史上最強の妹ちゃん
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俺には妹がいる、名前はアヤノ。
今年からZ市の高校に通っているーー正真正銘のJKである。
俺の妹ながらアヤノは成績優秀で学校での評価も良く、誰にでも優しく可愛い上に家事もそつなくこなせる兄としては実に鼻が高い、良く出来た妹だ。
そんな「完璧」を絵に描いたような妹。
昔は気づかなかったが今、一緒に生活する様になってアヤノにも重大な欠点がある事に俺は気がついた。
それはーー
「カメカメカメッ!!怪人トゲカメ様がこの娘は頂いていく!」
「……またか」
逃げ惑う人々、破壊された街の中心でふざけた笑い声をあげ上機嫌に笑う怪人。
そんな怪人の手にはくたりと力なく気を失ったアヤノが握られているではないか。
「俺の妹にーー」
「何だ貴様は」
「気安く触れてんじゃねーよッパンチ!!」
俺は問答無用で怪人トゲカメ様とやらに殴りかかる。
いつもの如くワンパンで終わる闘い。
吹き飛んだ怪人の肉体、千切れた腕からオモチャの様に放り出された妹の身体をしっかりと抱きとめ怪我がないかをチェックする。
ーーそう妹、アヤノは何故かやたらと怪人に捕まる体質という欠点を持っている事だった。
血の気が引いていて顔色は悪いがこれは毎度の事で、顔色以外は特に目立った怪我はない様で一安心である。
『お、にぃ……ちゃ、ん?』
「おー起きたか」
『うん…助けて、くれて。……ありが、とう』
「おー気にすんな。って、おいまだ立つな、危ねぇだろ?」
『もう、大丈夫、だよ?』
フラフラと立ち上がるアヤノ、その様子はどう見ても大丈夫そうではない。
数歩進んで座り込み膝が震えているのか、立ち上がろうにも立ち上がれない妹の姿に俺はボリボリと頭をかく。
ーーたく、仕方ねぇ……だからまだ立つなって言ったんだ。
「ほら、乗れよ」
『お兄ちゃん……うん、ありがとう』
アヤノの前に膝をつき背中を見せる、催促する様に肩を叩くとアヤノはためらいながらもしっかりと肩に手をまわした。
そのままアヤノを背中にのせると歩き出す。
『お兄ちゃんは、やっぱり私の、ヒーロー、だね……大好きだよ、お兄ちゃん』
俺の首筋に頬を擦りよせ、俺の耳元で俺にしか聞こえないぐらいの小さな声で甘えた声を出したと思ったら静かに眠りにつく、我が妹。
何処でそんな小悪魔テクを習得したのか……気恥ずかしくなって思わず顔が赤くなるの俺と、幸せそうに寝息をたてスヤスヤ眠るアヤノ。
「はぁ……とりあえず、帰るか」
俺はアヤノを背負い直しアパートへの帰路につく。
もう一つアヤノの欠点。
ーーそれは〈俺の妹は史上最強に可愛い〉ことだ。
変な虫が付かないか、今からお兄ちゃんは心配なのである。
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