第1話:新たなる闇と新たなる戦士
祐一朗の説明の最後に、岬が自分の立場についてのコメントを付足した。
それは聴き様によっては自虐にも聞こえる発言だったが、岬の清々しい表情を見る限り岬に自分を卑下するような意思は無いと思われる。
祐一朗と岬から大体の説明を受けた熱斗は、いよいよクロスフュージョンが戦闘以外で使われる日が近付いているのかと思うと何だかそれがやはり自分の事のように嬉しくて、徐々に岬やデカオのようにキラキラと期待に満ちた表情を浮かべはじめた。
その背後ではメイルがデカオに、「デカオくんもクロスフュージョン出来る日が来るかもしれないわね。」と言い、デカオが、「おう!今から待ち遠しいぜ!」などと返答している。
そう、もうダークロイドやアステロイド、ゾアノロイドとの戦闘は起こらない、そしてクロスフュージョンは戦う為のシステムから人々の生活を支える為のシステムに形を変える、それが現実味を持ってきたように感じられて、熱斗もメイルもデカオもそれを喜ばしい事だと考えた。
現在研究しているクロスフュージョンについて大体の説明を終えると、祐一朗はふと思い出したように壁にかけられた時計を見た。
時計の針は長針が十二、短針が三を指している。
「あぁ、もうこんな時間か……みんな、一度休憩にしよう。休憩時間は三十分間、その後はまたここに戻ってくるように。」
祐一朗が休憩の開始を告げると、その周囲でパソコンや特殊な機器の調整に追われていた研究員達が一人、また一人と祐一朗に頭を下げてから研究室を後にし始めた。
それを見て熱斗は此方も思い出したようにハッとした顔をして、研究室を見回している祐一朗の目前に、右手に持った鞄を突き付ける。
「はいこれ、ママから預かってきた荷物!」
「えっ? あぁ、ありがとう熱斗。ママにもお礼を言っておいてくれ。」
祐一朗はいきなり突き出された大きな鞄に一瞬驚いたが、すぐにその意味を理解してそれを受け取り、熱斗に例を言った。
そして祐一朗も研究室を後にしようとする、が、扉を開く手前で立ち止まり熱斗達と岬に振り返り尋ねる。
「そうだ、熱斗達も一緒に食堂か売店にでも行くかい?」
「あ、じゃあ行く! みんなも岬さんも行くよね?」
祐一朗が笑顔で尋ねると、熱斗がすぐにこれまた楽しそうな表情で反応し、右手をぶんぶんと振って自己をアピールしながら行くと答え、次に熱斗がメイル、デカオ、岬に一緒に来るかどうかを尋ねると、メイルもデカオも岬も同じように小さく頷いた。
「そうか、それじゃあ決まりだね。」と言いながら祐一朗は視線を前方へ向け、研究室から廊下へと足を踏み出す。
それを追いかけるようにして熱斗も研究室から廊下へと小走りで足を踏み出した。
続いてメイル、デカオが研究室を後にする。
背後で岬の、
「俺は着替えてから行くから先に行っててくれ。」
という声が聞こえ、熱斗はさっと振り返ると元気良く「分かった!」と返事をした。
その視線の先には岬が先ほどのように小さく頷いてから実験用のヘルメットを取る姿が映っているが、熱斗達が研究室の外に出て扉から離れると、扉は自動的に閉まって岬の姿を隠した。
それを見送ってから熱斗は前方、祐一朗の背中とその先のエレベーターにに視線を向け直す。
と、エレベーターを見た熱斗は、ふと先ほどの同い年程度に見えた人物の事を思い出した。
先ほどエレベーターの中にいた時、自分は彼または彼女は研究員の子供なのではないかと言ったが、もし本当にそうなら祐一朗と面識があるのではないだろうか? という疑問が脳裏に貼りつき始める。
熱斗はしばしの間、もし研究員の子供だとしても祐一朗と面識があるとは限らないし、という否定的な意見と、でももしかしたら話ぐらいは研究員から聞いてるかもしれないという期待の間で揺れたが、最終的には期待が否定に勝ったらしく、祐一朗の白衣の裾を掴んで問いかけた。
「ねぇパパ。」
「なんだ? 熱斗。」
「あのさ、この科学省にいる人の子供に、俺達ぐらいの歳で長い黒髪と青い服が特徴的な子っていない?」
もしかしたら祐一朗は彼、または彼女がどんな人なのか知っているかもしれない、もし知っていたら情報が欲しい、そして友達になってみたい、という思いから、熱斗はドキドキと少し緊張しながら祐一朗の返答を待つ。
熱斗の視線の先の祐一朗は歩みを止めないまま顎に手を当てて考え込んでいて、まだ知らないとも知っているとも言ってくれない。
知っているといいなぁ、と薄っすらと期待しながら、熱斗はその後ろを歩く。
その更に後ろにいるメイルとデカオも、いつの間にか少し興味があるという顔で祐一朗の背中を見ていた。
「長い黒髪で青い服……うーん、私の知る限りじゃあいないと思うけど……それがどうかしたのか?」
祐一朗の答えは、知らない、の方であり、もしあの子が研究員の子供であって、更に祐一朗がそれを知っていたら、何かしらの話すきっかけが手に入るかもしれないと思っていた熱斗は少々、いや大いに落胆した。
メイルとデカオもがっかりした表情で顔を見合わせている。
知らないならもういいかな、と思いつつも、熱斗は祐一朗に質問した訳を説明する。
それは聴き様によっては自虐にも聞こえる発言だったが、岬の清々しい表情を見る限り岬に自分を卑下するような意思は無いと思われる。
祐一朗と岬から大体の説明を受けた熱斗は、いよいよクロスフュージョンが戦闘以外で使われる日が近付いているのかと思うと何だかそれがやはり自分の事のように嬉しくて、徐々に岬やデカオのようにキラキラと期待に満ちた表情を浮かべはじめた。
その背後ではメイルがデカオに、「デカオくんもクロスフュージョン出来る日が来るかもしれないわね。」と言い、デカオが、「おう!今から待ち遠しいぜ!」などと返答している。
そう、もうダークロイドやアステロイド、ゾアノロイドとの戦闘は起こらない、そしてクロスフュージョンは戦う為のシステムから人々の生活を支える為のシステムに形を変える、それが現実味を持ってきたように感じられて、熱斗もメイルもデカオもそれを喜ばしい事だと考えた。
現在研究しているクロスフュージョンについて大体の説明を終えると、祐一朗はふと思い出したように壁にかけられた時計を見た。
時計の針は長針が十二、短針が三を指している。
「あぁ、もうこんな時間か……みんな、一度休憩にしよう。休憩時間は三十分間、その後はまたここに戻ってくるように。」
祐一朗が休憩の開始を告げると、その周囲でパソコンや特殊な機器の調整に追われていた研究員達が一人、また一人と祐一朗に頭を下げてから研究室を後にし始めた。
それを見て熱斗は此方も思い出したようにハッとした顔をして、研究室を見回している祐一朗の目前に、右手に持った鞄を突き付ける。
「はいこれ、ママから預かってきた荷物!」
「えっ? あぁ、ありがとう熱斗。ママにもお礼を言っておいてくれ。」
祐一朗はいきなり突き出された大きな鞄に一瞬驚いたが、すぐにその意味を理解してそれを受け取り、熱斗に例を言った。
そして祐一朗も研究室を後にしようとする、が、扉を開く手前で立ち止まり熱斗達と岬に振り返り尋ねる。
「そうだ、熱斗達も一緒に食堂か売店にでも行くかい?」
「あ、じゃあ行く! みんなも岬さんも行くよね?」
祐一朗が笑顔で尋ねると、熱斗がすぐにこれまた楽しそうな表情で反応し、右手をぶんぶんと振って自己をアピールしながら行くと答え、次に熱斗がメイル、デカオ、岬に一緒に来るかどうかを尋ねると、メイルもデカオも岬も同じように小さく頷いた。
「そうか、それじゃあ決まりだね。」と言いながら祐一朗は視線を前方へ向け、研究室から廊下へと足を踏み出す。
それを追いかけるようにして熱斗も研究室から廊下へと小走りで足を踏み出した。
続いてメイル、デカオが研究室を後にする。
背後で岬の、
「俺は着替えてから行くから先に行っててくれ。」
という声が聞こえ、熱斗はさっと振り返ると元気良く「分かった!」と返事をした。
その視線の先には岬が先ほどのように小さく頷いてから実験用のヘルメットを取る姿が映っているが、熱斗達が研究室の外に出て扉から離れると、扉は自動的に閉まって岬の姿を隠した。
それを見送ってから熱斗は前方、祐一朗の背中とその先のエレベーターにに視線を向け直す。
と、エレベーターを見た熱斗は、ふと先ほどの同い年程度に見えた人物の事を思い出した。
先ほどエレベーターの中にいた時、自分は彼または彼女は研究員の子供なのではないかと言ったが、もし本当にそうなら祐一朗と面識があるのではないだろうか? という疑問が脳裏に貼りつき始める。
熱斗はしばしの間、もし研究員の子供だとしても祐一朗と面識があるとは限らないし、という否定的な意見と、でももしかしたら話ぐらいは研究員から聞いてるかもしれないという期待の間で揺れたが、最終的には期待が否定に勝ったらしく、祐一朗の白衣の裾を掴んで問いかけた。
「ねぇパパ。」
「なんだ? 熱斗。」
「あのさ、この科学省にいる人の子供に、俺達ぐらいの歳で長い黒髪と青い服が特徴的な子っていない?」
もしかしたら祐一朗は彼、または彼女がどんな人なのか知っているかもしれない、もし知っていたら情報が欲しい、そして友達になってみたい、という思いから、熱斗はドキドキと少し緊張しながら祐一朗の返答を待つ。
熱斗の視線の先の祐一朗は歩みを止めないまま顎に手を当てて考え込んでいて、まだ知らないとも知っているとも言ってくれない。
知っているといいなぁ、と薄っすらと期待しながら、熱斗はその後ろを歩く。
その更に後ろにいるメイルとデカオも、いつの間にか少し興味があるという顔で祐一朗の背中を見ていた。
「長い黒髪で青い服……うーん、私の知る限りじゃあいないと思うけど……それがどうかしたのか?」
祐一朗の答えは、知らない、の方であり、もしあの子が研究員の子供であって、更に祐一朗がそれを知っていたら、何かしらの話すきっかけが手に入るかもしれないと思っていた熱斗は少々、いや大いに落胆した。
メイルとデカオもがっかりした表情で顔を見合わせている。
知らないならもういいかな、と思いつつも、熱斗は祐一朗に質問した訳を説明する。