短編
change name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ベッドの傍にある小窓からは眩しい朝日が差し込む。ベッドから起きて朦朧とした意識を必死にコントロールし、小窓を開けると小鳥たちの囀りが聞こえてくる。街の方に目をやると朝早く店の準備を始める料理長と思わしき男や、夫婦で仲良く散歩をする老人達が見える。
昨晩に用意していたスープを温めながら、両親が桔梗が家を出る際に買ってくれた小さなテレビを付ける。終戦を告げるニュースが殆どだがちょこちょこ挟まれる天気予報やグルメ特集などを横流しにパンとスープを頬張って腹に満たしていく。
歯を磨き顔を洗って新しく新調した服を着る。そして家を出る前に鏡を見て、あらぬ方向へ跳ねていた前髪が元に戻っているのを確認し家を出た。
国は数週間の激戦の末、見事勝利した。莫大な資源と財産を手に入れた我が国は、2日間の休息を設けて疲れきった身体を休めることを勧め、桔梗たち使用人全員にも休暇が与えられた。そして本日は2日目の最後の休日であるので、両親と手を繋ぎ楽しそうに買い物をする親子や、友人同士でアクセサリーショップを模索する若者たちが多く見かけられた。この間までは戦争していた国とは思えないくらい活気が戻っている。
『(今日はあそことあそこ行って・・・)』
桔梗は新しく出来た洋服屋と以前から気になっていた喫茶店に行くことを計画していて、先に洋服屋へ向かった。やはり新しく出来たということなので沢山の人で賑わっていた。人ごみをすり抜けて狙っていた黒色のスカートを手に取る。そんな時店員らしき人に声をかけられた。
「よかったらご試着されますかー?」
『あ、はいします』
そうして案内された試着室に入り、履いてみると思っていた以上に短くて少しでも屈むと中が見えそうだった。
『(思ってた以上に短いな・・・)』
「お客様どうですかー??」
『(!?)』
後ろを向いて下が見えるかどうか見ていると先ほど案内した店員がいきなり試着室のカーテンを開けたのだった。桔梗は驚きのあまり声が出なくて2人は数秒間見つめ合う。
『こ、これ少し短いなと思って・・・』
「お客さん足細いので大丈夫っすよ~」
そう言いほかの客に呼ばれて桔梗を後にする店員を、少し目をしかめて見つめているとふと店内の道を通る人に目が行ってしまった。
「あっ・・・」
『!?』
高い背丈、見慣れた軍服に異様に合っている羽織、鮮やかな赤いマフラー、我が国の書記長トントンだった。急いでカーテンを閉めて着替えて、わずか数秒で試着室から飛び出た。
『ここここんにちはトントン様!』
「あ、ああ。元気そうやな桔梗」
トントンも見かけてしまって申し訳なく思ったように苦笑いをして桔梗に笑いかけた。まさか休日に幹部に会うとは思っていなくて、世間話をするトントンの話を聞くのに必死になってしまった。ふとトントンの腕にかける黒のコートを見るとさらに桔梗は冷や汗をかいた。
『と、トントン様・・・?』
「うん?」
『そそそそのコートってもしかして・・・?』
「そうそうグルさんのやで。よう知ってんなあ」
恋人であるため彼が着るコートはもちろん、服の系統やブランド、靴、つける香水、持つ鞄などすべてを把握している桔梗は見逃すはずがなかった。トントンがグルッペンのコートを持っているということは、ここにグルッペンがいるということになる。
『そそそ総統様がいらっしゃってるんですね!?』
「そそ~。珍しくグルさんから誘われてきたんよ。なんか新しく安い服屋できたから見に行こっつってな」
『(いつも高級ブランドの服を着ているのに何で…?)
総統様はどこかへ行かれたんですか・・・?』
「その辺で適当に試着していると思うよ」
あの冷静かつ冷酷な総統がこんな安い服屋に、しかも試着していることを想像するとギャップ萌えで鼻血が出そうになるのを抑えて、桔梗はトントンと一緒にグルッペンを探すことにした。
~to be continued~
昨晩に用意していたスープを温めながら、両親が桔梗が家を出る際に買ってくれた小さなテレビを付ける。終戦を告げるニュースが殆どだがちょこちょこ挟まれる天気予報やグルメ特集などを横流しにパンとスープを頬張って腹に満たしていく。
歯を磨き顔を洗って新しく新調した服を着る。そして家を出る前に鏡を見て、あらぬ方向へ跳ねていた前髪が元に戻っているのを確認し家を出た。
国は数週間の激戦の末、見事勝利した。莫大な資源と財産を手に入れた我が国は、2日間の休息を設けて疲れきった身体を休めることを勧め、桔梗たち使用人全員にも休暇が与えられた。そして本日は2日目の最後の休日であるので、両親と手を繋ぎ楽しそうに買い物をする親子や、友人同士でアクセサリーショップを模索する若者たちが多く見かけられた。この間までは戦争していた国とは思えないくらい活気が戻っている。
『(今日はあそことあそこ行って・・・)』
桔梗は新しく出来た洋服屋と以前から気になっていた喫茶店に行くことを計画していて、先に洋服屋へ向かった。やはり新しく出来たということなので沢山の人で賑わっていた。人ごみをすり抜けて狙っていた黒色のスカートを手に取る。そんな時店員らしき人に声をかけられた。
「よかったらご試着されますかー?」
『あ、はいします』
そうして案内された試着室に入り、履いてみると思っていた以上に短くて少しでも屈むと中が見えそうだった。
『(思ってた以上に短いな・・・)』
「お客様どうですかー??」
『(!?)』
後ろを向いて下が見えるかどうか見ていると先ほど案内した店員がいきなり試着室のカーテンを開けたのだった。桔梗は驚きのあまり声が出なくて2人は数秒間見つめ合う。
『こ、これ少し短いなと思って・・・』
「お客さん足細いので大丈夫っすよ~」
そう言いほかの客に呼ばれて桔梗を後にする店員を、少し目をしかめて見つめているとふと店内の道を通る人に目が行ってしまった。
「あっ・・・」
『!?』
高い背丈、見慣れた軍服に異様に合っている羽織、鮮やかな赤いマフラー、我が国の書記長トントンだった。急いでカーテンを閉めて着替えて、わずか数秒で試着室から飛び出た。
『ここここんにちはトントン様!』
「あ、ああ。元気そうやな桔梗」
トントンも見かけてしまって申し訳なく思ったように苦笑いをして桔梗に笑いかけた。まさか休日に幹部に会うとは思っていなくて、世間話をするトントンの話を聞くのに必死になってしまった。ふとトントンの腕にかける黒のコートを見るとさらに桔梗は冷や汗をかいた。
『と、トントン様・・・?』
「うん?」
『そそそそのコートってもしかして・・・?』
「そうそうグルさんのやで。よう知ってんなあ」
恋人であるため彼が着るコートはもちろん、服の系統やブランド、靴、つける香水、持つ鞄などすべてを把握している桔梗は見逃すはずがなかった。トントンがグルッペンのコートを持っているということは、ここにグルッペンがいるということになる。
『そそそ総統様がいらっしゃってるんですね!?』
「そそ~。珍しくグルさんから誘われてきたんよ。なんか新しく安い服屋できたから見に行こっつってな」
『(いつも高級ブランドの服を着ているのに何で…?)
総統様はどこかへ行かれたんですか・・・?』
「その辺で適当に試着していると思うよ」
あの冷静かつ冷酷な総統がこんな安い服屋に、しかも試着していることを想像するとギャップ萌えで鼻血が出そうになるのを抑えて、桔梗はトントンと一緒にグルッペンを探すことにした。
~to be continued~