謎会話ログ≪1≫

【されど、長きを生きるは惜しまれぬ黒き彼なり】

※本編より40年近く前※


≪場所:大学構内、廊下≫
黒夜「(さて、この後は教授に話があるから、ゼミ室に――ん?)」

男子学生A「そういえばさ~、××ゼミの白夜先輩ってめっちゃ有能だよな~。」
男子学生B「あー、分かる分かる! 俺らと同じ学生なのに、なんかすごく頭良いよな!」
男子学生C「それでいて後輩である俺達への態度も穏やかだし、ああいうのを出来る人って言うんだろうな。」
男A「それな~。そういえば、オレのこの前の研究、実は白夜先輩のおかげで進んだようなもんでさ~……」
黒夜「(あっちに居るのは、確か、△△ゼミの……兄さんとは別のゼミなのに、教授じゃなくて兄さんにヘルプを求めていたなんて……まぁ、兄さんが優秀なのは確かな事実だし、兄さんは困っている人を放っておける性質じゃないから割とよくある事だけど。)」
男A「……って感じで、白夜先輩のアドバイス通りにしてみたら上手くいったってワケ!!」
男C「へぇ、お前みたいなお調子者のお間抜け野郎にも実践可能なアドバイスをくれるなんて、流石は光闇先輩だな。」
男A「ちょっ、おマエ酷くね!?」
男B「酷くはねぇだろww 事実だしww」
男A「オメーもかよ!?」
男B・C「アハハハハww」
黒夜「(……確かに、あの男に物を教えるのは至難の業に見えるな……そんな奴にも分かり易く実践し易いアドバイスができるなんて、やっぱり兄さんは凄いや。)」

男A「つーかオメーさ、白夜先輩を光闇先輩って呼ぶのやめろよ、ややこしいから。」
男C「ややこしい?」
黒夜「(……まさか)」
男B「あー、確かにややこしいよな。××ゼミの光闇先輩って『一人じゃない』し。」
男C「ん? それってどういう意味だ?」
男A「なんだよオメェ、知らねーのかよ……。」
男C「だから、何がだよ?」

男A「あのなぁ……××ゼミには、白夜先輩の弟なのに白夜先輩とは似ても似つかねぇ『光闇 黒夜』っていうヤロウが居るんだって!」

黒夜「(……ああ、やっぱり僕の事か……。)」
男C「へぇ、光闇先輩に弟なんて居たのか。」
男A「居るんだよ!! しかも白夜先輩とは真逆のチョーいけすかねー感じのヤツが!! なぁ!?」
男B「そうそう、白夜先輩の劣化コピーみたいな不愛想でちっこい奴が居るんだよ!」
男C「不愛想で小さい劣化コピー、なぁ……」
男B「白夜先輩とは一卵性の双子だってウワサもある奴だけど、白夜先輩と違っていつも不機嫌そうだし、白夜先輩ほど有能な訳じゃないし、ついでに背もずっとチビだから本当に一卵性の双子かどうかは怪しいところだよなぁ~。」
黒夜「(……常々そんな目で見られていれば、無愛想になるのも仕方ない事じゃないか……なんて、コイツ等は思わないんだろうな。)」
男A「ま~、歳は同じだし双子なのはホントかもだけど、一卵性かどうかは怪しいよな~ww」
男B「割とそれだわww あるいは、遺伝子の不思議ってヤツ?」
男A「勿論、悪い意味で!ww だからお前も気を付けろよー? 白夜先輩は超有能で優しくて頼りになるけど、黒夜センパイは微妙で不愛想で頼りにならねぇからな!ww」
男C「あーハイハイ、お前のお守りが出来るなんて、白夜先輩は有能だよなー」
男A「テメッ、また言ったな~!?」

黒夜「(……全く、どいつもこいつも勝手な事を……兄さんを褒めるのは良いけど、同時に僕を貶す必要は無いじゃないか!! そもそも、お前等は兄さんの事すら便利な上級生としか思っていないクセに……ッ!! ああもう、気分が悪い!! 別の道を通ろう!!)」


≪場所:大学構内、××ゼミ室≫
黒夜「(ハァ……やっと、ゼミ室前に着いた……とりあえず、室内に入ったらまずは必要な資料を集めて、それから教授に――)」(考えながらゼミ室のドアを開ける)
白夜「あ、黒夜!」
秀造「おや、黒夜さんではありませんか。」
黒夜「兄さんと、秀造くん……今は、2人だけ?」(室内に入って扉を閉めつつ)
白夜「そうだよ。さっきまでは他の人も何人か居たんだけど、丁度少し前に出て行ったばかりでね。」
秀造「○○ゼミの方々が白夜さんの助力を乞いにいらっしゃっていまして、中々華やかな状況でしたよ。」
黒夜「……そう。」
白夜「えっと……黒夜? なんだか疲れている様に見えるけど……」
黒夜「別に……疲れている訳じゃないから。」
白夜「そうかい? でも、無理は身体に毒だからね。何か大変な事があるなら、その時は黒夜も私を頼ってくれて良いんだよ?」
黒夜「あぁうん……その時は言うよ、その時は……今は、大丈夫だから。」
秀造「(おやおや、これは中々に複雑な状況の様ですねぇ……まぁ、白夜さんも中々に『罪な存在』だと言ったところでしょうか……黒夜さんの立場を悪意も何も無いまま自然と悪くしている『最大の原因は誰』なのか、お気付きではないようですから。)」
白夜「それなら良いけれど……あまり抱え込まない様に、ね?」
黒夜「大丈夫、別に何も抱えてないから……。」
白夜「(本当に大丈夫、なのかな……?)」
秀造「黒夜さん、私がお聴きする事も出来ますので、気が向いた際はどうぞお気軽にお声掛けください。」
黒夜「……まぁ、ありがとうとは先に言っておくよ。但し、笑顔が胡散臭い気がして仕方ないとも先に言っておくけど。」
白夜「ちょっ、ちょっと黒夜!? それは秀造くんに失礼だよ!?」
秀造「フフ……私は別に構いませんよww」
黒夜「自覚、あるんだね?」
白夜「だ、だからそういう事は言っちゃ駄目だってば!!」

黒夜「(……そういう注意の台詞って、僕が言ったら複数人から『お堅い根暗の真面目アピール(笑)』扱いされるだけなのに、兄さんが言うと『他人の気持ちを思い遣れる良い人』として高い評価を得られるんだよね……何だか、世の中の理不尽を見せ付けられる様な気分だなぁ……まぁ、だからって僕が兄さん自身を憎いと思う事は無いんだけど、さ。)」


登場人物:
光闇 黒夜 (白夜の双子の弟。低めの身長と黒髪、凛々しい目付きが特徴。クール系という名の不愛想)
光闇 白夜 (黒夜の双子の兄。高めの身長と白髪、優しげな目付きが特徴。穏やか系という名のお人好し)
天照 秀造 (白夜&黒夜と愛華&百合花の後輩。この時点ではまだ20代だが雰囲気は既に老紳士である)
男子学生ABC (今でいう陽キャであり普通程度に嫌な性格のモブ学生達。白夜と黒夜より下の学年。)

補足情報:
本作は黒夜と白夜と秀造(と愛華と百合花)が大学生~大学院生だった時期の話です。
また、タイトルが示す『未来の結果』は飽く迄も【KitS】の場合に限った事となります。
(※【RES】の場合は『逆』と言える状態になる為。)
99/100ページ