謎会話ログ≪1≫

【「~べき」と「~たい」は分岐点】


真波「それがね、とーっても凄かったんだよ!」
マサナ「マジか!今度は俺も一緒に行こっかな~。」
真波「行こ行こ!マサナと行くの、すっごく楽しみー!」

未彩「……。」
論名「みーさい?」
未彩「ッ!?ろ、論名?」
論名「フフッ、絶妙な距離から何を見てるのかなぁ?」
未彩「……お前には関係無いだろう。そもそも……分かった上で訊くな、嫌らしい。」
論名「未彩ならそう反応する事まで分かった上で訊いてるから安心して良いよ(※笑顔)」
未彩「お前なぁ……」
論名「それより、2つ質問するね?」
未彩「はぁ?なんだその唐突な」
論名「未彩は『あの2人の輪の中に自分も含まれるべき』だと思ってる?」
未彩「……答えはNOだ。そんな身勝手な事、俺は思っていないさ。」
論名「ふぅん……じゃあ、もう1つ訊くね?」
未彩「あのなぁ、お前」

論名「未彩は『あの2人の輪の中に自分も含まれたい』と思ってる?」

未彩「……なんだ、その質問は……前の質問と何も変わらな――」
論名「じゃあどうして答えはNOだって即断言しないの?」
未彩「ッ、それは……」
論名「……フフ、やっぱり分岐点はそこなんだね。」
未彩「……どういう意味だ。」
論名「簡単な事だよ?理性と願望は別なんだね、ってだけの話。」
未彩「何を言って……」
論名「確かにこれは根源的には同じ内容を持つ質問だよ?でも……『含まれるべき』は咄嗟に否定できても『含まれたい』は否定を躊躇った……つまり、真波ちゃんとマサナくんにそうする義務が無い事や未彩が2人にそう扱われる理由や価値を持っていない事は分かっていても、それとは別にそうされたいと望む気持ちは消しきれないんだね、って事。」
未彩「……お前は、また……それで?それが何だと言う気だ?」
論名「何って事は無いよ?唯の確認だから、安心してね?」
未彩「……お前の笑顔ほど無条件に安心できないモノは他に無い。」
論名「言うと思ってたよ(※笑顔)」
未彩「ハァ、全く……そんな事の確認に、何の価値があるんだ?」
論名「フフ……未彩には分からないと思うよ?飽く迄も私がしたくてしているだけの事……私だけが感じる価値から来る行動だからどれだけ説明しても未彩に理解はできないだろうし、理解しろって言う気も無いから安心して気にしないでね?」
未彩「あぁもう、そういう部分だぞ、お前……。」


登場人物:
清上院 未彩 (義務が無い事や強制できない事は分かっているが一切を望まずにいられるか否かは別の話)
清上院 論名 (ある意味で本当に「ただ訊きたかっただけ」で未彩にその先の選択肢を吹き込む気は特に無いのが逆に性質の悪い達観者)
桜木 真波 (かつては自ら進んで未彩を親友と呼んだが、今は……)
旗見 マサナ (真波には迷い無き親愛を、未彩には正義感で包んだ同情を)
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