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『明るくて優しくて誰にも分け隔てなく接するカリム様…
今日も無垢な笑顔が眩しい!
もっと近くに…
お側に居たいのに…!
あぁ…カリム様とのこの距離が憎い!!!!』
「ん?なんだ?」
「当然だ、お前のような奴が一番何をしでかすか分からないからな」
カリム様と私の間に座ってるジャミル・バイパー…
あぁ、本当に…!
『どういう意味?私のカリム様への愛が偽物だとでも言いたいの?』
「好意に見せかけて近寄って来た奴等はこれまでも五万と居たからな」
『カリム様に害なす者と一緒にしないでよ!!』
「どうだかな…」
「まぁまぁ2人共!喧嘩はそのくらいにしとけよ!そんな事より腹減らないか?」
『あっ私サンドイッチ作ってきました♡』
「おっ食べていいのか!?」
『はい♡』
「駄目だ、毒が入ってるかもしれない」
『入れてるわけないでしょ!!』
「入ってないって言ってるぞ?」
「カリム…」
はぁ、と溜息を一つ吐いた
「百歩譲ってお前が入れてなくてもここに運んで来るまでの間に誰かが入れてるかもしれないだろう」
『そんなに疑うなら私が食べてみせるわよ!そしたらカリム様にも食べて頂けるんでしょ!?』
「それも駄目だ。複数個ある場合、入ってない物だけ食べて安心させておいて毒入りを食べさせる可能性がある」
『じゃあ貴方が指定した物を食べるわ、それでどう?』
「駄目だ、僅かな可能性であろうと毒が入ってるかもしれない他人の手作りをカリムに食べさせるわけにはいかない」
『そんな……折角作ったのに酷い…』
「泣き落とししようとしても駄目なものは駄目だぞ」
「泣くなユウ」
カリムがサンドイッチを手に取り口に運ぶ
それを瞬時に止めて手からサンドイッチを奪い取る
「カリム!」
「だって折角作ってくれたんだし…良いんじゃないか?1つくらい食べても
きっと大丈夫だ!」
『カリム様…!』
「何の根拠もないだろう…」
「どうしても駄目なのか?」
「はぁ、分かった。じゃあ俺が毒味したものを食べるならいい」
「ジャミル!!」
『ロン毛……』
「誰がロン毛だ」
ぱくっー
「特に問題は無さそうだな……ん?」
『あーーっはっはっ!食べた!食べたわねジャミル・バイパー!!』
「うぐ…っ」
「な、なんだ!?本当にオレを殺そうと毒を入れたのか?」
『何言ってるの?カリムくんなんかどうでもいいのよ!!』
「えっ!?」
『私が本当に好きなのはジャミル様♡
褐色の肌に鋭い目、綺麗な長い髪、思慮深い性格…大好き!!』
「ええっそうだったのか!?」
『確かにカリムくんはちょっと邪魔だったわ!だってジャミル様はいつでもカリムカリムカリム…!!
従者だから仕方ないけどちっとも私の事見てくれないんだもの!
だからカリムくんに近付けば嫌でもジャミル様は私を見てくれるのよ…!』
「な、なるほど…それはなんか悪かったな」
『謝らなくていいわ、カリムくん!!
だって貴方のお陰でジャミル様に惚れ薬入りサンドイッチを食べて貰えたんだものーーっ!!ホーッホッホッ!』
「な、なんだって!?大丈夫か、ジャミル!しっかりしろぉ!!」
「盛り上がってるとこ悪いが…カリムに盛られた毒には惚れ薬もあったからな
とっくに耐性がある」
『ええっ効かないの!?』
「あぁ」
『そんな…』
今度は本当に愕然としてポロポロと涙を流した
「薬を盛っておいてその涙はなんなんだ…」
「ジャミル、惚れ薬を盛ったとはいえ好きだって言ってくれたユウにちゃんと話してやるべきだと思うぞ!」
「そうだな…… ユウ」
『ジャミル様…?』
「俺が好きなら心労増やすことしないでくれないか」
『はあぁ!?私だって最初は普通にアピールしてたわよ!
気付いてる癖に気付かないフリしてたの分かってるんだから!この薄情男!!』
「そ、それは俺はこの誰でも信用してしまう無鉄砲な奴の従者だから…
どう考えても恋愛なんかしてる余裕なんて無いだろう」
『じゃあ私の想いはどうなるの!?仕事と私どっちが大事なのよおぉっ』
「仕事だ」
『知ってるわよっ!!そこは嘘でも迷ったフリしなさいよ告白してるんだから!!』
「おぉ…ドラマで見た事ある修羅場みたいだな」
「カリム少し黙っててくれないか」
『うぅ…酷い、本当はもっと違う…
こんなんじゃなくてちゃんと告白したかったのにジャミル様は私の気持ちに気付かないフリするから私はこうするしか無いじゃない…』
「それは…その、すまなかった
正直諦めてくれるんじゃないかと残酷な事をしたと思ってる」
『別に1番は私じゃなくてカリムくんでいい…だから付き合ってください』
「気持ちは嬉しいが…
俺は従者としての自分の務めを全うする為、カリム以外の者の為に時間を作る事は出来ない」
『分かった……
ジャミル様が従者の仕事を何より優先してきたのは知ってる、ずっと見てきたんだし』
「分かってくれたか…」
『じゃあ私は、カリムくんの従者をするジャミル様の従者をするわ!』
「は、はぁ!?」
「オレの従者の…え、なんだ?よく分からなかったぞ」
『そしたら私はジャミル様とも一緒に居られるし、ジャミル様の仕事のお手伝いも出来るんだからお互いに損は無いでしょ!?』
「なるほどなぁ…!」
「成る程じゃない!断る!!」
『断るのを断ります!!
私はジャミル様が好きなの!傍に居たいの!私との時間を作ってくれなくていい、勝手に傍に居させて貰う事に決めました!!』
「愛されてるなぁジャミル!」
「なっ…!」
『従者のお仕事の邪魔はしません…お側に居させてください』
カリムの従者をしてきて嘘を吐いてる人間の目はすぐ分かるようになった
だからこの偽りの無い潤んだ瞳が本心だと分かる
「どうしてそこまで俺なんかに執着する…」
『好きだからじゃいけませんか?そこに理由なんて無いです』
今までも告白紛いの事は言われてたはずなのに、直球で言われてドキッとする
「好きにしてくれ」
『! ありがとうございます!!』
カリムを狙って様々な方法で俺に近づいて来た奴等は沢山居た
だが純粋に俺だけに好意を持って気持ちをぶつけてきたのはお前が初めてだ
本当は心の何処かで嬉しかった
いつか俺がこんな風に感じた事を伝えられる日が来たら…
お前はどんな顔をしてくれるだろうか
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