にゃんにゃん☆ぱにっく!
さて、そうしてメイルの家を出た熱斗はというと、軽いのか重いのか分からない速足で玄関先を離れると、自分の家でもない何処かへ向かって適当に歩きだしていた。
何故自分の家に帰らなかったのかというと、それははる香に今日の帰宅時間をもっと遅くだと伝えていたためで、それよりも早い今に帰ってしまうとはる香からの追及から逃げられない気がしたからである。
それも、祐一朗ならともかくはる香相手では分が悪い、そんな気も熱斗にはしていたのだ。
女は何時も男にデリカシーが無いだの配慮にかけるだの言う、しかし今回に限り本当に配慮が無いのは、デリカシーが無いのはどっちだ!! と、熱斗は酷い苛立ちを抱えながら住宅街を歩いていた。
その不機嫌そうな表情は、そこいらの不良達など裸で逃げ出しそうな程の鋭い眼光を携えているのだから、もうロックマンはこんな熱斗くんは見たくはないんだと言わんばかりにPETの中へ逃げ込むのである。
「ちぇっ、メイルちゃんのヤツ、なぁにが『本当に可愛い~』だよ!!」
メイルの声を一部真似てみたと思われるその台詞には、明らかな悪意と敵意が籠っており、PETの中でロックマンが苦い表情を浮かべる。
熱斗が珍しく本気で怒っている、それも恋愛的な意味で怒っている、それが意外であり恐ろしいのだ。
何故なら、普段相手に馬鹿扱いされるような鈍感はメイルではなく、熱斗だったのだから。
その熱斗が珍しくメイルを鈍感扱いし、馬鹿だと怒っている、これは後々面倒くさい事になるぞという事を、ロックマンはこの時点で悟っていたのだ。
そうして熱斗は消えない消せない消し様が無い苛立ちを抱えながら住宅街を歩き、いつしか人の多い大通りへ出ていた。
しばし一人で歩いた事で衝動的で暴力的な怒りは薄れ、今すぐにでも何かに殴りかかりたくなるような気持ちは収まったが、それでもメイルに対する不満自体はまだまだ消えそうにない。
そしてその不満はまだ十分表情に表れているらしい。
ポケットに手を突っ込んで、少し肘を張って歩いていると、正面から来る男子高校生の集団の内の端っこに居た一人と肘がぶつかった。
高校生は大袈裟に、痛ぇな! などと言い熱斗の右肩に掴みかかる。
「おいこのガキ! 人様にぶつかっておいて謝罪もナシかよ!!」
明らかに熱斗が(年)下の存在だと半分ぐらい舐めてかかったその態度に、既に不機嫌だった熱斗の表情が鋭くなる。
そして熱斗はゆっくりと後ろを向いて、
「……謝罪?」
それは普段なら迫力の欠片もなかったであろう態度であったが、異常なほどに不機嫌になっていた熱斗の眼光は鋭く、不良どころかヤクザにすら引けを取らないオーラを抱えていた。
熱斗が明らかな年下である事、から恐くないどころか此方にビビってくれるであろうと思っていた高校生は思わず怯み、他の高校生が、コイツヤバくね? 等とざわつき始める。
それでも高校生は己のプライドを護るためか、怯んだ事実を必死に隠して更に熱斗につっかかっていく。
「そ、そうだ、謝罪しろって言ってんだよ!」
「……そうかよ、悪かったな。」
今の自分に関わるな、さっさと失せろ、と言わんばかりのドスの効いた低い声で熱斗は高校生に向けて吐き捨てた。
そしてそのまま高校生の手を肩から払い立ち去ろうとする、が、それは高校生のプライドを傷付けたのか、もういいじゃないかと宥める仲間を振り切って高校生は熱斗を追い掛ける。
「んのクソガキ!」
そして高校生が熱斗に殴りかかろうとした、その時熱斗が急に腕を後ろに引きながら高校生の方を向いて、高校生の顔面に勢い良く拳を叩きつけた。
それはまるでカウンターのように上手く入ったらしく、高校生は熱斗を殴れないまま後ろに突き飛ばされ、顔を押さえて悶絶した。
突然の事態に周囲の大人や他の高校生達がざわめく。
ロックマンも血の気の引いた顔で熱斗の肩の上に現れて焦った。
「い゛でぇ、い゛でぇ、い゛でぇよぉおおぉお!」
痛い、痛いと泣き喚く高校生を尻目に、熱斗はまた何処かへ決まらぬ場所へ向けて歩きだす。
周囲の大人は突然の出来事に何もできず、高校生の仲間はこれ以上熱斗に関わりたくない、今のはアイツの自業自得にしておきたいと言わんばかりの顔で小さくまとまって反対側へと歩き出した。
そして熱斗は、大人達が戸惑い立ち尽くし作る隙間の間を知らん顔で通り過ぎ、その姿を人混みの中へ消していった。
それからも熱斗はしばらく歩き続け、先ほど喧嘩をした大通りとはまた別の大通りに来ていた。
その時になってようやく、肩の上に居たロックマンが口を開く。
「熱斗くん、さっきのは少し、いや大いにやり過ぎだよ……。」
あの時は本当に肝が冷えた、と言いたげな疲れた顔のロックマンに、熱斗はじっとりとして苛立ちの垣間見える視線を向けて答える。
「アレは向こうが突っかかってきたんだから良いんだよ。」
やや吐き捨てるかのようにそう言った熱斗は、ロックマンからはどうにも正義の味方に見えず、以前対峙して退治したダークロイド達のような邪悪さを感じずにはいられなかった。
それもこれも、全ての発端はメイルがあの白い仔猫を異様なまでに可愛がり、その視界から熱斗の姿を消してしまった事にある、だから熱斗は自分が悪いとは思わない、というのはロックマンにも分からなくはないのだが、だからといって他の人間に八つ当たりをして良いわけでもないから、ロックマンは苦い想いを消せずに溜息を吐くのである。
それでも幸いあの高校生は先ほどの一発で諦めたらしく追ってくる様子はない、それだけを確認してロックマンは一応は胸を撫で下ろすのであった。
ともかくそうしてしばらく歩いていると、熱斗はいつの間にかゲームセンターの前に来ていた。
それに気付いた熱斗は、今日はストレス発散に一人で遊んでいくかと思い、それまで道なりに動かしていた足を止め、ゲームセンターの中へと足を進めた。
ゲームセンターの中は休日という事もあって人が多く、一部の人気ゲームでは行列ができていて、熱斗はこれではあまり遊べないかもしれないという少し残念な予感を感じながら店内を回る。
するとしばらく奥に入って角を曲がったあたりで、店員の女性の声と思われるやや甲高くアニメめいた声が聞こえてきた。
何故自分の家に帰らなかったのかというと、それははる香に今日の帰宅時間をもっと遅くだと伝えていたためで、それよりも早い今に帰ってしまうとはる香からの追及から逃げられない気がしたからである。
それも、祐一朗ならともかくはる香相手では分が悪い、そんな気も熱斗にはしていたのだ。
女は何時も男にデリカシーが無いだの配慮にかけるだの言う、しかし今回に限り本当に配慮が無いのは、デリカシーが無いのはどっちだ!! と、熱斗は酷い苛立ちを抱えながら住宅街を歩いていた。
その不機嫌そうな表情は、そこいらの不良達など裸で逃げ出しそうな程の鋭い眼光を携えているのだから、もうロックマンはこんな熱斗くんは見たくはないんだと言わんばかりにPETの中へ逃げ込むのである。
「ちぇっ、メイルちゃんのヤツ、なぁにが『本当に可愛い~』だよ!!」
メイルの声を一部真似てみたと思われるその台詞には、明らかな悪意と敵意が籠っており、PETの中でロックマンが苦い表情を浮かべる。
熱斗が珍しく本気で怒っている、それも恋愛的な意味で怒っている、それが意外であり恐ろしいのだ。
何故なら、普段相手に馬鹿扱いされるような鈍感はメイルではなく、熱斗だったのだから。
その熱斗が珍しくメイルを鈍感扱いし、馬鹿だと怒っている、これは後々面倒くさい事になるぞという事を、ロックマンはこの時点で悟っていたのだ。
そうして熱斗は消えない消せない消し様が無い苛立ちを抱えながら住宅街を歩き、いつしか人の多い大通りへ出ていた。
しばし一人で歩いた事で衝動的で暴力的な怒りは薄れ、今すぐにでも何かに殴りかかりたくなるような気持ちは収まったが、それでもメイルに対する不満自体はまだまだ消えそうにない。
そしてその不満はまだ十分表情に表れているらしい。
ポケットに手を突っ込んで、少し肘を張って歩いていると、正面から来る男子高校生の集団の内の端っこに居た一人と肘がぶつかった。
高校生は大袈裟に、痛ぇな! などと言い熱斗の右肩に掴みかかる。
「おいこのガキ! 人様にぶつかっておいて謝罪もナシかよ!!」
明らかに熱斗が(年)下の存在だと半分ぐらい舐めてかかったその態度に、既に不機嫌だった熱斗の表情が鋭くなる。
そして熱斗はゆっくりと後ろを向いて、
「……謝罪?」
それは普段なら迫力の欠片もなかったであろう態度であったが、異常なほどに不機嫌になっていた熱斗の眼光は鋭く、不良どころかヤクザにすら引けを取らないオーラを抱えていた。
熱斗が明らかな年下である事、から恐くないどころか此方にビビってくれるであろうと思っていた高校生は思わず怯み、他の高校生が、コイツヤバくね? 等とざわつき始める。
それでも高校生は己のプライドを護るためか、怯んだ事実を必死に隠して更に熱斗につっかかっていく。
「そ、そうだ、謝罪しろって言ってんだよ!」
「……そうかよ、悪かったな。」
今の自分に関わるな、さっさと失せろ、と言わんばかりのドスの効いた低い声で熱斗は高校生に向けて吐き捨てた。
そしてそのまま高校生の手を肩から払い立ち去ろうとする、が、それは高校生のプライドを傷付けたのか、もういいじゃないかと宥める仲間を振り切って高校生は熱斗を追い掛ける。
「んのクソガキ!」
そして高校生が熱斗に殴りかかろうとした、その時熱斗が急に腕を後ろに引きながら高校生の方を向いて、高校生の顔面に勢い良く拳を叩きつけた。
それはまるでカウンターのように上手く入ったらしく、高校生は熱斗を殴れないまま後ろに突き飛ばされ、顔を押さえて悶絶した。
突然の事態に周囲の大人や他の高校生達がざわめく。
ロックマンも血の気の引いた顔で熱斗の肩の上に現れて焦った。
「い゛でぇ、い゛でぇ、い゛でぇよぉおおぉお!」
痛い、痛いと泣き喚く高校生を尻目に、熱斗はまた何処かへ決まらぬ場所へ向けて歩きだす。
周囲の大人は突然の出来事に何もできず、高校生の仲間はこれ以上熱斗に関わりたくない、今のはアイツの自業自得にしておきたいと言わんばかりの顔で小さくまとまって反対側へと歩き出した。
そして熱斗は、大人達が戸惑い立ち尽くし作る隙間の間を知らん顔で通り過ぎ、その姿を人混みの中へ消していった。
それからも熱斗はしばらく歩き続け、先ほど喧嘩をした大通りとはまた別の大通りに来ていた。
その時になってようやく、肩の上に居たロックマンが口を開く。
「熱斗くん、さっきのは少し、いや大いにやり過ぎだよ……。」
あの時は本当に肝が冷えた、と言いたげな疲れた顔のロックマンに、熱斗はじっとりとして苛立ちの垣間見える視線を向けて答える。
「アレは向こうが突っかかってきたんだから良いんだよ。」
やや吐き捨てるかのようにそう言った熱斗は、ロックマンからはどうにも正義の味方に見えず、以前対峙して退治したダークロイド達のような邪悪さを感じずにはいられなかった。
それもこれも、全ての発端はメイルがあの白い仔猫を異様なまでに可愛がり、その視界から熱斗の姿を消してしまった事にある、だから熱斗は自分が悪いとは思わない、というのはロックマンにも分からなくはないのだが、だからといって他の人間に八つ当たりをして良いわけでもないから、ロックマンは苦い想いを消せずに溜息を吐くのである。
それでも幸いあの高校生は先ほどの一発で諦めたらしく追ってくる様子はない、それだけを確認してロックマンは一応は胸を撫で下ろすのであった。
ともかくそうしてしばらく歩いていると、熱斗はいつの間にかゲームセンターの前に来ていた。
それに気付いた熱斗は、今日はストレス発散に一人で遊んでいくかと思い、それまで道なりに動かしていた足を止め、ゲームセンターの中へと足を進めた。
ゲームセンターの中は休日という事もあって人が多く、一部の人気ゲームでは行列ができていて、熱斗はこれではあまり遊べないかもしれないという少し残念な予感を感じながら店内を回る。
するとしばらく奥に入って角を曲がったあたりで、店員の女性の声と思われるやや甲高くアニメめいた声が聞こえてきた。