｢ーーこれが旅をしている理由です。｣
クラピカの話を男性は終始険しい顔で聞いていた。

クラピカは続けて、必死な様子で男性に問う。
｢何か知っていることはありませんか？どんな小さな事でも構いません。お願いします。｣
｢…申し訳ないが、私が知っている事はない。｣
｢そうですか…。｣
｢ただ、｣
肩を落とすクラピカをまっすぐに見つめて、男性は告げる。
｢手助けをすることはできる。私だって伊達に年をとっている訳ではないよ。｣
｢え…？｣
まだ言葉の真意を理解できない彼に向けられた瞳には、冷たくも力強い光が宿っていた。

｢その復讐には力が必要になるだろう。どうだい、ここで二人で修行をするというのは。｣
思ってもいなかった申し出にクラピカは目を見開く。
｢更に加えると、ハンターを目指すというのはどうかな？そうすれば手に入る情報もこれまでの比ではないだろう。行動の幅だって広げられる。｣
｢ハンター…？｣
｢あぁ、ハンター協会が主催する試験に合格するとその資格が得られる。君たちの場合、ブラックリストハンターといったところかな。｣
｢その、ハンターとやらになれば、目的を果たせるというのですか。｣
｢必ずとは約束はできないけれど、その可能性は大いにある。｣

その一言を聞いて、クラピカの目は決意に固まった。

｢わかりました。よろしくお願いします。｣
クラピカは深々と頭を下げた。
その頭を男性は少し悲しげに見つめながら、
｢あぁ、できる限りのことはしよう。｣
そう言って肩をポンと叩いた。

窓からはオレンジ色の光りが漏れ、夕刻の時を静かに知らせた。