ー守らなきゃ。

ー私が、守らなきゃ。

その思いがミアを突き動かした。

ミアが地面を蹴った瞬間、彼女は高く舞い上がりクラピカの隣に降り立った。

｢な、なんだこいつ…｣
急に上から現れた少女に男たちはすっかり気圧された。

｢何お前らびびってんだ！相手はガキだぞ！はやくやれ！！！｣
リーダーの声に我に返った仲間は再びにじり寄る。
｢そ、そうだよな、おい！おまえら…｢ぐはッ！！｣

集団の中で二人に掴みかかろうとした一人が急に倒れた。
その身体には無数の傷や火傷の跡がつけられ、血にまみれていた。

｢え…？｣
何が起こったか状況を理解できず固まる男たち。

クラピカを腕の中に守り、ミアは取り囲む男たちをにらみつける。
次の瞬間全ての人間が地面に倒れた。
どの死体も、目も当てられないような酷い傷を負っていた。
その場は一瞬で地獄と化し、辺りは静寂に包まれた。

｢ミア…？｣
これはどういうことだ？
訳が分からず、クラピカはミアに目を向ける。
彼女の片目はいつの間にか緋色に変わり、怒りを孕んだ目で死体をにらみつけていた。
｢ミア…？聞いているのか…？｣
名前を呼んでもミアは反応を示さない。

それでも繰り返す。
｢ミア…！ミア…！！｣

｢ミア｢大丈夫かい？｣
聞き慣れない声に顔を上げると、ミアの目を手で包みながらこちらを心配そうに見つめる男性の姿があった。