謎会話ログ≪1≫

【部外者と不幸は使いよう】(※【KitS 3】後日談ネタ8)

※藤咲 満のヤンデレ化に注意※


未彩「(もう、空が薄暗い。しかし……こんな顔では、まだ帰る気にはなれないな……いっそ、この柵を越えて飛べたなら、償いに……)」
満「未彩ちゃん!」
未彩「えっ?……藤咲先生?何故、此処(屋上)に?」
満「さっき教室に寄ったら机の横に鞄が掛かったままだったのが見えたから……もしかしてまだ校内に居るんじゃないかって思ってね、探してたんだ。(まぁ、携帯の位置情報で確かめたって部分も勿論あるけど。)ほら、未彩ちゃんがこんな時刻まで学校に居るのって珍しいから、心配になっちゃってさ。」
未彩「……何故ですか?」
満「え?」
未彩「何故、俺なんかを心配したんですか……俺には、そんな……誰かに心配してもらう資格なんて、存在しません!!」
満「(……殆どの事はいつも聴いているから知っているけど、此処は一旦訊いた方が良いかな。)未彩ちゃん、何かあった?」
未彩「ッ!それは……」
満「此処で泣いていたって事は、学校での事なんだよね?それなら教員である僕の管轄内の話になるし、相談してみてよ、ね?」
未彩「……いいえ、できません。」
満「……どうして?」
未彩「教師への相談は被害者の特権です。……加害者である俺にその権利はありません。」
満「(一理ある意見ではあるし、未彩ちゃんらしいと言える反応ではあるけど……でも、君にとっての僕は、それだけじゃないでしょ?だから)……だったら、教師としてじゃなく君を愛する共犯者として聴くから、聴かせて?ね、お願い。」
未彩「……気分のいい話ではありませんよ?」
満「それでも良いから、僕の為だと思って聴かせて?(そもそも客観的な状況把握はいつだってしてあるし、今更驚く事なんて何も無いから安心してね。……って言えないのが少しもどかしいなぁ……早く、僕に縋り付いて欲しいのに。)」
未彩「……分かりました。……その、暫く前に電話で……真波と上手くいっていない事……言いましたよね?」
満「うん。あの時の未彩ちゃん、凄く辛そうだったから……よく覚えてるよ。」
未彩「それで、その……あれ、俺の気の所為じゃなかったみたいで……今日、大喧嘩……って言うんですかね、とにかく言い争いになってしまって……結局、あんたなんてもう知らない、と言われまして……」
満「それは、中々に強烈な言い方をされたんだね……(まぁ、知ってたけど。)」
未彩「あ、でも!!それは真波が悪い訳じゃないんです!!悪いのは飽く迄も俺だけで……真波が今まで密かに我慢してくれていた気持ちをマトモに汲み取れないまま自分の感情だけ押し付けた、そんな俺がロクデナシなだけで、真波は全然、ただ被害者なだけで……加害者は、俺で……ですから、その……あの、藤咲先生……」
満「ん?」
未彩「これまではずっと否定していた事ですが……真波の反応で確信したんです、俺は駄目なヤツなんだと。大切に想えば想う程、歯止めが利かなくなる異常者なんだと……だから……」
満「(……だとするなら、僕は桜木 真波が嫉ましい。僕の前ではまだ平静を保つ未彩ちゃんがそれを維持できなくなる程に求められていたなんて……殺したいぐらい、妬ましい。)」
未彩「だから……貴方も俺に耐えられなくなる事があれば、その時は遠慮無く突き放してください。」
満「(そんな事、僕なら絶対にしない。だって、僕はまだ全然足りていないぐらいなんだから、突き放すなんて……そんな形で君に逃走のチャンスを与えるなんて、無い。)」
未彩「それでも不安が残るというなら、いっそ殺してもらっても構いません。他の人と違い、貴方にはその権利があると俺は思います。だから、そうなっても悔いはありません。」
満「(嗚呼、それって……僕になら、自分の全てを委ねられるって事と同じだよね?普通はどんな身近な人間にも、或いは自分自身にすら委ねられないモノ――命すら僕にならどうされてもいいなんて、そういう事でしょ?だったら……)」
未彩「そうでなければ、俺は何も理解できないまま、真波に与えた苦しみと同じものを貴方にまで」
満「(少しくらい、明確にしても……良いよね?)……ねぇ、未彩ちゃん。」
未彩「えっ?あ、ハイ、何で――ッ!?あ、あの!?(い、今の俺の話の中にはこんな事に……正面から抱き締められる様な事になる要素など、何処にも無かった筈では……!?)」
満「……未彩ちゃん、話してくれてありがとう。きっと、怖かったよね……真波ちゃんに続いて僕にまで拒絶されたらどうしようって、話していて不安だったでしょ?」
未彩「え、あ、その……それは、そう、ですけど!そ、それでどうしてこの状況に……!?」
満「証明……かな。」
未彩「しょ、証明?」
満「うん、そうだよ。ねぇ、この状況なら突き放されるなんて気はしないんじゃないかな?だって、僕は君に突き放すとは真逆の事をしていているんだから。」
未彩「いや、その、それは確かに……ですけど!加害者である俺にこんな……優しく、なんて、貴方の立場が許す訳が」
満「最初に言ったでしょ?教師としてじゃなく、君を『愛する』共犯者として、って……だから、そんなどうでもいい事は考えないで?そして、真波ちゃんに向けていた分も、これからは僕に向けて?(……でないと、君よりも僕が嫉妬で狂いそうだ。)」
未彩「……後悔しても、その責任は取れませんが……それでも良いと、言えるんですか?」
満「勿論だよ。僕はそれを約束できない相手にこんな事はしないし、約束できる相手は君だけだから、ね?(……だから、僕だけに縋って?例え縋らなくても、君には僕から逃げる余地が残されていない事に変わりは無いんだから、僕に縋って、それで楽になって、そのまま……抜け出すなんて考えは、失くして……ね?)」
未彩「あ……ありがとう、ございます……(どうしようもなく嬉しく感じて、ごめんなさい……貴方が居てくれて、良かった。)」
満「フフ、どういたしまして。(……これで、未彩ちゃんは前よりもずっと僕だけ求めてくれるようになってくれるよね?……まぁ、此処だけは桜木 真波に――部外者の作った不幸に感謝できるところかな?……なんてね。)」


登場人物:
清上院 未彩 (情緒不安定型で葛藤アリ。本来はコイツも大概なヤバい奴枠だが【KitS 3】後日談シリーズだと満の病み方が上位互換過ぎてマトモ枠にも見えてしまうかも……)
藤咲 満 (ストレート型で葛藤ナシ。なんかもう……【KitS 3】後日談シリーズに限っては最凶のヤンデレ枠キャラなんじゃないかなとしか言えない感。他では究極の対人感覚ドライ枠なのにな!!)
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