謎会話ログ≪1≫

【彼は表現の正確性に拘りがあるタイプなんです、多分】


満「(やっと帰りの会も終わったし、後は職員室でデスクワークかな。)」
風美「おっ、藤咲先生のクラスも漸くHRが終わったのかい?」
満「あ、ハイ……葉暗先生って職員室に戻ってくるのが早い印象がありますよね。」
風美「アタシが早いんじゃなくて、藤咲先生が妙に遅いんだと思うけどねぇ……2年2組はHRが長いって愚痴ってる生徒、2組だけじゃなく1組や3組にも結構いるよ?」
満「当事者の2組の生徒だけならまだしも、1組と3組も、って……それ、実質的に2年生全体で愚痴られているって事ですよね?」
風美「アハハッ、そういうことだねぇ!ww」
満「……そうですか。」
風美「なんだい?そんな、何を考えてるか分かんない顔しちゃって……そういえば、アタシのクラスに『2組の藤咲先生ってなんかミステリアスだよね』って言ってた子が居たけど、こういう事なのかねぇ?」
満「えぇ?僕は割と分かりやすい方で、そんな事を言われる要素は少ない方だと思いますけど……というか、それって誰が言ってたんですか?」
風美「それは明かしちゃ可哀想って話じゃないかい?アタシは言わないよ。」
満「……それなら個人名は出さなくて良いので、その生徒がどういうタイプの人物か、という事だけ教えてください。」
風美「まぁ、そのぐらいなら……そうだねぇ、常に元気で友達も多い良い子なんだけど、授業態度がちょーっと不真面目なのが玉に瑕って感じの子、ってとこだよ。授業中の化粧直しはやめなさいって言っても中々やめないし、体育の時なんかはアクセサリーを外す様に説得するのがとっても大変でねぇ……」
満「……あー、つまり、陽キャでリア充で不良のケバケバして装飾品だらけなギャル系、と。」
風美「……アンタ、その言い方は辛辣過ぎて大人同士でもトラブルになるヤツだよ?」
満「トラブルになる様な相手はどう対応してもトラブルになるので気にしません。それより、先程の説明で確信しましたけど……その生徒は僕を評価するに当たって使用すべき言葉を完全に選び間違えていますね。」
風美「え?それってどういう意味だい?」
満「……その生徒が僕に関して言う『ミステリアス』という言葉は曖昧さと若干の不適切さが残るので、正確さを増す意味で『生き方が理解不能』という言葉に置き換えた方が良い、という意味です。というのも、葉暗先生の話を訊く限りではその生徒は僕とは真逆で別世界の存在と言うべきタイプの様ですし、そうなると僕を『謎めいている』と思った理由は『正体がつかめなくて不気味』等のハッキリ言って悪い意味である可能性が高いと推測できるんですよ。であれば、それを表すには良い意味で使われる傾向も多々ある言葉を使うよりも、別種の生き物を観る時の『拒否感・不安感』が表明できる言葉の方が表現として正確……そう思いませんか?」
風美「……アンタ、そういうところだよ?」
満「そうでしょうね。」
風美「心底どうでもよさそうな顔で言うんじゃないよッ!!」


登場人物:
藤咲 満 (ガチ陰キャなので風美の事も自分とは別世界の存在と思ってそう)
葉暗 風美 (腐ったミカンなんて居ないとかリアルに言いそうなタイプ、割と陽キャ)
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