1章
夢小説設定
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夜明けと共にミアとクラピカは目を覚ました。
まだ霧があたりに立ちこめる中、二人は川へ向かう。
「ミア、先に入れ。」
「いいの?」
「あぁ、私がその間見張っておく。」
そう言うとクラピカは背を向けた。
「ありがとう!じゃあ、お言葉に甘えて…。」
ここのところずっと森を歩いていたので、水浴びは久しぶりだ。
シャワーまでとは言えなくとも、体を洗えるのは嬉しい。
服に手をかけ、スルスルと脱ぐと、そっと川に足を入れた。
少し冷たいが、そのおかげで目が覚める。
手持ちの石鹸を泡立てて、身体を洗っていく。
ぱしゃぱしゃ、と辺りには水音だけが響く。
ーーー…
「よし、きれいになった!」
水浴びを終えたミアが、上がろうと一歩踏み出した瞬間、川底の石でバランスを崩し、
「きゃああああ!!」
ばしゃーーん!!!
と大きな音と水しぶきが上がった。
「ミアッ!?どうした!?」
こちらに背を向けていたクラピカが血相を変えて振り返ると、
「いてて…。」
そこには頭に手を当てながら立ち上がるミアの姿があった。
霧に包まれたその姿は十分見慣れないもので、
「きゃーーーーー!!!」
「ミアッ!!!!すまない!!!!!」
お互いに真っ赤な顔を隠しながら背ける。
空には太陽が昇りはじめていた。
ーーーー
「クラピカ…、ごめんね…。」
「いや…、俺の方こそすまない…。」
あれから二人はずっとこのやりとりを繰り返しながら、森を歩いていた。
クラピカは余程動揺したのか、口調が乱れている。
「「………。」」
気まずい沈黙が流れる中、前方から馬を数匹連れた集団が歩いてきた。
近づいていくと、向こうもこちらに気付いたのか手を振ってきた。
「やあ、お二人さん。」
「こんにちは。」
人懐っこい笑みを浮かべながら、集団の長のような男性が話しかけてきた。
彼らが引いている荷台には布がかけられており、中身は見えない。
その視線に気付いたのか、男は商人であると明かした。
「俺たちは人から要らないものを集めて、商売しているんだ。なにか使わないものはないか?高く買い取るぞ?」
せっかく旅路にあったのだ。これも何かの縁だろう。
「そうですね…、何かあったかな。」
そう言いながら鞄をごそごそと漁るミアに反して、クラピカはいぶかしげに彼らを見ていた。
しかし、必要最低限の持ち物で旅をしているので、不要なものなどない。
申し訳ないが断ろう。
「ごめんなさい。ちょっと今は、」
「その首にかけてるものなんか、どうだい。」
ミアの言葉を遮って男は語りかける。
「…すみません、これはとても大切なものなので…。」
そう言いながら首飾りを握りしめ、俯くと
「そうか…、残念だな。でも」
男は強引に手首を握り、ミアを引っ張ると顔をのぞき込む。
「お嬢ちゃん、よく見たら結構いい顔してるじゃねえか。」
その姿に先ほどのような人懐っこさはなく、その目は獣のようなギラギラした光が宿っていた。
「おい!貴様ッ!その汚い手でミアを触るな!」
そう言いながらクラピカは木刀で男の手を叩く。
「ぎゃっ!」
悲鳴を上げ男は手を引っ込める。
クラピカの目は緋色に変わっていた。
その様子を見て、男は目の色を変える。
「おいお前のその目、緋の目だな。そうか…、くくっ…、俺はついてる…。」
ニヤリと笑った顔に虫唾が走った。
「お前ら、こいつは貴重な商品だ。くれぐれも顔は傷つけるなよ。」
その言葉を合図に、集団が一気に襲いかかる。
いくらクラピカが強くたって、この数では無理だ。
「クラピカ!!!」
抵抗もむなしく彼は容赦なく殴打される。
その光景があの日と重なる。
ーまた…、
ーまた…、失ってしまうの?
自分の無力さに、怒りが湧いてくる。
血が沸騰しそうだ。
そう気付いた時、視界の半分が赤く染まった。
まだ霧があたりに立ちこめる中、二人は川へ向かう。
「ミア、先に入れ。」
「いいの?」
「あぁ、私がその間見張っておく。」
そう言うとクラピカは背を向けた。
「ありがとう!じゃあ、お言葉に甘えて…。」
ここのところずっと森を歩いていたので、水浴びは久しぶりだ。
シャワーまでとは言えなくとも、体を洗えるのは嬉しい。
服に手をかけ、スルスルと脱ぐと、そっと川に足を入れた。
少し冷たいが、そのおかげで目が覚める。
手持ちの石鹸を泡立てて、身体を洗っていく。
ぱしゃぱしゃ、と辺りには水音だけが響く。
ーーー…
「よし、きれいになった!」
水浴びを終えたミアが、上がろうと一歩踏み出した瞬間、川底の石でバランスを崩し、
「きゃああああ!!」
ばしゃーーん!!!
と大きな音と水しぶきが上がった。
「ミアッ!?どうした!?」
こちらに背を向けていたクラピカが血相を変えて振り返ると、
「いてて…。」
そこには頭に手を当てながら立ち上がるミアの姿があった。
霧に包まれたその姿は十分見慣れないもので、
「きゃーーーーー!!!」
「ミアッ!!!!すまない!!!!!」
お互いに真っ赤な顔を隠しながら背ける。
空には太陽が昇りはじめていた。
ーーーー
「クラピカ…、ごめんね…。」
「いや…、俺の方こそすまない…。」
あれから二人はずっとこのやりとりを繰り返しながら、森を歩いていた。
クラピカは余程動揺したのか、口調が乱れている。
「「………。」」
気まずい沈黙が流れる中、前方から馬を数匹連れた集団が歩いてきた。
近づいていくと、向こうもこちらに気付いたのか手を振ってきた。
「やあ、お二人さん。」
「こんにちは。」
人懐っこい笑みを浮かべながら、集団の長のような男性が話しかけてきた。
彼らが引いている荷台には布がかけられており、中身は見えない。
その視線に気付いたのか、男は商人であると明かした。
「俺たちは人から要らないものを集めて、商売しているんだ。なにか使わないものはないか?高く買い取るぞ?」
せっかく旅路にあったのだ。これも何かの縁だろう。
「そうですね…、何かあったかな。」
そう言いながら鞄をごそごそと漁るミアに反して、クラピカはいぶかしげに彼らを見ていた。
しかし、必要最低限の持ち物で旅をしているので、不要なものなどない。
申し訳ないが断ろう。
「ごめんなさい。ちょっと今は、」
「その首にかけてるものなんか、どうだい。」
ミアの言葉を遮って男は語りかける。
「…すみません、これはとても大切なものなので…。」
そう言いながら首飾りを握りしめ、俯くと
「そうか…、残念だな。でも」
男は強引に手首を握り、ミアを引っ張ると顔をのぞき込む。
「お嬢ちゃん、よく見たら結構いい顔してるじゃねえか。」
その姿に先ほどのような人懐っこさはなく、その目は獣のようなギラギラした光が宿っていた。
「おい!貴様ッ!その汚い手でミアを触るな!」
そう言いながらクラピカは木刀で男の手を叩く。
「ぎゃっ!」
悲鳴を上げ男は手を引っ込める。
クラピカの目は緋色に変わっていた。
その様子を見て、男は目の色を変える。
「おいお前のその目、緋の目だな。そうか…、くくっ…、俺はついてる…。」
ニヤリと笑った顔に虫唾が走った。
「お前ら、こいつは貴重な商品だ。くれぐれも顔は傷つけるなよ。」
その言葉を合図に、集団が一気に襲いかかる。
いくらクラピカが強くたって、この数では無理だ。
「クラピカ!!!」
抵抗もむなしく彼は容赦なく殴打される。
その光景があの日と重なる。
ーまた…、
ーまた…、失ってしまうの?
自分の無力さに、怒りが湧いてくる。
血が沸騰しそうだ。
そう気付いた時、視界の半分が赤く染まった。