謎会話ログ≪1≫

【だから、この男に自身が恋愛をする事への関心が無い事は誰にとっても幸福な事なのだと以前にも……】


≪場所:2-2教室≫
満「ハァ……。」
未彩「藤咲先生、どうかしましたか? 酷く疲れた様な顔で盛大な溜息を吐いて。」
満「えっ? あぁ、未彩ちゃんかぁ……いやその、実はね? 今、この2年生という学年の中でクラスの域を横断するタイプの修羅場が起きているみたいでさ、葉暗先生達と一緒に解決に当たっているんだけど……正直、全てが全て僕の理解力の外にある事ばかりで物凄く疲れているんだよね……。」
未彩「藤咲先生の理解力が及ばない修羅場……まさか、俗に不純異性交遊と呼ばれる範囲のような事、ですか?」
満「まぁ簡単に言うとそうなんだよねー……1組の男子が2組の女子と3組の女子に二股交際をやらかしたそうで、女子生徒同士がお互いを泥棒猫扱いする様な修羅場になっていてさぁ……もう勘弁してくれって感じだよ。」
未彩「それは何とも……ちなみに、根幹的問題とも言える男子生徒はなんと?」
満「それが……言葉にこそ出していないけど、実質何方の女子にも本気じゃなさそうなんだよね……で、だからこそ何方にも上っ面だけの良いカッコをしているみたいで、それで女子生徒同士が余計に……ね。」
未彩「それは……どう考えても男子生徒が最低且つ最悪で問題の根源ですし、女子生徒達は女同士で争っている場合ではないというか、制裁すべきは互いよりも男子生徒の方では?という気が俺にはしますね……。」
満「そう!! そうなんだよ!! 絶対のフィクションでも一応のノンフィクションでもよく『女は浮気をした恋人よりも浮気相手を憎む』って言うけどさ、僕はそういうのに対して『お前等馬ッ鹿じゃないの? 一番の裏切り者は浮気相手より恋人でしょ? 最も優先して叩き潰すべき屑ゴミはモテる恋人気取りで双方を弄ぶクソ馬鹿チャラ男でしょ?』って心底思うんだよッ!!(※力説)」
未彩「(きゅ、急にテンションが上がったな……余程ストレスを溜め込んでいたのだろうか?)ま、まぁ、確かに何方の女子生徒にとっても最大の裏切り者は男子生徒でしょうし、藤咲先生の言い分は概ね正しいでしょうね。(……表現の過激さは別の話として、だが。)」
満「未彩ちゃん……僕の考え、理解してくれるの!? あぁもう、ありがとう!! 僕、連携必須な他教員達にも最初の内にその辺の意見は呈したんだけど、全員から『例え子供同士でも恋愛沙汰はそんなに簡単な話じゃない』とか『お前の考えは思春期の女には理解できない』とか『寧ろ成人済みの男でも理解できない』とか『そもそもお前は恋愛観が歪んでいる』とか、最後には『お前はもう黙っていろ』とか散々な言われ様で……未彩ちゃんが分かってくれて少し、否、大いに報われた気がするよ!! 本当にありがとう!!」
未彩「それは……まぁ、どういたしまして……なんにせよ、真に憎むべき相手の見極めは確かに大切ですよね。」

満「そうなんだよね! ホントにさ、被害者同士で無駄過ぎるキャットファイトをするより結託してクソ男を東京湾辺りに沈める方が合理的だろって話だし、もし何方かの女が正式な交際相手になる形に落ち着くとしてもクソ男が二度と同じ馬鹿を出来ない心境になる様に分かり易い落とし前は絶対に付けさせておけよ? って話だよね! あー、未彩ちゃんが分かってくれてなんかスッキリした!(※爽快笑顔)」

未彩「……藤咲先生……それは、恋愛沙汰ではなく極道沙汰では……?」
満「……え? いやいや、そんな事無いと思うよ? だって、裏切り者に制裁が必要なのは別に極道に限った話じゃないし……寧ろ、恋愛みたいに精神的に信頼し合う事が前提になる関係でこそ必要な事じゃない? 裏切りという大罪には制裁という相応の罰を、って。」
未彩「いやまぁ、それは……分からなくはない、ですが……いや、しかし……」
満「それに、例え最後は何らかの形で許すにしたってさ、落とし前という名の再発への抑止力は必要だと思うんだよね……例えば……小指を落とすとか、ねぇ?(※若干薄気味悪い笑み)」
未彩「ッ!? いやいやいや!! 確かに抑止力は必要な事ですが、そのやり方は完全に極道ですよね!? それを抑止力と呼ぶのは極道だけですよね!? 恋愛とは無関係ですよね!?(※滝汗)」
満「えぇ? そうかなぁ? 僕は飽く迄も『不要な赤い糸をやたらと沢山結びたがる穢れた小指は失くしてしまえば良い。そしてお前はそれを失くした事実を認識する度に自らの罪を深々と悔いるが良い。』っていう恋愛的な意味で言っただけなんだけど……ねぇ、本当におかしいと思う? 本当に少しも、僅かにも理解できない事かな?(※妙に真剣)」
未彩「……そういう事は生徒の俺ではなく他の先生方に訊いてください……(常識的に考えればおかしいと判断できるが、それとは別に個人的には少々共感してしまった気がする……等とは流石に口に出したくはないからな……)。」
満「んー……まぁ、それもそうかもしれないね、アハハww(これは『分かるからこそ誤魔化した』って反応だよねー……ま、あんまり詰めても可哀想だし、僕は十分スッキリしたから今は黙っておいてあげようっと♪)」


登場人物:
藤咲 満 (恋愛観がナチュラルに凄惨過ぎる男性教師。……まぁコイツは怨恨系殺人鬼だし、発想が多少ハードでも仕方ない……のか?)
清上院 未彩 (満に比べると穏健派ではあるが満の言っている事が全く理解できない訳ではないのが悲しい女子生徒)
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