謎会話ログ≪1≫
【彼女は既に何方にも属せない】(※【KitS 1】関連、if系)
≪場所:2-2教室≫
昭義「真波ちゃんって『正に女の子!』って感じだなー……なんか、俺には分かんない所も多いや。」
未彩「そうだな。真波の様な女らしい女の事は、お前や俺には理解しきれない部分が多いものだろう。」
昭義「えっ? でも……未彩ちゃんだって女の子だよね?」
未彩「……まぁ、一応はな。」
昭義「一応、って……」
未彩「確かに俺の性別は真波と同じ女だ。だが、だからと言って真波が持つ様な『女性らしさ』を真波と同じ様に持っているかと問われれば、其処にYESと答える事は出来ない。それに……俺は女を捨てる様な生き方を続け過ぎたからな。」
昭義「けど……未彩ちゃんは俺とか藤咲先生とかに未彩『ちゃん』って言われても嫌がらないし、心は男性って訳じゃない……んだよね?」
未彩「ああ、俺は性同一性障害持ちという訳ではない。故に、精神的に『確かな男』であるという訳ではないのだが……かと言って、今更『確かな女』に属そうとしたり寄せようとしたりする様な行動は……俺には既に似合わないし、そこで生まれる『違和感』は俺よりも『周囲が嫌がる』事だろうな。」
昭義「……で、でもっ! そんなのやってみなくちゃ分からないって!」
未彩「……なら、試してみる?」
昭義「え……。」
未彩「ねぇ、どうかな? これでも最初はこうだったんだよ? 私だって『ちゃんと私だった』んだよ? 違和感しかないとは思うけど、ね。」
昭義「あ……えっと……。」
未彩「まぁ、その顔を見ればわかるよ。貴方が今、私に対して思っている事は……『らしくない』なんでしょ? 全く可愛げの無い見た目と一応は女の範囲だけど男の様に聞こえない事もない半端に低い声でこんな言葉遣いをされても変にしか感じられない……って、思ってるんでしょ?」
昭義「いや、その……」
未彩「でもさ、これが『私が女の子をする』って事だよ? 真波みたいな『女性らしさ』を表に出すって事だよ?」
昭義「(……駄目だ……違和感が凄いと思ったのは本当だし、反論が思い浮かばない……俺も自分で思っていた以上に『男らしい未彩ちゃん』に慣れていて、それが普通だって気がしてたのかも……。)」
未彩「……と、まぁそういう訳だ。」
昭義「あ……。」
未彩「お前が最初に思った通り、俺は確かに女として生まれ、それに違和感を抱かない程度には性自認が女である側だ。そして、過去には先程の様な喋りだった時期もある。……だがな、だとしても今の俺は『普通の女』に属そうとするには、もう……遅いんだよ。」
昭義「……。」
未彩「先程の様な事は俺自身にもかなり強烈な違和感が生じる行為なだけでなく、周囲がそれ以上に強固な違和感を覚えてしまう行為だ。……そう、俺が普通の女の様な言動を取れば、俺も周囲もそれを俺らしくないと感じる……男の様な女という『男でも女でもない』清上院 未彩を今更普通の女性に属させる事など、俺にも他人にも『既に同じく不可能な事』なんだ。……一人称や言葉遣い以外の事も色々と含めて、な。」
昭義「(そっか……大体が男か女にクッキリ分かれる世界で、未彩ちゃんはどっちにも入れないまま、ずっと……)……ゴメン、俺、無神経だった……。」
未彩「フッ、俺がこの様な立ち位置に至ったのは俺が『求めるべき力を選び間違えた』らしい所為でもあるし、別にお前が謝る必要は無い……というか、それで謝った奴はお前が初めてだ。」
昭義「……そう、なんだ……(みんな、悪いと思わないんだ……ん、あれ? 待って、今……)あのさ、求めるべき力を選び間違えたって、どういう事?」
未彩「……俺は、自らだけで抗い切る力が――『強さ』が欲しかった。」
昭義「抗い切る、強さ……?」
未彩「あぁ。だが……本来求めるべき力は、そんなものではなかったらしい。或いは、この方法では実現できない事だった、という可能性もあるかもしれないな。」
昭義「それってどういう……」
未彩「……しおらしく傷付いて見せれば大人も混ぜた傍観者達からの同情を幾つも買えたのかもしれないが、残念ながら俺はそれよりも自ら戦う事を選んでしまった。本当は大して強くもないという実態を隠す様に、自らの基礎属性に反して雄々しく振舞おうと必死になった……それだけの事さ。」
昭義「えっ、と……?」
未彩「ハハッ、それは状況の理解にすら至れていない奴の顔だな。まぁ、所詮は『過去の失敗』の話だ、理解は出来なくてもいい。……寧ろ、何も分からないまま終わっておいてくれ。」
昭義「あ、うん……。」
未彩「ところで畑山、お前はまだ下校しなくて良いのか?」
昭義「あー、もうこんな時間か。真波ちゃんが戻ってきたら俺は帰ろっかな。」
未彩「……真波が戻って来るかどうかは分からないぞ?」
昭義「え? でもさっき」
未彩「確かにアイツは『トイレに行ってくる』と言って教室を出たが、此処に戻って来るとは一切言っていない上、通学用の鞄を持った状態で行ったからな。既にそのまま下校済みの可能性も高い。」
昭義「ええっ!? あれって戻ってこない流れなの!?」
未彩「お前……まさか、俺と同じく色々と細かい側か? 平均的な感覚は大体あんなものだぞ? ……まぁ、かく言う俺も過去に真波やその周辺から同じ事を何度かやられて腹を立てた事があるからこそ今は『普通はそんなものだ』と流石に察している身ではある訳だが……。」
昭義「そ、そうなんだ……(でも、それって本当にそういうやり方が普通なだけじゃなくて……真波ちゃんは未彩ちゃんに大した関心が無いから、とかの可能性もあるんじゃ……なんて考えたら失礼、かなぁ……。)」
登場人物:
畑山 昭義 (放課後、少し時間を潰してから帰ろうかと思い教室を見まわした際に真波と未彩が真波の席で話している様子を発見、話に加わってみた結果……?)
清上院 未彩 (昭義が転入したクラスの生徒の一人。女子生徒でありながら一人称に『俺』を使い極めて男性的な口調で話す理由は『悪意に自ら立ち向かう強さ』を極端に求め過ぎた事にあり、内側にはまだ『私』を秘めたままの部分もある。そして、それ等の結果から女性にも男性にも属せない『中途半端故の無所属』枠と化している。)
補足情報:
この会話は「もし【Killer in the School】をゲーム形式で作るなら『エンド分岐には無関係だがキャラの深淵を覗く事は出来る選択肢』を作りたい」という実現性の低い願望の下に想像した【KitS 1】の中の「小さなif展開」と言うべき内容です。
よって、この会話は小説としての本編内にそのまま採用する可能性が低い内容となっています。
また、昭義の台詞の太文字部分は選択肢そのものや選択肢に密接に関係する昭義の思考を書いた文章です。
補足情報2:
1回目の別選択肢は「あー……そう、だね?」であり、その場合は未彩が「あぁ、俺達には分からない領域だ。」等と言った後に会話内容が終盤部分(未彩が「ところで畑山、お前は~」と言い出す箇所)へ飛ぶ。
2回目の別選択肢は「そうなんだ……。」であり、その場合は未彩が「あぁ、そういうものだ。」等と言った後に会話内容が終盤部分へ飛ぶ。
3回目の別選択肢は「……。」であり、その場合は直後に会話内容が終盤部分へ飛ぶ。
……と想像中。
≪場所:2-2教室≫
昭義「真波ちゃんって『正に女の子!』って感じだなー……なんか、俺には分かんない所も多いや。」
未彩「そうだな。真波の様な女らしい女の事は、お前や俺には理解しきれない部分が多いものだろう。」
昭義「えっ? でも……未彩ちゃんだって女の子だよね?」
未彩「……まぁ、一応はな。」
昭義「一応、って……」
未彩「確かに俺の性別は真波と同じ女だ。だが、だからと言って真波が持つ様な『女性らしさ』を真波と同じ様に持っているかと問われれば、其処にYESと答える事は出来ない。それに……俺は女を捨てる様な生き方を続け過ぎたからな。」
昭義「けど……未彩ちゃんは俺とか藤咲先生とかに未彩『ちゃん』って言われても嫌がらないし、心は男性って訳じゃない……んだよね?」
未彩「ああ、俺は性同一性障害持ちという訳ではない。故に、精神的に『確かな男』であるという訳ではないのだが……かと言って、今更『確かな女』に属そうとしたり寄せようとしたりする様な行動は……俺には既に似合わないし、そこで生まれる『違和感』は俺よりも『周囲が嫌がる』事だろうな。」
昭義「……で、でもっ! そんなのやってみなくちゃ分からないって!」
未彩「……なら、試してみる?」
昭義「え……。」
未彩「ねぇ、どうかな? これでも最初はこうだったんだよ? 私だって『ちゃんと私だった』んだよ? 違和感しかないとは思うけど、ね。」
昭義「あ……えっと……。」
未彩「まぁ、その顔を見ればわかるよ。貴方が今、私に対して思っている事は……『らしくない』なんでしょ? 全く可愛げの無い見た目と一応は女の範囲だけど男の様に聞こえない事もない半端に低い声でこんな言葉遣いをされても変にしか感じられない……って、思ってるんでしょ?」
昭義「いや、その……」
未彩「でもさ、これが『私が女の子をする』って事だよ? 真波みたいな『女性らしさ』を表に出すって事だよ?」
昭義「(……駄目だ……違和感が凄いと思ったのは本当だし、反論が思い浮かばない……俺も自分で思っていた以上に『男らしい未彩ちゃん』に慣れていて、それが普通だって気がしてたのかも……。)」
未彩「……と、まぁそういう訳だ。」
昭義「あ……。」
未彩「お前が最初に思った通り、俺は確かに女として生まれ、それに違和感を抱かない程度には性自認が女である側だ。そして、過去には先程の様な喋りだった時期もある。……だがな、だとしても今の俺は『普通の女』に属そうとするには、もう……遅いんだよ。」
昭義「……。」
未彩「先程の様な事は俺自身にもかなり強烈な違和感が生じる行為なだけでなく、周囲がそれ以上に強固な違和感を覚えてしまう行為だ。……そう、俺が普通の女の様な言動を取れば、俺も周囲もそれを俺らしくないと感じる……男の様な女という『男でも女でもない』清上院 未彩を今更普通の女性に属させる事など、俺にも他人にも『既に同じく不可能な事』なんだ。……一人称や言葉遣い以外の事も色々と含めて、な。」
昭義「(そっか……大体が男か女にクッキリ分かれる世界で、未彩ちゃんはどっちにも入れないまま、ずっと……)……ゴメン、俺、無神経だった……。」
未彩「フッ、俺がこの様な立ち位置に至ったのは俺が『求めるべき力を選び間違えた』らしい所為でもあるし、別にお前が謝る必要は無い……というか、それで謝った奴はお前が初めてだ。」
昭義「……そう、なんだ……(みんな、悪いと思わないんだ……ん、あれ? 待って、今……)あのさ、求めるべき力を選び間違えたって、どういう事?」
未彩「……俺は、自らだけで抗い切る力が――『強さ』が欲しかった。」
昭義「抗い切る、強さ……?」
未彩「あぁ。だが……本来求めるべき力は、そんなものではなかったらしい。或いは、この方法では実現できない事だった、という可能性もあるかもしれないな。」
昭義「それってどういう……」
未彩「……しおらしく傷付いて見せれば大人も混ぜた傍観者達からの同情を幾つも買えたのかもしれないが、残念ながら俺はそれよりも自ら戦う事を選んでしまった。本当は大して強くもないという実態を隠す様に、自らの基礎属性に反して雄々しく振舞おうと必死になった……それだけの事さ。」
昭義「えっ、と……?」
未彩「ハハッ、それは状況の理解にすら至れていない奴の顔だな。まぁ、所詮は『過去の失敗』の話だ、理解は出来なくてもいい。……寧ろ、何も分からないまま終わっておいてくれ。」
昭義「あ、うん……。」
未彩「ところで畑山、お前はまだ下校しなくて良いのか?」
昭義「あー、もうこんな時間か。真波ちゃんが戻ってきたら俺は帰ろっかな。」
未彩「……真波が戻って来るかどうかは分からないぞ?」
昭義「え? でもさっき」
未彩「確かにアイツは『トイレに行ってくる』と言って教室を出たが、此処に戻って来るとは一切言っていない上、通学用の鞄を持った状態で行ったからな。既にそのまま下校済みの可能性も高い。」
昭義「ええっ!? あれって戻ってこない流れなの!?」
未彩「お前……まさか、俺と同じく色々と細かい側か? 平均的な感覚は大体あんなものだぞ? ……まぁ、かく言う俺も過去に真波やその周辺から同じ事を何度かやられて腹を立てた事があるからこそ今は『普通はそんなものだ』と流石に察している身ではある訳だが……。」
昭義「そ、そうなんだ……(でも、それって本当にそういうやり方が普通なだけじゃなくて……真波ちゃんは未彩ちゃんに大した関心が無いから、とかの可能性もあるんじゃ……なんて考えたら失礼、かなぁ……。)」
登場人物:
畑山 昭義 (放課後、少し時間を潰してから帰ろうかと思い教室を見まわした際に真波と未彩が真波の席で話している様子を発見、話に加わってみた結果……?)
清上院 未彩 (昭義が転入したクラスの生徒の一人。女子生徒でありながら一人称に『俺』を使い極めて男性的な口調で話す理由は『悪意に自ら立ち向かう強さ』を極端に求め過ぎた事にあり、内側にはまだ『私』を秘めたままの部分もある。そして、それ等の結果から女性にも男性にも属せない『中途半端故の無所属』枠と化している。)
補足情報:
この会話は「もし【Killer in the School】をゲーム形式で作るなら『エンド分岐には無関係だがキャラの深淵を覗く事は出来る選択肢』を作りたい」という実現性の低い願望の下に想像した【KitS 1】の中の「小さなif展開」と言うべき内容です。
よって、この会話は小説としての本編内にそのまま採用する可能性が低い内容となっています。
また、昭義の台詞の太文字部分は選択肢そのものや選択肢に密接に関係する昭義の思考を書いた文章です。
補足情報2:
1回目の別選択肢は「あー……そう、だね?」であり、その場合は未彩が「あぁ、俺達には分からない領域だ。」等と言った後に会話内容が終盤部分(未彩が「ところで畑山、お前は~」と言い出す箇所)へ飛ぶ。
2回目の別選択肢は「そうなんだ……。」であり、その場合は未彩が「あぁ、そういうものだ。」等と言った後に会話内容が終盤部分へ飛ぶ。
3回目の別選択肢は「……。」であり、その場合は直後に会話内容が終盤部分へ飛ぶ。
……と想像中。