私とクラピカは山道を歩いていた。

というのも、あれから拠点近くの街で必要なものを揃えた私たちは、これからどうするか改めて話し合った。
その結果、まずは情報収集ということになり、たくさんの街を訪れることにしたのだ。

｢そういえば、ミア、あれから目の調子はどうだ？｣
｢うん、やっぱりこれ以上はもとに戻らないみたい。｣

片目に手を添えて答える。

私はあの夜に片目が緋色に変わった。
なぜなのか、その理由は分からず、数日間はそのままだった。

再び敵に目を付けられないよう、眼帯をして息を潜めるように過ごした。
時間が経過し緋色は収まってはいったが、瞳は薄紫へと変わり、それ以上は変化しなかった。

｢そうか…。よく分からないが、もとの瞳の色が関係しているのだろうか。｣
クラピカは顎に手を当てて考え込む。

｢そうかもしれないね。でも、生活に支障はないから大丈夫だよ！｣
そう言って明るく振る舞う。

｢それならいいが、何か異常があればすぐに言うんだぞ。ミアは何かあっても黙っている癖があるからな。｣
困った顔でこちらを見るので、いたたまれない。

｢はい、気をつけます…。｣
しょんぼり肩を落としつつ、返事をする。
その気まずさを紛らわすように、
｢クラピカだって、ちゃんと教えてよね！｣
と言い返すと、

｢まあ、努力しよう。｣
とそれほど気にとめてはいない反応が返ってきた。

ミアは先ほどしおれた様子はどこへやら、クラピカの過去の失敗について話し、報告することの大切さを説く。

そうして二人でやいやいと言い合いながら歩を進める。
ミアは最近の彼について気がかりな点があった。

それは、クラピカが以前のように笑わなくなったことだ。

口元だけ作る笑顔が多くなり、それが寂しかった。

もちろん、あんなことがあったから仕方ないことだ。
だけど、一生あのままで心から笑わなくなる彼を想像すると怖かった。

太陽のような笑顔で私を照らしてくれたクラピカが、今は雲に隠れた月のように消えそうな笑みばかり浮かべる。

私たちの復讐が終わったら、きっと戻れるよね？

あふれる木漏れ日の下で笑い合った

あの頃みたいに…ーー