を心配させまいと必死に弁解しだした
「へぇ…向こうはそのつもりかもしれねぇけどな?」
『それはないよ~私全然モテないもん、ないない!』
アハハと呑気に笑ってるコイツはここが男子校で、
自分がこの俺様と付き合ってると公言してるにも関わらず同級生・上級生問わず人気があることに気付いてねぇらしい
俺が卒業したら今の1・2年が…
いやもしかしたら、新しく入ってくる新入生すらコイツにちょっかいを掛けだすかもしれねぇ
「…どうする」
『えっ何?』
「いや…こっちの話だ」
レオナは何か深く考え込んだ様子だったーー
ーーーーーー
数日後ー
「ユウさーん!」
廊下の向こうからラギー先輩が走ってきた
なんだか慌ててる様子だけど、どうしたんだろう?
『ラギー先輩、今日は。どうしたんですか』
「レオナさん見てないッスかね」
『レオナ?今日はまだ見かけてないですけど…何かあったんですか?』
「ここ数日ずっと授業をサボってるんですよ。今までも数日に1回くらい授業サボるのはまぁ日常茶飯事だったんですけど、最近は完全欠席を続けてて…!」
『えぇ!?』
「理由聞いても、しつけぇとしか言われなくって困ってるんスよ…
しかも何処探しても見つからなくって」
『ゆ、行方不明ってことですか!?』
「あ、違うんス!言い方間違えてすんません…
寮には朝と夜居るんスよ、ちゃんと帰ってきてはいるんすけど何故か授業に全く出なくなって…
何か心当たりとかないッスかね」
『ちょっと分からないですけど…私も探してみます!』
「お願いします!」
じゃあ、とラギー先輩はまた探しに走って行った
レオナ何処行ったんだろう…
3年生の教室、マジフト部の部室、運動場、庭園、食堂、植物園と…
思いつく限りの場所を探し回ったが見当たらない
もう寮に戻ったのかな
明日朝一でサバナクロー寮に行ってみようかな
一体どうしたんだろう…
暗くなってきたので一旦オンボロ寮へと帰った
『ただいま〜…』
少し疲れたのでベッドに倒れ込む
ドスッーー
『いたっ』
「いてぇ!」
倒れ込んだベッドで何かとぶつかった衝撃を受けた
ど、泥棒!?
あわあわと慌てふためきながら近くに何か武器になりそうなものはないか手を彷徨わせる
「何を不審な動きしてんだ、お前は」
『れ、レオナ!?』
ふわぁ、と大きな欠伸をしながら頭を掻いている
まるで自分の部屋のように寛ぎながら起き上がったのは見覚えのある人で安心する
『あぁ〜…怖かった、泥棒かと思った…』
「こんなオンボロ寮に泥棒に入る奴が居るか?明らかに金目の物なんか無ぇのが外観一目みりゃ分かるだろ」
『そ、そっか…確かに…って!レオナ!!!!』
「あ?なんだ、急にでかい声出しやがって…」
『なんで授業サボり続けてるの!?ラギー先輩が探し回ってたよ!』
「あー…」
どうして突然そんな事するようになったのか何か理由がある筈
私もしつこいって言われるかな…?
だけど心配だ
『私にも言えないことなの…?』
「…そんな大した事じゃねぇよ、ただお前の側にずっと居たいって思っただけだ」
『……??ごめん、全然意味がわからない…
欠席し続けてることと、私とずっも居る事のどこが結びつくの?』
「俺が卒業したらどうなるか考えたことあるか」
『え、レオナが卒業したら…?
レオナは自分の国に帰っちゃって私はあと2年間はナイトレイブンカレッジ…だよね?…考えたら寂しいんだけど!』
「そうだよなぁ寂しいよなぁ」
レオナはにんまりとして私の頭を撫でる
「じゃあその問題を解決するにはどうしたらいいと思う?」
『え、どうしたらいいの?』
「俺があと2年ここに居りゃいいんだよ」
『えぇ!?ももも、もしかして欠席してたのって留年しようとしてる!?』
「あぁ、別に元々帰りたくもねぇからな」
丁度いい、と何でもない事のように笑う
『えええ…何言ってんの!?それは駄目でしょ!』
「俺がいない学校生活は寂しいんだろ?」
『う…それは寂しいけど』
「それになぁ、こんな可愛いやつを他の雄共が放っとかねぇと思ったら気が気じゃなくてなぁ」
頭を撫でていた手がするりと頬へと落ちてきて、優しく頬を手の甲で撫でられ頬が赤くなる
か、可愛いって言われた…嬉しい
ーーじゃなくて!
流されちゃだめだ、レオナは一度言い出したら中々撤回しない
どうしたらいいのかな…
『………じゃあ、私が学校やめる』
「は!?」
『レオナが留年するのはだめだよ、帰りたくなくってもレオナは第二王子だもん』
「そんなもん別に…」
『レオナが何て言おうと王子様なのは変わらないでしょ!
でも私は元々選ばれてここに来たわけでもないし、魔法も使えないから学べることも少ない…
居場所がなくて置いて貰ってるだけだよ』
「…やめて何処行くってんだよ」
『うーーん…レオナのお嫁さんにして貰うとか?』
なんちゃって、と言おうと笑うと両手でグイッと抱き寄せられた
「…言ったな?」
『え』
近い、キスしそう
「今の言葉もう撤回できねぇぞ」
『……』
初めて見るくらいにデレデレの笑顔で笑うレオナの顔を見て
冗談、なんて言える雰囲気ではない
だけどそうなったらいいな、なんて淡い期待は抱いていたから
まさかの歓迎でとても嬉しい
『お嫁さんにしてくれるの?』
「望むなら、お前をお姫様にも妃にだってしてやるよ」
『じゃあ…留年してたら格好つかないね?』
照れながらそのままクスクスと笑うと、更に強く抱きしめられてもっと近距離になる
唇が触れてしまいそうな程顔を近づけてくる
「俺と駆け引きしようとはやるじゃねぇか…じゃあ未来のお姫様に"必ず主席卒業して迎えに来る"と誓いのキスを」
『ま、待ってレオナ…そういうのは将来を誓い合ってる…』
「今、誓いあったろ」
流石の呆れ顔にも納得してしまう
動揺しすぎて自分でも何を言ってるかよくわからない
『ほんとだ!!えーっと…お、大人になってから…その、約束が守られた時に…?』
「お前…それだけ俺を待たせるなら、その時はキスだけで済むと思うなよ」
『ひぇ…』
ますます頬が熱く赤くなっていくのが自分でわかる
ぎゅーっと抱きしめられながら
「今はこれで勘弁してやるよ」と囁かれた
ーーーーー
その後ー
レオナは至って真面目な優等生のごとく授業に出席・好成績を取り続けて、周りからは
"嵐の前触れ"
”雷に打たれたのだ”
"不吉にも程があるわ"
などなど…急に本気を出した"やればできる子"のレオナに対して、学園中を生徒に限らず教師陣までもどよめき続けた
何か魂胆があるのでは、と疑い監視を続ける人も出た程だった
その一方で、学園が休みの日にはレオナの故郷である夕焼けの草原に連れて行ってもらいご家族…王族の方々に紹介をして貰った
異世界から来た魔法も使えない私を紹介して
「卒業したらコイツと結婚する」
とだけ言い放ったレオナに対して、従者の方々は失神する者や慌てふためく者が大半の中
お兄様のファレナ様やそのご子息である王子のチェカ様達は意外にも
"あのレオナが女性を紹介した!愛する人を見つけたのだ!"と大歓迎で大規模な宴を開かれたが、親類とのやり取りを嫌がるレオナに連れられ途中で抜け出すこととなった
後日お詫びの手紙を改めて送ると、
"丁重に王族の一員としてもてなしたい、是非今後ともレオナをよろしく頼む"
と王様からお返事が届き、私も困惑した
学園側にもレオナの卒業と同時に、夕焼けの草原へ移ることを学園長にお話に行くと
"代わりの記録係を探さなくては…"と意味不明なことを言いながらも了承してくれた
こうしてとんとん拍子に事は進んでいき
遂にレオナは約束通り、皆勤賞からは程遠いが成績は間違いなくトップの主席で卒業を迎えた
『卒業おめでとう、レオナ』
「あぁ、約束……忘れたとは言わせねぇぞ」
『忘れるわけないよ』
「これでお前は俺のものだ、ユウ」
式典でも面倒くさがって髪も整えずに過ごしてきたレオナが今日だけは珍しく髪を整えて結っている
式典服までキッチリと着こなして、いつも以上に素敵だ
綺麗でゴツゴツとした手が伸びてきて私の頬を包む
この日をずっと待ちわびていた筈なのにドキドキして顔が見れない
伏し目がちにレオナの式典服を見つめてしまう
「こっち見ろよ」
『恥ずかしい…』
グイッと顔を指先で持ち上げられるとレオナと目が合って、今度は視線を逸らすことさえできない
「フッ…顔真っ赤にして、可愛い奴だな」
『レオナ…好きだよ』
恥ずかしさで死にそうになりながらも、ずっと想ってた気持ちをそのまま伝える
レオナが目を優しく細めて笑って
「ユウ、俺と結婚しろ」
『喜んで』
長い前髪が頬に落ちてきて触れる
緑色の綺麗な瞳が閉じていき
優しく唇と唇が触れたーー
「愛してる」
その後
”第二王子はお嫁様の言ったことしか聞かない”
なんてデレデレのバカップル夫婦が夕焼けの草原で有名になるのはもう少し先のお話。
1/2ページ