謎会話ログ≪1≫

【所詮は何方も大概な『個人の欲望』かもしれないけど、それならせめて『対象者も喜べる方』を優先すべきでしょ? ……と、彼は内心でほくそ笑む】(※【KitS 3】後日談 番外編6)

※藤咲 満のヤンデレ化に注意※
※後日談番外編4より後の話※
※実質的なIF(もしも)ネタ※


≪場所:2-2教室≫
満「じゃあ、今日は此処まで。皆、宿題を忘れないでね。」
男子の声「ふぃー、やっと終わったぜ……」「っしゃ!! 休み時間だ!!」
女子の声「ねーねー、一緒にトイレ行こ?」「そーだね、行こ行こ♪」
満「(……さて、僕も……ん?)」

未彩「……。」(教室を出ていく)
真波「……。」(そんな未彩を眺めている)

満「(……桜木 真波のあの様子、少し引っ掛かるな……)ねぇ真波ちゃん、どうしたの?」
真波「へっ? あ~、藤咲先生……」
満「未彩ちゃんの方を気にしている様に見えたけど、どうかしたの?(……お前が気にする理由なんて、既に無いだろうに。)」
真波「いやぁ~、その~、先生には関係無いんでぇ~ー……」
満「(……ったく、面倒だな……あんまり時間は掛けたくないのに……此処は少し強めに出ようか。)関係無いって事は無いんじゃない? 君も僕が受け持つクラスの生徒なんだからさ。」
真波「それはそーだけどー……」
満「(チッ、変に強情だな……仕方ない、少し荒っぽいかもしれないけど――)……ねぇ、もしかして未彩ちゃんと喧嘩でもしちゃった?」
真波「は!? そ、そんなの、どこでっ」
満「あ、やっぱりそうなんだ?(……まぁ、とっくの昔に全部知ってるけど。)」
真波「そ、そんなコトっ」
満「隠さなくて良いよ。で、未彩ちゃんと喧嘩した真波ちゃんは、どうして未彩ちゃんをじっと見ていたのかな?」
真波「う~……」
満「……もしかして、仲直りの機会でも探してた?(そんな事、僕が絶対にさせないけど。)」
真波「……そんなトコ、デス……」
満「ふーん、そっかぁ……(やっぱり、そういう事だったか……あぁ、苛々する……さて、此処からコイツの気持ちを折るには……そうだ!)……ねぇ、それって『どんな理由』なの?」
真波「へ?」
満「だから、真波ちゃんが未彩ちゃんと仲直りしたいと思い始めたのはどうしてなの?」
真波「そ、それは……あの時はあたしもちょっと言い過ぎたかなーとは思ったし、あれから結構経ったし、それに……」
満「……それに?」
真波「あたしと未彩ってマサナも合わせて一緒に居る事が割とあったし、マサナは良い奴だから未彩の面倒も結構見てたし……でも、暫く前から急に居なくなっちゃって、それが寂しくて……そういうの、未彩とだったら分かり合えるんじゃないかなー、って……」
満「……ふぅん。(ハァ……腹が立つを通り越して呆れるしかない程の『くだらない理由』過ぎるじゃないか。やっぱり、未彩ちゃんにこのクソアマは要らないや。でも、未彩ちゃんの性格だとコイツから接触してきた場合は拒否しきれないだろうし……コイツによるコイツの為の馬鹿げた希望的観測という『友情に見せ掛けた身勝手な願望』は僕が此処で完膚なきまでに砕いてあげないとね。僕の為は勿論だけど、それだけじゃなく……結局『また使い捨てられる』事になりそうな未彩ちゃんの為にも。)」

真波「だ、だって、マサナが居なくなって寂しいのって多分あたしだけじゃなくて未彩も同じ筈だし、それなら今度こそちゃんと向かい合って良い感じに支え合えたら、って……あたしも未彩の気持ちが分かったから、って」
満「何処が分かったの?」

真波「……え?」
満「だから、真波ちゃんは未彩ちゃんの気持ちの何処が分かったの?」
真波「え、えっと……マサナが居なくなって、あたしとも話せなくなって、寂しいだろうなぁ、って……」
満「でも、仲直りしたい理由は『真波ちゃんが寂しいから』なんだよね? 未彩ちゃんを慰めたいんじゃなくて、未彩ちゃんに慰めて欲しい『だけ』なんだよね?」
真波「そ、そんな言い方って!!」
満「君が自分で言っていた事だよ? まず君自身が寂しい目に遭って、だから未彩ちゃんもそうかもと思った、って……そういう流れで、言ったよね?」
真波「それは! ……そう、だけど……」
満「ねぇ、そんな気持ちでの仲直りって、本当に『未彩ちゃんの為にもなる』のかな? 飽く迄も真波ちゃんが得をするだけで、未彩ちゃんには何の得も無いんじゃないの?」
真波「でも!! 友達って損得じゃ」
満「じゃあ、真波ちゃんはどうして未彩ちゃんと喧嘩をして、それ以来ずっと接触を避けていたの? 『自分の』日常や心の『損』になると判断したからじゃないの?」
真波「え……なんで、それ……」
満「……フフ、僕は君達の担任だからね。直接の相談を受けていない場合でも教室内の色々には目を配る様にしているんだよ?(……というのは、本当でもあり嘘でもあるけどね……目を配っているのは確かだけど、この件に関しては未彩ちゃんから聴いた部分も多いし。)」
真波「……。」
満「ねぇ、具体的にどういう喧嘩をしたのかは知らないけどさ、喧嘩を理由に一度は強烈に切り捨てて、それを仕方ない事だと呑み込んでくれた人に対して『自分が寂しい目に遭った』なんて理由で仲直りを求めるのって……凄く損得勘定らしい考えで、とっても打算的な選択だと思わない?」
真波「それ、は……」
満「特にさ、未彩ちゃんが自分を『加害者』だと思う様に『悪いのは未彩ちゃんだという認識を真波ちゃんの言動が未彩ちゃんに刷り込んでいたら』それは尚更だよね。だって、加害者が被害者の意向に逆らう事は出来ないなんて司法の上でもよくある事だし、意向と同時に目の前にチラつかされる報酬が『赦しに似た好意的な態度』だなんて事になれば拒否出来ないのは最早当然……それって、未彩ちゃんの心を弄んでいる様でズルくないかな?」
真波「あ、あたしはそんな事考えてなんて……」
満「考えずに自然とやるから余計に性質が悪いって言っているんだよ? それに……その意向は『真波ちゃんが寂しくなくなるまで』の事なんでしょ? ねぇ、もし未彩ちゃんと仲直りした後になって未彩ちゃんよりも上手く慰めてくれる他の友達やマサナくんに代わる誰かが現れたり『マサナくん本人が戻ってきた』ら、未彩ちゃんの事はどうする気なの? また君の都合で手放すの?(……まぁ、最後の一つはあり得ないけどね? マサナくんは未彩ちゃんが僕の隣で殺したから。)」
真波「……。」
満「……とにかく、この辺りの話にマトモな答えが出せないなら未彩ちゃんには接触しない方が良いと思うよ? 君達両方の為にね。……大体、君には自分の為を思う必要はあっても未彩ちゃんの為を思う必要なんて『もう無い』筈でしょ?」
真波「(確かに、あたしは未彩と絶交するって……あんたなんてもう知らない、ってあの時……あれ? でも、この人、なんかちょっと『知り過ぎて』ない? 気の所為、かな……)」
満「(……少し危ない橋ではあったけど、とりあえずの目的は達成出来たかな。まぁ、コイツ程度はいざとなれば僕が殺せば済む事だしね。)」


登場人物:
藤咲 満 (未彩ちゃんの拠り所は僕だけで良い、と素で思っている)
桜木 真波 (まぁ、結局は満の指摘通りの陽キャですし……)
清上院 未彩 (満の共犯者で交際相手の陰キャですが、何か?)

補足情報:
この会話はフィクションです。
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