ここはどこだろう…。

だんだん身体が沈んでいく。
海の中のだろうか。
水面に向かって伸ばす私の手は小さく、届きそうにない。
視界には一面の青とわずかな気泡。

苦しい…。

だけど、

これで終わる…。

なぜか恐怖はなく、穏やかな気持ちで力を抜く。

あぁ…、やっと…。

……。

ーーーー
頭に触れる柔らかな動きにうっすらと目を開ける。
そこには木漏れ日とクラピカの優しげなまなざしがあった。

｢ん…、クラ…ピカ…？｣
｢あぁ、起きたのか。｣
クラピカは微笑んで、頭を撫でる手をそっと離した。
（もう少し目を閉じていればよかった…。）
後悔しつつも嬉しいような、恥ずかしいような気持ちだった。
｢も、もう、子ども扱いしないでよね！｣
｢ははは、つい、な。なんだか急にミアが遠くに行ってしまう感じがしたんだ。｣
｢まあ一週間後には出発するけど…、クラピカったら変なの～｣
笑いつつも少し寂しそうな顔を見せるクラピカに動揺して、明るく振る舞う。

隣ではパイロが気持ちよさそうに眠っている。
起こさないようにそっと頭を撫でながらかわいいな、なんて思っていると
｢ミア、少し目を瞑ってくれないか。｣
と穏やかな口調でクラピカが言うので、どうして？と尋ねる。
｢いいから。良いと言うまで目を開けるなよ。｣
疑問を抱きつつも、はーいと目を瞑る。
……？、頭に何かが触れた。
｢もう良いぞ。｣
ゆっくりと目を開けると
｢とても、似合っている。｣
優しくクラピカが笑いかける。
頭に触れると、どうやら花冠のようだ。
｢ここの花を見て、きっとミアにとても似合うと思って作ったんだ。ミアの雪のような白い髪と青く澄んだ海のような瞳にな。｣
そういって愛おしそうに頬を撫でる。
そのとき風が吹きあげ、あたりの花びらが舞う。

花びらに包まれたクラピカはとても綺麗で、

時が止まれば良いのに。

そんな願いをこの光景と共に大切に胸にしまい込んだ。