謎会話ログ≪1≫

【嘲笑されし醜形を保つ者の信念という深淵】(※【KitS 1】関連、if系)


≪場所:校舎内、廊下≫
昭義「Search先生って、女の子からの人気が高いんですね。」
満「そうだよ。まぁ、Searchちゃんが実は女性だって事に気付くまでの短い期間だけの子も多いんだけどね。でも、Searchちゃんが見た目的にも大いにカッコイイのは確かに事実だから、不思議には思わないかな。」
昭義「へぇ~……。」
満「ま、僕みたいなパッとしないタイプとはレベルが違うって事だよ。大体、教師なんてものはその立場とは関係無い飛び抜けた良スペックが無ければただの煩わしい大人として嫌われるのが普通だからね。その辺りは僕も例に洩れずだし。」
昭義「うーん、でも……(此処は、どう返したら良いんだろう……Search先生の件に合わせて見た目を誉めるべきかな? だとしたら……)藤咲先生もカッコイイ見た目じゃないですか。」

満「……は?」(※目に光の無い真顔)

昭義「えっ? (あれっ、なんか雰囲気が……少し、怖くなった、様な……?)」
満「……アハハ、君……それ、本気で言ってるのかな?」(※目を細めた笑顔)
昭義「それは、まぁ……(飛び抜けてカッコイイとは流石に思わないけど、並みの良さは普通にあると思うから真っ赤な嘘って訳じゃないし、見た目を褒められて嬉しくない人なんて居ないだろうし……)本気ですよ?」
満「へー……あのね? 僕、そういうお世辞や『お世辞に偽装した嫌味』は大っ嫌いなんだ。」(※目に光が無く口元だけが弧を描く笑顔)
昭義「ッ!? 俺、そんなつもりじゃ……」
満「……ねぇ、教えてあげるよ。」
昭義「えっと……何を?」
満「中学生時代の僕のあだ名の様なモノ……今の君ぐらいの歳の奴等が、それと同じ歳の僕に付けた、呼び名の事だよ。」
昭義「……藤咲先生の、中学生の頃の呼び名……。」
満「フフッ、僕はね……中学生の頃は『ブスザキ』って呼ばれていたんだ。」(※目が暗い笑顔)
昭義「えっ……何でそんな呼び方……」
満「何で、なんて事は説明するまでも無いんじゃない? そのままの意味だよ、そのままの……僕は『そう』なんだって、皆が思っていたんだよ。そういう事に関心が無いSearchちゃん以外、皆がね。……僕の言いたい事、分かる?」
昭義「……。」
満「僕の見た目は圧倒的大多数が認める『極度の不細工』であり、本当にカッコイイ訳なんて断じて存在しないんだ。だから、下手なお世辞やお世辞の皮を被った嫌味なんかは要らないよ? そんなもの、ただ腹立たしいだけだから。……まぁ、僕自身じゃなくて僕の着ている衣服がカッコイイとかだったら服の製造会社への誉め言葉としてそのまま受け取っても良いけどね。」(※最後だけ割と普通の笑みを見せる)
昭義「(藤咲先生がそんな風に考えていたなんて……でも、だったら)……それなら、変えれば良かっただけじゃないですか?
満「……それ、どういう意味?」
昭義「今の世の中、見た目なんて変えようと思えば簡単に変えられる筈ですよね? 周りに不細工だって言われて、自分でも不細工だって思っていて、それなら変えれば良かっただけなんじゃないですか? 今は男が化粧をしたって良い時代ですし、いっそ整形だって――」

満「ふざけるな。」(※笑みも目の光も完全に消えた顔)

昭義「ッ!?(今の声、地獄の底から響くみたいに重い感じだった……それに、表情も今までで一番怖い……俺、もしかして物凄い地雷を踏んだんじゃ……!?)」
満「僕はね、見た目でしか人を考えない薄っぺらで空っぽな愚か者共なんかに好かれる為に『自分を捨てる』気は無いんだよ。……例え、それが自身にとって永続する基礎的デメリットに成ろうとも……誰もが認める醜形の極みでしかないとしても……それでも『それが僕』だという事実は変わらないんだから、ね。」
昭義「……。」
満「お前には分からない事かもしれないけどさ、僕はそんな奴等の為に自分を自分で捨てて後で悔やむ羽目になるぐらいなら『最初から最後まで僕のままでいる』と既に決めているんだよ。だからそれが――僕が僕のままである事が原因で僕の見た目に嫌悪感を覚えて、そこから僕自体に強烈な嫌悪感を覚える奴はそのまま存分に僕を嫌えば良いし、僕には近寄らずに離れて行けばいい良いだけの事だ。……僕だってその程度の奴等に用なんか無いから、それで問題無いし。」
昭義「……。」
満「……それに、不細工な見た目って意外と全てが全てデメリットになるものではなくて、利点もあるんだよ? 飽く迄も対面に限る話ではあるけど、相手の見た目にしか興味が無い浅い奴等は老若男女問わず最初の時点で振り落とせる、と言うか勝手に逃げて行ってくれるからね。要するに、Searchちゃんが女性だって気付くまで頭の悪さ丸出しで追っ掛け回している蠅みたいな奴等に追われる面倒は僕には全く無くて済む、って話。あと、だからこそ僕の周囲にある程度留まる人は見た目よりも中身重視の人が多いって話もあるかな。……まぁ、だとしてもまだ『別問題』があるから、迂闊に馴れ合う気は無いけど。」
昭義「(まさか、藤咲先生にこんな一面があったなんて……。)」

満「……っと、なんだかちょっと立ち話をし過ぎちゃったね。そろそろ次の授業の準備に教室へ戻った方が良いんじゃないかな?」
昭義「えっ? あっ!! ホントだ、戻らないと!!」(※自分の腕時計を見ながら焦る)
満「僕もそろそろ職員室に行かなきゃ。じゃ、この後の授業も頑張ってね。」
昭義「ハーイ!!」


登場人物:
畑山 昭義 (休み時間に校舎内を徘徊したらSearchが女子生徒に言い寄られる場面と満が女子生徒にSearchの性別を説明する場面に遭遇。Searchが去った後にそのまま満と話してみた結果……?)
藤咲 満 (昭義が転入したクラスの担任教師。Searchの事は基本的に『格好良い』且つ「普通の奴等には理解不能な良さの持ち主」と思っているが、見た目に関しては「格好良いだけでなく『カッコイイ』も併せ持っているので普通の奴等にも良さが分かってしまう」と認識している。……そして、自身の容姿には『形状への否定』と『存在への肯定』が複雑に絡み合っている様だ。)

補足情報:
この会話は「もし【Killer in the School】をゲーム形式で作るなら『エンド分岐には無関係だがキャラの深淵を覗く事は出来る選択肢』を作りたい」という実現性の低い願望の下に想像した【KitS 1】の中の「小さなif展開」と言うべき内容です。
よって、この会話は小説としての本編内にそのまま採用する可能性が低い内容となっています。
また、昭義の台詞の太文字部分は選択肢そのものや選択肢に密接に関係する昭義の思考を書いた文章です。

補足情報2:
1回目のもう一つの選択肢は「藤咲先生は優しくて良い人じゃないですか」であり、それを選んだ場合は昭義が満の『性格(生徒への態度)』を少し褒めて満が困り気味に「そうかなぁ……」等の反応を見せた後で会話内容が終盤部分(満が「……っと、なんだかちょっと~」と言い出す箇所)へ飛ぶ。
2回目のもう一つの選択肢は「……。」であり、それを選んだ場合はその直後に会話内容が終盤部分へ飛ぶ。
……と想像中。
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