第1話:新たなる闇と新たなる戦士
熱斗の質問に対してそう語った岬の目は好奇心に満ちた子供のようにキラキラ輝いている。
そこには前回の実験での失敗の悔しさや、他の既にクロスフュージョンが可能と確定している人間への妬み等は無く、熱斗は安心すると同時に岬が実験に参加することがまるで自分の事のようにとても嬉しくなった。
そうして熱斗と岬が再会の喜びに浸っていると、熱斗の肩の上にロックマン、岬の肩の上にプリズマンが現れて此方も再会の挨拶を交わす。
「久しぶりだね、プリズマン。元気にしてた?」
「久しぶりだなロックマン、此方は何も問題ない。こうしてクロスフュージョンの実験に再び参加する程度には元気にやっている。」
「そっか、それは良かったよ。でもクロスフュージョンの実験って、今度は何をするの?」
「それには私が答えよう。」
ロックマンが熱斗やメイル達にも共通する疑問を口にすると、それまで岬の背後で何らかの機械に向かっていた祐一朗が振り返りながらそう言って口を挟んだ。
それに気付いた熱斗達の視線が一斉に祐一朗に向けられる。
祐一朗は此処の所研究詰めで身だしなみを気にする余裕もないのか、若干顎髭が伸びていた。
振り返った祐一朗へ、デカオが心底期待した表情で訊く。
「光博士、今度は何をやってるんですか!?」
岬と同じぐらいキラキラと期待に満ちたデカオの視線を向けられた祐一朗は、自身の視線を数々の機械の方へと向けつつ、それでいて熱斗達の方も気にしつつ、少しずつその概要を話し始めた。
「まず、今も昔も全く変わらないキーワードに、ネットナビとオペレーターのシンクロ率というものがある。これは一種の相性で、ナビとオペレーターのコンビネーションという精神面、ナビのプログラムとオペレーターの身体の相性という物理面の二面を持っている。だからいくら息が合っているコンビでも物理面の相性が悪かったりする場合や、逆にプログラムと身体の相性が良くても精神面で息が合わないナビとオペレーターなんかはシンクロ率が下がってクロスフュージョン出来ないんだ。」
普段から多用してはいるもののそのシステムに関しての詳しい知識は無かった熱斗は、へぇ……、と感嘆の息を漏らす。
メイルは肩の上に現れたロールと顔を見合わせ、そして頬笑みを向け合っている。
おそらく、クロスフュージョン出来る程自分達のシンクロ率が高い――精神面も身体面もバッチリ合っている事が嬉しいのだろう。
そして、実は自分たちのシンクロ率があまり高くないと知らない、というか忘れているデカオとガッツマンも、俺達なら抜群のシンクロ率だよな! 等と言い合っている。
祐一朗は説明を続けた。
「一応おおよその話だけど、シンクロ率のマックスを百パーセントとすると、精神が五十パーセント、精神が五十パーセントというところでね、さっき例に挙げた片方の相性しか良くないコンビだと、シンクロ率は最高でも五十パーセント程度しか出せないんだ。そして現在のクロスフュージョンシステムに必要なシンクロ率は約八十五パーセント……結構厳しい基準だろう? 精神か身体のどちらかの相性がマックスだとしても残り三十五パーセントだ。特に、身体面の不一致は解消しにくいから、身体面での相性が悪いと改善はなかなか難しい。そんな理由もあって、クロスフュージョンはまだ一般には普及していない……本来は戦闘よりも、人命の救助活動などに使われてほしい技術であるにも関わらず、だ。」
祐一朗の話を聴く熱斗は、そういえば現段階でクロスフュージョン出来るのは世界でも十三人……その上一人は故人だから、現在は十二人だけだという事を思い出して、自分達がどれだけ特殊な道を歩んでいるのかを改めて自覚した。
自分とロックマンがクロスフュージョン出来るのは、前に祐一朗が言っていたように長年培ってきた絆と友情も確かにあるのだろうが、その他に何か、奇跡のようなものがある、そんな気さえしてくる。
そんな奇跡に恵まれた自分は、その奇跡に恵まれなかった人の分まで戦って、戦って、戦ってこの世界を守る為に居るのかもしれない、という一種の使命感のようなものが熱斗の胸に湧く。
そして、祐一朗の説明は続く。
「だから、今まではシンクロ率の高いナビとオペレーターを選び抜くという方法を取ってきたのだけど、一般に普及させるにはそれだけでは足りないと感じてね。そこで、だ、」
そこで祐一朗は一旦言葉を区切り、ここからが一番重要なのだとアピールしてから再び話しだした。
「今まではシンクロ率を上げる事を考える方が多かったんだが、それよりもクロスフュージョンシステムそのものをもっと使いやすく、ハードルの低いものにできないかと思ってね、シンクロ率が六十パーセント程度でも使える新たなクロスフュージョンシステムを研究している所なんだ。今までのクロスフュージョンに比べると多少性能は劣るかもしれないが、救助活動や機動隊なんかには十分な出力が出せる兆しが少しずつだけど見えてきてね。机の上での研究は随分進んだから、岬くんに頼んで実際にクロスフュージョンする実験を進めているんだ。」
「丁度俺のシンクロ率は六十パーセント台前半ぐらいでね、この実験には最適らしいんだ。」
そこには前回の実験での失敗の悔しさや、他の既にクロスフュージョンが可能と確定している人間への妬み等は無く、熱斗は安心すると同時に岬が実験に参加することがまるで自分の事のようにとても嬉しくなった。
そうして熱斗と岬が再会の喜びに浸っていると、熱斗の肩の上にロックマン、岬の肩の上にプリズマンが現れて此方も再会の挨拶を交わす。
「久しぶりだね、プリズマン。元気にしてた?」
「久しぶりだなロックマン、此方は何も問題ない。こうしてクロスフュージョンの実験に再び参加する程度には元気にやっている。」
「そっか、それは良かったよ。でもクロスフュージョンの実験って、今度は何をするの?」
「それには私が答えよう。」
ロックマンが熱斗やメイル達にも共通する疑問を口にすると、それまで岬の背後で何らかの機械に向かっていた祐一朗が振り返りながらそう言って口を挟んだ。
それに気付いた熱斗達の視線が一斉に祐一朗に向けられる。
祐一朗は此処の所研究詰めで身だしなみを気にする余裕もないのか、若干顎髭が伸びていた。
振り返った祐一朗へ、デカオが心底期待した表情で訊く。
「光博士、今度は何をやってるんですか!?」
岬と同じぐらいキラキラと期待に満ちたデカオの視線を向けられた祐一朗は、自身の視線を数々の機械の方へと向けつつ、それでいて熱斗達の方も気にしつつ、少しずつその概要を話し始めた。
「まず、今も昔も全く変わらないキーワードに、ネットナビとオペレーターのシンクロ率というものがある。これは一種の相性で、ナビとオペレーターのコンビネーションという精神面、ナビのプログラムとオペレーターの身体の相性という物理面の二面を持っている。だからいくら息が合っているコンビでも物理面の相性が悪かったりする場合や、逆にプログラムと身体の相性が良くても精神面で息が合わないナビとオペレーターなんかはシンクロ率が下がってクロスフュージョン出来ないんだ。」
普段から多用してはいるもののそのシステムに関しての詳しい知識は無かった熱斗は、へぇ……、と感嘆の息を漏らす。
メイルは肩の上に現れたロールと顔を見合わせ、そして頬笑みを向け合っている。
おそらく、クロスフュージョン出来る程自分達のシンクロ率が高い――精神面も身体面もバッチリ合っている事が嬉しいのだろう。
そして、実は自分たちのシンクロ率があまり高くないと知らない、というか忘れているデカオとガッツマンも、俺達なら抜群のシンクロ率だよな! 等と言い合っている。
祐一朗は説明を続けた。
「一応おおよその話だけど、シンクロ率のマックスを百パーセントとすると、精神が五十パーセント、精神が五十パーセントというところでね、さっき例に挙げた片方の相性しか良くないコンビだと、シンクロ率は最高でも五十パーセント程度しか出せないんだ。そして現在のクロスフュージョンシステムに必要なシンクロ率は約八十五パーセント……結構厳しい基準だろう? 精神か身体のどちらかの相性がマックスだとしても残り三十五パーセントだ。特に、身体面の不一致は解消しにくいから、身体面での相性が悪いと改善はなかなか難しい。そんな理由もあって、クロスフュージョンはまだ一般には普及していない……本来は戦闘よりも、人命の救助活動などに使われてほしい技術であるにも関わらず、だ。」
祐一朗の話を聴く熱斗は、そういえば現段階でクロスフュージョン出来るのは世界でも十三人……その上一人は故人だから、現在は十二人だけだという事を思い出して、自分達がどれだけ特殊な道を歩んでいるのかを改めて自覚した。
自分とロックマンがクロスフュージョン出来るのは、前に祐一朗が言っていたように長年培ってきた絆と友情も確かにあるのだろうが、その他に何か、奇跡のようなものがある、そんな気さえしてくる。
そんな奇跡に恵まれた自分は、その奇跡に恵まれなかった人の分まで戦って、戦って、戦ってこの世界を守る為に居るのかもしれない、という一種の使命感のようなものが熱斗の胸に湧く。
そして、祐一朗の説明は続く。
「だから、今まではシンクロ率の高いナビとオペレーターを選び抜くという方法を取ってきたのだけど、一般に普及させるにはそれだけでは足りないと感じてね。そこで、だ、」
そこで祐一朗は一旦言葉を区切り、ここからが一番重要なのだとアピールしてから再び話しだした。
「今まではシンクロ率を上げる事を考える方が多かったんだが、それよりもクロスフュージョンシステムそのものをもっと使いやすく、ハードルの低いものにできないかと思ってね、シンクロ率が六十パーセント程度でも使える新たなクロスフュージョンシステムを研究している所なんだ。今までのクロスフュージョンに比べると多少性能は劣るかもしれないが、救助活動や機動隊なんかには十分な出力が出せる兆しが少しずつだけど見えてきてね。机の上での研究は随分進んだから、岬くんに頼んで実際にクロスフュージョンする実験を進めているんだ。」
「丁度俺のシンクロ率は六十パーセント台前半ぐらいでね、この実験には最適らしいんだ。」