Re_そして僕らは嘘を突き通す
それはある平和な日の午後、科学省の中にある会議室の、その中にあるモニターの中の電脳世界での会話から始まった。
その日は祐一朗と真辺と名人の三人と、それからネットセイバーである熱斗と炎山とライカの三人が集まった定例会議が行われていた。
しかし、此処最近はこれといって大きな騒ぎは無く、ニホンもアメロッパもシャーロもその他の国も平和であるために、会議は予定より早く終わり、会議の為に時間を多めに開けていた熱斗、炎山、ライカの三人は多少の暇を持て余し、雑談に興じていた。
すると、何処から会議の予定を聞きつけたのか、おそらくは熱斗がうっかり口を滑らせたのだろうが、メイルとデカオとやいとと透の四人が差し入れを届けるという建前のもと、科学省へと遊びに来たのだ。
四人は熱斗達三人に手作りのケーキを配ると、ロール達もロックマン達と会いたがっているから、と、既にロックマンとブルースとサーチマンの三人がプラグインしているこの会議室の大型モニターの電脳世界へ、ロールとガッツマンとグライドとアイスマンの四人をプラグインした。
勿論、ロックマン達はそれを拒絶する事なく喜んで迎え入れ、オペレーター達同様、穏やかな午後の雑談に興じ始めた。
そうしてしばらく時間が経った時、ロールがふと、自分の近くに立っているサーチマンをしばし見詰めた末に、こんな事を言い出したのだ。
「そういえば私最近、どうしてなのかよく分からないけど、サーチマンには親近感とライバル感の二つを感じちゃうのよねー。」
それまで個々に雑談を楽しんでいたロックマン達の声が止まり、全員の視線がロールに向けられる。
その視線の全てが、ロールの言っている事が上手く理解できない、と言いたげで、特にロールから親近感とライバル心の対象だと言われたサーチマンは殊更不思議な物を見たような顔をしていた。
サーチマンには、ロールに親近感を持たれるような事や、逆にライバルだと認識されるような事をしてきた自覚は全くないのだからそれも当たり前か。
一体自分の何がロールに親近感とライバル心を感じさせているのだろうか、と疑問に思ったサーチマンはロールに問いかける。
「親近感とライバル感? 一体どんなだ?」
するとロールは軽く両腕を組んで、しばらくの間小さく首を傾げながら考え込み始めた。
どうしてかよく分からないと前置きしただけあって、ロールもどんな親近感なのか、またどんなライバル心なのか、具体的な例えが浮かばないのだ。
それでも何とか思案し続けて、自分にとっての本来のライバルは誰かを思い浮かべた時、ロールは自分自身半信半疑で、どうしてそれが浮かぶのか分からないのだが、と言いたげな雰囲気で、
「んー……そうね、例えるなら、まるで目の前にメディがいるような気分になるって言うのかしら、そういう感じがするの。」
と、答え、更に、
「どうしてかしらね? メディとサーチマンに共通する点なんて無いはずなのに。……メディはライバルかもしれないけど、サーチマンはそうなるはずは無いのに、変ね、私ったら。」
と言って苦笑する。
ロールも正直、自分が言っている事が不思議で仕方が無いのだ。
そもそも、ロールの言うライバルとは、ロックマンとブルースのような戦いの競争相手ではなく、ロックマンという一人の男性を巡る恋愛の競争相手の事である。
それは基本的に、ロックマンにとって異性であり女性の自分とメディだからこそなりえるものであって、ロックマンと同性であり男性のサーチマンは普通にはなりえる事の無いものである。
だから本来、ロールはサーチマンに対してライバル心を持つ必要も、持つ理由も無い、そのはずなのだが、ロールは何故か、サーチマンにメディと同じ空気を感じずにはいられないのだ。
それがどうしようもなくおかしな話に感じられて、ロールは自分で少し苦い小さな笑いを零しながら、サーチマンとその向こうにいるロックマンを交互に見る。
ロールに視線を向けられたロックマンは、ロールはつまり何を言いたいのだろう? と疑問に思う視線をサーチマンに向け、同じく視線を向けられたサーチマンは少し緊張の走る視線をロックマンに向けた。
それは二人にとっては所詮、ロールの話に少し驚いて顔を見合わせただけ、に過ぎなかったが、その直前の話が話だっただけに、それは恋人同士が見詰め合って恥ずかしがっているように見えたのか、今まで話に入っていなかったガッツマンが急に何かを思い付いた様に、軽く握りしめた右手で左手の平をポンッと叩き、
「きっと、二人はカップルなんでガス!」
と、中途半端に育った子供がふざけて冗談を言い、対象者をからかう様な調子で言いだした。
そして、ヒューヒュー、と口笛の真似のような声を出して二人を囃し立てるものだから、ロックマンとサーチマンはしばらく苦い表情で顔を見合わせた後、それぞれガッツマンを見て、ロックマンは苦く笑い、サーチマンはただひたすらに苦い表情を見せて溜息を吐く。
その一連の光景が面白かったのか、それともロックマンとサーチマンが恋人同士という状況を想像して吹かざるをえなかったのか、それまで会話の進行を静かに、しかし興味深げに見守っていたブルースとグライドが両肩を小さく震わせて笑っている。
そしてこの中で一番子供に近く、大人ほど余計な知識の詰め込まれていないアイスマンが、未だに口笛の真似をしているガッツマンをしばらくじーっと見詰めた後、ガッツマンは明らかにおかしな事を言っている、と言いたげな疑問形の声で、
「ガッツマン、男の子と男の子でカップルはあり得ないですよ?」
と言い切った。
アイスマンから子供故の単調だが鋭いツッコミを入れられたガッツマンは、口笛の真似を止めると、今度はとぼけたような顔で首を傾げて見せた。
その様子がおかしかったのか、今度はロールとアイスマンも含めた四人が声を出して笑いだす。
ロックマンとサーチマンも小さく肩を震わせて笑っていた、が、その表情が何処か苦く見えるのは気のせいだろうか。
それでもサーチマンは、皆がひとしきり笑い終えたのを肌で感じると、ガッツマンが述べた自分とロックマンの恋人説を否定する。
「そうだな、男は普通、女を好きになるものだからな。ロックマンが俺の相手というのはありえないな。」
すると、ありえないという言い方が気に障ったのか、それとも何かほかに別の理由があるのか、ロックマンは一瞬僅かに不機嫌そうな顔でサーチマンを見た。
そして、サーチマンの発言に張りあうように、自分とサーチマンの恋人説を更に否定し始める。
「僕だって、同じ男の子よりも可愛い女の子の方がいいなぁ。」
「あ、じゃあ私もっと頑張らなくっちゃ!」
ロックマンがサーチマンから視線を逸らし、ツンとそっぽを向くと、ロールが嬉しそうに目を輝かせながらそう言ってロックマンに駆け寄り、その右腕に抱きついた。
それはロールからしたら精一杯の“私を見て”というアピールだったのかもしれないが、ロックマンはそれには目を向けず、ただサーチマンから視線を逸らす事だけに集中した。
代わりに、先ほどまでおとぼけ顔だったガッツマンが、一見仲睦まじく見えるロックマンとロールのツーショットを見て焦り出す。
その日は祐一朗と真辺と名人の三人と、それからネットセイバーである熱斗と炎山とライカの三人が集まった定例会議が行われていた。
しかし、此処最近はこれといって大きな騒ぎは無く、ニホンもアメロッパもシャーロもその他の国も平和であるために、会議は予定より早く終わり、会議の為に時間を多めに開けていた熱斗、炎山、ライカの三人は多少の暇を持て余し、雑談に興じていた。
すると、何処から会議の予定を聞きつけたのか、おそらくは熱斗がうっかり口を滑らせたのだろうが、メイルとデカオとやいとと透の四人が差し入れを届けるという建前のもと、科学省へと遊びに来たのだ。
四人は熱斗達三人に手作りのケーキを配ると、ロール達もロックマン達と会いたがっているから、と、既にロックマンとブルースとサーチマンの三人がプラグインしているこの会議室の大型モニターの電脳世界へ、ロールとガッツマンとグライドとアイスマンの四人をプラグインした。
勿論、ロックマン達はそれを拒絶する事なく喜んで迎え入れ、オペレーター達同様、穏やかな午後の雑談に興じ始めた。
そうしてしばらく時間が経った時、ロールがふと、自分の近くに立っているサーチマンをしばし見詰めた末に、こんな事を言い出したのだ。
「そういえば私最近、どうしてなのかよく分からないけど、サーチマンには親近感とライバル感の二つを感じちゃうのよねー。」
それまで個々に雑談を楽しんでいたロックマン達の声が止まり、全員の視線がロールに向けられる。
その視線の全てが、ロールの言っている事が上手く理解できない、と言いたげで、特にロールから親近感とライバル心の対象だと言われたサーチマンは殊更不思議な物を見たような顔をしていた。
サーチマンには、ロールに親近感を持たれるような事や、逆にライバルだと認識されるような事をしてきた自覚は全くないのだからそれも当たり前か。
一体自分の何がロールに親近感とライバル心を感じさせているのだろうか、と疑問に思ったサーチマンはロールに問いかける。
「親近感とライバル感? 一体どんなだ?」
するとロールは軽く両腕を組んで、しばらくの間小さく首を傾げながら考え込み始めた。
どうしてかよく分からないと前置きしただけあって、ロールもどんな親近感なのか、またどんなライバル心なのか、具体的な例えが浮かばないのだ。
それでも何とか思案し続けて、自分にとっての本来のライバルは誰かを思い浮かべた時、ロールは自分自身半信半疑で、どうしてそれが浮かぶのか分からないのだが、と言いたげな雰囲気で、
「んー……そうね、例えるなら、まるで目の前にメディがいるような気分になるって言うのかしら、そういう感じがするの。」
と、答え、更に、
「どうしてかしらね? メディとサーチマンに共通する点なんて無いはずなのに。……メディはライバルかもしれないけど、サーチマンはそうなるはずは無いのに、変ね、私ったら。」
と言って苦笑する。
ロールも正直、自分が言っている事が不思議で仕方が無いのだ。
そもそも、ロールの言うライバルとは、ロックマンとブルースのような戦いの競争相手ではなく、ロックマンという一人の男性を巡る恋愛の競争相手の事である。
それは基本的に、ロックマンにとって異性であり女性の自分とメディだからこそなりえるものであって、ロックマンと同性であり男性のサーチマンは普通にはなりえる事の無いものである。
だから本来、ロールはサーチマンに対してライバル心を持つ必要も、持つ理由も無い、そのはずなのだが、ロールは何故か、サーチマンにメディと同じ空気を感じずにはいられないのだ。
それがどうしようもなくおかしな話に感じられて、ロールは自分で少し苦い小さな笑いを零しながら、サーチマンとその向こうにいるロックマンを交互に見る。
ロールに視線を向けられたロックマンは、ロールはつまり何を言いたいのだろう? と疑問に思う視線をサーチマンに向け、同じく視線を向けられたサーチマンは少し緊張の走る視線をロックマンに向けた。
それは二人にとっては所詮、ロールの話に少し驚いて顔を見合わせただけ、に過ぎなかったが、その直前の話が話だっただけに、それは恋人同士が見詰め合って恥ずかしがっているように見えたのか、今まで話に入っていなかったガッツマンが急に何かを思い付いた様に、軽く握りしめた右手で左手の平をポンッと叩き、
「きっと、二人はカップルなんでガス!」
と、中途半端に育った子供がふざけて冗談を言い、対象者をからかう様な調子で言いだした。
そして、ヒューヒュー、と口笛の真似のような声を出して二人を囃し立てるものだから、ロックマンとサーチマンはしばらく苦い表情で顔を見合わせた後、それぞれガッツマンを見て、ロックマンは苦く笑い、サーチマンはただひたすらに苦い表情を見せて溜息を吐く。
その一連の光景が面白かったのか、それともロックマンとサーチマンが恋人同士という状況を想像して吹かざるをえなかったのか、それまで会話の進行を静かに、しかし興味深げに見守っていたブルースとグライドが両肩を小さく震わせて笑っている。
そしてこの中で一番子供に近く、大人ほど余計な知識の詰め込まれていないアイスマンが、未だに口笛の真似をしているガッツマンをしばらくじーっと見詰めた後、ガッツマンは明らかにおかしな事を言っている、と言いたげな疑問形の声で、
「ガッツマン、男の子と男の子でカップルはあり得ないですよ?」
と言い切った。
アイスマンから子供故の単調だが鋭いツッコミを入れられたガッツマンは、口笛の真似を止めると、今度はとぼけたような顔で首を傾げて見せた。
その様子がおかしかったのか、今度はロールとアイスマンも含めた四人が声を出して笑いだす。
ロックマンとサーチマンも小さく肩を震わせて笑っていた、が、その表情が何処か苦く見えるのは気のせいだろうか。
それでもサーチマンは、皆がひとしきり笑い終えたのを肌で感じると、ガッツマンが述べた自分とロックマンの恋人説を否定する。
「そうだな、男は普通、女を好きになるものだからな。ロックマンが俺の相手というのはありえないな。」
すると、ありえないという言い方が気に障ったのか、それとも何かほかに別の理由があるのか、ロックマンは一瞬僅かに不機嫌そうな顔でサーチマンを見た。
そして、サーチマンの発言に張りあうように、自分とサーチマンの恋人説を更に否定し始める。
「僕だって、同じ男の子よりも可愛い女の子の方がいいなぁ。」
「あ、じゃあ私もっと頑張らなくっちゃ!」
ロックマンがサーチマンから視線を逸らし、ツンとそっぽを向くと、ロールが嬉しそうに目を輝かせながらそう言ってロックマンに駆け寄り、その右腕に抱きついた。
それはロールからしたら精一杯の“私を見て”というアピールだったのかもしれないが、ロックマンはそれには目を向けず、ただサーチマンから視線を逸らす事だけに集中した。
代わりに、先ほどまでおとぼけ顔だったガッツマンが、一見仲睦まじく見えるロックマンとロールのツーショットを見て焦り出す。
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