番外編(短編)『性善説と殺人鬼』
さて、そのような救いの無い話は一旦何処かへ置いておくとしてである、今重要な事は純次から飛び切りの笑顔を向けられたSearchの次の挙動である。
純次は自分と会話をしたがっている、という事を此処に至って漸く理解したSearchは自身の右手に重ねられた純次の右手を自身の左手の緩慢な動作で軽く退けて、純次の右手から解放された自身の右手をパソコンから自身の右膝の上に置き直し、オフィスチェアを背後へ回転させて純次へ向き直った。
そして、抑揚の少ない平坦且つ無感情な声で言う。
「それで、何を話したいんだ。」
そう言ったSearchの姿は相変わらず喜怒哀楽の読み取れない無表情を浮かべている事と両足を肩幅程度に開いて座っている事が相まって、Searchの事をよく知らない誰かであれば就職活動によくある圧迫面接の様な威圧感を覚えても仕方がないかもしれない雰囲気を醸している。
人によってはその態度を一種の威嚇と受け取り、自分はSearchから拒絶されていると考え、悲しんだり憤ったりしながら自ら会話を切り上げる者もいるだろう。
しかし、実際問題としてSearchにその意思――相手を威嚇する意思があるのかというと、実はそのような事は一切無い、というのがまた難しいところである。
そうして無意識に、無自覚に、ある意味自然に他人を跳ね除けてきたSearchに対し、一切臆する事無く穏やかな笑みを浮かべて会話を続けようとする純次の姿を捜査一課の警察官達が非常に滑稽と思っている事はもはや言うまでも無いだろう。
その上、肝心のSearch本人は純次に対し何も思う所が無いのだから、このオフィスでの純次の立場は一種の孤立無援、又は四面楚歌とでも言うべき救いの無いものだったのだが、それでも純次は笑顔を絶やさず、何処までも真っ直ぐに、真面目に、真摯に、人間としてのSearchと向き合おうとし続ける。
それはおそらく、性善説かぶれの馬鹿、と呼ばれる程に人間の中の善意を心底信じて生きている純次にしかできない事だろう。
ともかく、Searchの冷淡とも受け取れる平坦な反応を聴きつつも、純次は笑顔を絶やさなかった。
そして同時に、その笑顔に徐々に柔らかな雰囲気を混ぜ込んでいく。
その表情の意味を理解できずに相変わらず無表情で純次を見ているだけのSearchを穏やかな視線で見詰める純次の脳裏には、まだ十三歳の少女だった頃のSearchの姿が若干のノスタルジーを伴って再生されていた。
今より幾らか小さい身体に今と同様の紅い眼をギラつかせ、今以上に感情の読み取れない無を極めた様な表情を浮かべながら、自分は人間ではなく殺人鬼という生き物だと当たり前の様に認識し、それを平然と公言していたあの頃。
その頃Searchに比べれば、今のSearchは随分と人間らしく成長したものだ、と迷い無く信じている純次らしい追憶である。
勿論、その様子をまだ若干は気に留めている捜査一課の警察官達はその様な事は一切思っていないのだが、というのはこの際別の話にしておくとしよう。
ともかく、Searchの人間的成長を信じる純次は、不機嫌ながらも密かに耳を欹てている部分のある捜査一課の警察官達の嫌悪と軽蔑の気配など気に留めることはせず、改めて口を開く。
「何を、って言われると難しいんだけど……そうだね、簡単に言うなら、四月からの潜入捜査、頑張ってね! ……って話かな?」
純次はとびきりの笑みとでも言うべき表情を浮かべながらSearchに応援の言葉を送ったが、送られた側であるSearchは何故純次がそのような事を言っているのか理解できなかったようで、何かを考え込む様な表情に見えなくもないが殆ど無表情と変わらない顔をして、ほんの僅かに首を傾げた。
Searchは純次の言葉の意図を一応は理解しようと努めているようだったが、純次の発した言葉だけではSearchにとってはそこに込められた意図を理解する為のヒントが少な過ぎたらしく、傾げた首は中々元の角度に戻らない上、純次の言葉に対する返答も出てこない。
そして、その沈黙を感じ取った捜査一課の警察官達がこのまま二人の会話が終わって純次が本来の部署のオフィスに戻る事を願いだした、その時だっただろうか。
「……今回の指令は今までとは違い、標的の正体が不明なものだ。完遂出来るという確信は持てない。」
傾げていた首を元の角度に戻し、元々微弱にしか感じ取れない程度ではあったがそれでも確かに浮かべていた何かを考え込むような表情を顔から消し去って、Searchが淡々と返答した。
その声を聞いた捜査一課の警察官達の表情が若干曇る、のは最早当たり前の話だろう。
それよりも重要なのは、Searchの返答を聞いた純次が不思議な事に一瞬何かに驚いたような表情を浮かべた事の筈だ。
驚きにも似た表情を浮かべた純次は、次第に何か困惑したような表情を浮かべ始め、少し悩ましげな顔をしながら自らの顎に手を当てたり、それをやめたと思ったら両腕を組んでみたり等、何かを考え込んでいる事が明らかな動作を見せ始めた。
Searchは先ほどにも増して純次の伝えたい事が分からなくなってきたのか、ほんの少しだけ不思議がるような視線で純次を見詰めている。
そして、Searchが純次に対して自分は何か理解を誤ったのかと確認するべきかと思い始めた頃、純次はSearchの思考の中で起こっている勘違いを理解し、小さく吹き出す様に笑い出す。
「あはは。Searchちゃん、僕が言いたいのはそういう事じゃないよ。」
「ならば、何が言いたかったんだ。」
この期に及んでも純次の言いたい事を理解しきれていない上、あまり興味も無さそうなSearchの声に、捜査一課の警察官達は基本的にはただ呆れ返っているだけだったが、その中の極一部には、純次があまりにも報われない献身を続けているような気がしてきて、ほんの少しだけ純次を哀れむ者も出始めていた。
そう、純次がどれだけ献身的に善意のみでSearchに接したところで、Searchがそれに応えようとする事は無く、周囲も純次の善意に高い評価を出す訳ではなく、給料等の数値的な見返りがある訳でもなく、昇進等の純次の地位向上に繋がる訳でもない。
だが、それでも純次はSearchに対し献身的ともいえる態度をとる事をやめようとしないのだから、例え口先では見返りを求めないと宣言していても本当に一切の見返りが無い献身など最終的には続けていられなくなるのが人間の本性だと知っている者達の間では、何故純次は精神的にも金銭的にも社会での立場的にも一切の得や見返りが無く、傍から見る限りは寧ろ不利益しか生まないのではとすら思えるこの行為を止めないでいられるのだろうか? という疑問が度々浮上するのである。
その為、今この瞬間に純次をほんの少しだけ哀れんだ極々少数の警察官達の脳内にも当然ながらその疑問が浮上しているのだが、純次がそれに気付いている様子は無く、純次がSearchに対して取っている態度やその逆への疑問を感じさせる様子もないものだから、捜査一課の警察官達はSearchという元々この社会にとって規格外である事が明らかな存在を理解できないだけでなく、純次という本来はこの社会にとって規格内であった筈の存在の事も理解できなくなっていくのだ。
とにかく、純次は捜査一課の警察官達の遠巻きに異質なものを見るような視線、或いはその気配を窺うような気配に曝されながらもそれに気を取られる事は無く、また、Searchのそっけない態度に心折られる事すらも無く、穏やか且つ楽しそうな笑みをその顔に浮かべてSearchからの問いに返答する。
「僕が言いたかったのはね、四月からの学校生活がSearchちゃんにとって素敵でキラキラした日々になるように祈ってるよ、って事だよ。他の先生達は勿論、生徒の皆とも仲良く過ごしてほしいから……そうなるように、応援してるね! ……って。」
純次がそう言い終えた瞬間、現在このオフィスにいる捜査一課の警察官達全員が内心呆れ返って脳内で項垂れた事は最早言うまでもないだろう。
それは、捜査一課の警察官達には今回Searchに潜入捜査が命じられた理由を純次が読み間違えているようにしか思えなかったからか、それともSearchと学校関係者達の間で良好な関係か築けると思っている純次が馬鹿にしか思えなかったからか、それともその両方だったのか、などという事情を純次は、そしてSearchは知らない。
しかし、今回の純次の発言は流石に突っ込み所の多い内容過ぎたらしく、純次の話を無表情で聞いていたSearchがついに自発的に口を開き
「……それは、捜査において必要の無い事だと思うが。」
と、捜査一課の警察官達が言いたくても言えない状況にあった内容をサラリと言ってしまったものであるから、捜査一課の警察官達は自身がSearchと同じ事を思っていた件について心底複雑な気持ちにならざるをえなかった。
そうして薄っすらとではあるが気まずそうな雰囲気になり始めたオフィスの中、純次はSearchに自分の応援の気持ちをあっさりと否定されてしまった訳であるが、良いのか悪いのか、純次はそこでへこたれるような性格ではないらしい。
確かに、Searchから率直な指摘を受けた直後は少し驚いたような顔をして、何かを考えて悩む様な表情も見せたが、それもほんの少しの間の事であり、その表情はスッといつも通りの穏やかな微笑に戻っていった。
表情が殆ど変化しないSearchと、穏やかな形を取りながらもその表情の変化自体は激しい純次という、アンバランスで浮世離れした二人のやりとりにそろそろ本格的に嫌気がさしてきたらしい捜査一課の警察官達を他所に、純次はもう一度Searchに語り掛け始める。
「そうだね、確かに捜査そのものには関係無い事かもしれないね。……でもね? 僕はそういう何気ない事を大切に扱う事ってとても大事だと思うから……人生って、本来そういう事の積み重ねでしょ?だから僕は、Searchちゃんにもそういう事を大切にしていって欲しいな、って思うんだ。」
純次は自分と会話をしたがっている、という事を此処に至って漸く理解したSearchは自身の右手に重ねられた純次の右手を自身の左手の緩慢な動作で軽く退けて、純次の右手から解放された自身の右手をパソコンから自身の右膝の上に置き直し、オフィスチェアを背後へ回転させて純次へ向き直った。
そして、抑揚の少ない平坦且つ無感情な声で言う。
「それで、何を話したいんだ。」
そう言ったSearchの姿は相変わらず喜怒哀楽の読み取れない無表情を浮かべている事と両足を肩幅程度に開いて座っている事が相まって、Searchの事をよく知らない誰かであれば就職活動によくある圧迫面接の様な威圧感を覚えても仕方がないかもしれない雰囲気を醸している。
人によってはその態度を一種の威嚇と受け取り、自分はSearchから拒絶されていると考え、悲しんだり憤ったりしながら自ら会話を切り上げる者もいるだろう。
しかし、実際問題としてSearchにその意思――相手を威嚇する意思があるのかというと、実はそのような事は一切無い、というのがまた難しいところである。
そうして無意識に、無自覚に、ある意味自然に他人を跳ね除けてきたSearchに対し、一切臆する事無く穏やかな笑みを浮かべて会話を続けようとする純次の姿を捜査一課の警察官達が非常に滑稽と思っている事はもはや言うまでも無いだろう。
その上、肝心のSearch本人は純次に対し何も思う所が無いのだから、このオフィスでの純次の立場は一種の孤立無援、又は四面楚歌とでも言うべき救いの無いものだったのだが、それでも純次は笑顔を絶やさず、何処までも真っ直ぐに、真面目に、真摯に、人間としてのSearchと向き合おうとし続ける。
それはおそらく、性善説かぶれの馬鹿、と呼ばれる程に人間の中の善意を心底信じて生きている純次にしかできない事だろう。
ともかく、Searchの冷淡とも受け取れる平坦な反応を聴きつつも、純次は笑顔を絶やさなかった。
そして同時に、その笑顔に徐々に柔らかな雰囲気を混ぜ込んでいく。
その表情の意味を理解できずに相変わらず無表情で純次を見ているだけのSearchを穏やかな視線で見詰める純次の脳裏には、まだ十三歳の少女だった頃のSearchの姿が若干のノスタルジーを伴って再生されていた。
今より幾らか小さい身体に今と同様の紅い眼をギラつかせ、今以上に感情の読み取れない無を極めた様な表情を浮かべながら、自分は人間ではなく殺人鬼という生き物だと当たり前の様に認識し、それを平然と公言していたあの頃。
その頃Searchに比べれば、今のSearchは随分と人間らしく成長したものだ、と迷い無く信じている純次らしい追憶である。
勿論、その様子をまだ若干は気に留めている捜査一課の警察官達はその様な事は一切思っていないのだが、というのはこの際別の話にしておくとしよう。
ともかく、Searchの人間的成長を信じる純次は、不機嫌ながらも密かに耳を欹てている部分のある捜査一課の警察官達の嫌悪と軽蔑の気配など気に留めることはせず、改めて口を開く。
「何を、って言われると難しいんだけど……そうだね、簡単に言うなら、四月からの潜入捜査、頑張ってね! ……って話かな?」
純次はとびきりの笑みとでも言うべき表情を浮かべながらSearchに応援の言葉を送ったが、送られた側であるSearchは何故純次がそのような事を言っているのか理解できなかったようで、何かを考え込む様な表情に見えなくもないが殆ど無表情と変わらない顔をして、ほんの僅かに首を傾げた。
Searchは純次の言葉の意図を一応は理解しようと努めているようだったが、純次の発した言葉だけではSearchにとってはそこに込められた意図を理解する為のヒントが少な過ぎたらしく、傾げた首は中々元の角度に戻らない上、純次の言葉に対する返答も出てこない。
そして、その沈黙を感じ取った捜査一課の警察官達がこのまま二人の会話が終わって純次が本来の部署のオフィスに戻る事を願いだした、その時だっただろうか。
「……今回の指令は今までとは違い、標的の正体が不明なものだ。完遂出来るという確信は持てない。」
傾げていた首を元の角度に戻し、元々微弱にしか感じ取れない程度ではあったがそれでも確かに浮かべていた何かを考え込むような表情を顔から消し去って、Searchが淡々と返答した。
その声を聞いた捜査一課の警察官達の表情が若干曇る、のは最早当たり前の話だろう。
それよりも重要なのは、Searchの返答を聞いた純次が不思議な事に一瞬何かに驚いたような表情を浮かべた事の筈だ。
驚きにも似た表情を浮かべた純次は、次第に何か困惑したような表情を浮かべ始め、少し悩ましげな顔をしながら自らの顎に手を当てたり、それをやめたと思ったら両腕を組んでみたり等、何かを考え込んでいる事が明らかな動作を見せ始めた。
Searchは先ほどにも増して純次の伝えたい事が分からなくなってきたのか、ほんの少しだけ不思議がるような視線で純次を見詰めている。
そして、Searchが純次に対して自分は何か理解を誤ったのかと確認するべきかと思い始めた頃、純次はSearchの思考の中で起こっている勘違いを理解し、小さく吹き出す様に笑い出す。
「あはは。Searchちゃん、僕が言いたいのはそういう事じゃないよ。」
「ならば、何が言いたかったんだ。」
この期に及んでも純次の言いたい事を理解しきれていない上、あまり興味も無さそうなSearchの声に、捜査一課の警察官達は基本的にはただ呆れ返っているだけだったが、その中の極一部には、純次があまりにも報われない献身を続けているような気がしてきて、ほんの少しだけ純次を哀れむ者も出始めていた。
そう、純次がどれだけ献身的に善意のみでSearchに接したところで、Searchがそれに応えようとする事は無く、周囲も純次の善意に高い評価を出す訳ではなく、給料等の数値的な見返りがある訳でもなく、昇進等の純次の地位向上に繋がる訳でもない。
だが、それでも純次はSearchに対し献身的ともいえる態度をとる事をやめようとしないのだから、例え口先では見返りを求めないと宣言していても本当に一切の見返りが無い献身など最終的には続けていられなくなるのが人間の本性だと知っている者達の間では、何故純次は精神的にも金銭的にも社会での立場的にも一切の得や見返りが無く、傍から見る限りは寧ろ不利益しか生まないのではとすら思えるこの行為を止めないでいられるのだろうか? という疑問が度々浮上するのである。
その為、今この瞬間に純次をほんの少しだけ哀れんだ極々少数の警察官達の脳内にも当然ながらその疑問が浮上しているのだが、純次がそれに気付いている様子は無く、純次がSearchに対して取っている態度やその逆への疑問を感じさせる様子もないものだから、捜査一課の警察官達はSearchという元々この社会にとって規格外である事が明らかな存在を理解できないだけでなく、純次という本来はこの社会にとって規格内であった筈の存在の事も理解できなくなっていくのだ。
とにかく、純次は捜査一課の警察官達の遠巻きに異質なものを見るような視線、或いはその気配を窺うような気配に曝されながらもそれに気を取られる事は無く、また、Searchのそっけない態度に心折られる事すらも無く、穏やか且つ楽しそうな笑みをその顔に浮かべてSearchからの問いに返答する。
「僕が言いたかったのはね、四月からの学校生活がSearchちゃんにとって素敵でキラキラした日々になるように祈ってるよ、って事だよ。他の先生達は勿論、生徒の皆とも仲良く過ごしてほしいから……そうなるように、応援してるね! ……って。」
純次がそう言い終えた瞬間、現在このオフィスにいる捜査一課の警察官達全員が内心呆れ返って脳内で項垂れた事は最早言うまでもないだろう。
それは、捜査一課の警察官達には今回Searchに潜入捜査が命じられた理由を純次が読み間違えているようにしか思えなかったからか、それともSearchと学校関係者達の間で良好な関係か築けると思っている純次が馬鹿にしか思えなかったからか、それともその両方だったのか、などという事情を純次は、そしてSearchは知らない。
しかし、今回の純次の発言は流石に突っ込み所の多い内容過ぎたらしく、純次の話を無表情で聞いていたSearchがついに自発的に口を開き
「……それは、捜査において必要の無い事だと思うが。」
と、捜査一課の警察官達が言いたくても言えない状況にあった内容をサラリと言ってしまったものであるから、捜査一課の警察官達は自身がSearchと同じ事を思っていた件について心底複雑な気持ちにならざるをえなかった。
そうして薄っすらとではあるが気まずそうな雰囲気になり始めたオフィスの中、純次はSearchに自分の応援の気持ちをあっさりと否定されてしまった訳であるが、良いのか悪いのか、純次はそこでへこたれるような性格ではないらしい。
確かに、Searchから率直な指摘を受けた直後は少し驚いたような顔をして、何かを考えて悩む様な表情も見せたが、それもほんの少しの間の事であり、その表情はスッといつも通りの穏やかな微笑に戻っていった。
表情が殆ど変化しないSearchと、穏やかな形を取りながらもその表情の変化自体は激しい純次という、アンバランスで浮世離れした二人のやりとりにそろそろ本格的に嫌気がさしてきたらしい捜査一課の警察官達を他所に、純次はもう一度Searchに語り掛け始める。
「そうだね、確かに捜査そのものには関係無い事かもしれないね。……でもね? 僕はそういう何気ない事を大切に扱う事ってとても大事だと思うから……人生って、本来そういう事の積み重ねでしょ?だから僕は、Searchちゃんにもそういう事を大切にしていって欲しいな、って思うんだ。」