短編
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「…という事なのでご了承願いたい」
「うーむ」
窓は閉められてカーテンがかかり、外からの光や音を遮断し対談を邪魔するものは排除している。堅苦しいスーツを着こなして向かい合う2人はお互いテーブルに広げる書類に眉をひそめる。書類には一面黒字で埋められており、唯一四角で囲まれているところは真っ白となっていた。どうやらそこに本来押すであろう角印待ちのようだが、金髪の男はその書類を再度確認し頭を抱えて眉間に皺を寄せる。
「失礼致します」
そんな時静寂を切り裂くドアのノック音が聞こえて女が入ってくる。手にはコースターとコーヒーカップを乗せたお盆を持っていた。2人の男の前にカップが置かれるとコーヒーのいい香りが漂い空気を甘くさせた。
「有難う…!?」
金髪の男はコーヒーを持ってきた女にそう声掛けして顔を見ると、女は甘い目で彼を見つめており、男が目を丸くするとはっと我に返って失礼しました!と言ってそそくさに部屋から出ていく。
「先程の方ですか?!噂の…」
「まぁ…」
黒髪の男は彼女に関して何か知っているようで身を乗り出して金髪の男に問いかけるも男は軽く流して、強引に合意書の話へ戻した。
『やっちゃった…』
「なになに?何かやらかしたの??」
真っ青な顔をしてキッチンへ戻る桔梗は、同期のメイド仲間にグイグイ迫られて先程の失態を問われた。
『総統様を変な目で見てしまった…。しかも相手に気づかれたし最悪』
「変な目で見てるのはいつも通りで良しとして、気づかれたのはまずいなあ」
同期メイドちゃんはグラスを拭きながら桔梗の失態を聞いて少し考えた素振りを見せ、はっと頭にビックリマークを浮かべる。
「もういっそさ!」
『何〜?』
「言っちゃいなよ!!」
『ふぁっ?!』
考えてもいない事をいきなり言われて、桔梗は思わず変な声が出るが、同期メイドちゃんの持っているグラスに映る桔梗は少しばかり耳を赤くさせていた。
『私が…総統様と…??』
「うんうん!!」
『み、身分の差が…』
「確かにおこがましいけど、桔梗って隣国とか他の国にも噂される美人さんなんだし大丈夫だと思うよ??それに総統のお気に入りかして珈琲とか持っていくのも何故か桔梗だけ指名されてるし」
『何噂されてるって?!初耳なんだけど』
同期ちゃんはまあ頑張れーと言ってグラスをなおし、これから場内の廊下を掃除するためキッチンを後にした。残された桔梗はさっき言われたことを思い出し深く考えることにしたが、一人で考えすぎると思わず口に毀れるのが桔梗の癖である。
「すまない、誰かいるか?」
『私が総統様に…』
「…何だ?」
『好きって言うの…?』
「!?」
桔梗はキッチンへ来たグルッぺンに気づかず、乾いた食器を棚ヘなおしながら独り言を続ける。本人の居る前で。
『あの瞳、あの髪、あの手、腕、胸、脚、全部素敵だけど』
「っ…………」
『私がそばに居たら…』
「……………」
『総統様の評価を下げしまう、かな…』
「……… 桔梗」
『はーいって総統様??!!』
独り言を全て聞かれただろう桔梗は顔を真っ赤にさせて倒れかけるが、シンクに手をついて耐えた。そんな様子を見てグルッぺンは危ないと思いすぐさま腕で抱える。
「大丈夫か桔梗?顔が真っ赤だが」
『え、あ、だ大丈夫で、す!』
距離が近すぎてクラクラし始めたので慌ててグルッぺンから離れた。モジモジとしている桔梗を見てグルッぺンはふふっと笑を零した。
『(あの総統様が笑った…!)』
「桔梗よ」
『は、はい!』
「さっきは俺の評価を下げるとかなんとか言っていたな」
『…!はい…』
「では何故俺はお前を指名していると思うんだ」
この国のトップ、グルッぺンにコーヒーなどを入れるのは桔梗が配属してから桔梗しか入れてはならないと指名、命令されてる。それはなぜか……。
『私が入れる珈琲が美味しいからですか…?』
「…茶の味は違ってくるが珈琲は誰が入れても同じだ」
『私が噂されているからですか?』
「…何の噂か知らんな」
『私が使いやすいからですか?』
「…今までこき使ったことないな」
『では私のことを…』
その後に続く言葉が詰まってしまう。もし、もし違っていたら、自分の思い込みだったらと考えると胸が苦しくなる。言葉を発せずにいるとグルッぺンは桔梗の耳元で囁いた。
「…好きだからですか、だろ?」
そう言いニヤリと口角を上げるグルッぺンに、桔梗は耳を赤めてボソッと何かを言い俯く。
「?何か言ったか?」
『…う…す』
「ん?」
『そう、です…』
「そう、とはどうなんだ??」
明らかに言わせようと悪戯する悪魔を成敗するのは、頬を赤らめて上目遣いをする天使だった。
『すき、です』
「…いい子だ」
ちゅっと音を立てて額にキスをする悪魔は上手だった天使に敗北を認めたのであった。
「やっと思い伝えたんかい」
「ふん、向こうが気づかないのが悪いんだ」
「いやいやグルさんもグルさんで勘違いされるやり方するから。ってかこれハンコ押さんでええの?」
「…ほとんど話聞いてなかったから知らん」
「はぁ???」
「うーむ」
窓は閉められてカーテンがかかり、外からの光や音を遮断し対談を邪魔するものは排除している。堅苦しいスーツを着こなして向かい合う2人はお互いテーブルに広げる書類に眉をひそめる。書類には一面黒字で埋められており、唯一四角で囲まれているところは真っ白となっていた。どうやらそこに本来押すであろう角印待ちのようだが、金髪の男はその書類を再度確認し頭を抱えて眉間に皺を寄せる。
「失礼致します」
そんな時静寂を切り裂くドアのノック音が聞こえて女が入ってくる。手にはコースターとコーヒーカップを乗せたお盆を持っていた。2人の男の前にカップが置かれるとコーヒーのいい香りが漂い空気を甘くさせた。
「有難う…!?」
金髪の男はコーヒーを持ってきた女にそう声掛けして顔を見ると、女は甘い目で彼を見つめており、男が目を丸くするとはっと我に返って失礼しました!と言ってそそくさに部屋から出ていく。
「先程の方ですか?!噂の…」
「まぁ…」
黒髪の男は彼女に関して何か知っているようで身を乗り出して金髪の男に問いかけるも男は軽く流して、強引に合意書の話へ戻した。
『やっちゃった…』
「なになに?何かやらかしたの??」
真っ青な顔をしてキッチンへ戻る桔梗は、同期のメイド仲間にグイグイ迫られて先程の失態を問われた。
『総統様を変な目で見てしまった…。しかも相手に気づかれたし最悪』
「変な目で見てるのはいつも通りで良しとして、気づかれたのはまずいなあ」
同期メイドちゃんはグラスを拭きながら桔梗の失態を聞いて少し考えた素振りを見せ、はっと頭にビックリマークを浮かべる。
「もういっそさ!」
『何〜?』
「言っちゃいなよ!!」
『ふぁっ?!』
考えてもいない事をいきなり言われて、桔梗は思わず変な声が出るが、同期メイドちゃんの持っているグラスに映る桔梗は少しばかり耳を赤くさせていた。
『私が…総統様と…??』
「うんうん!!」
『み、身分の差が…』
「確かにおこがましいけど、桔梗って隣国とか他の国にも噂される美人さんなんだし大丈夫だと思うよ??それに総統のお気に入りかして珈琲とか持っていくのも何故か桔梗だけ指名されてるし」
『何噂されてるって?!初耳なんだけど』
同期ちゃんはまあ頑張れーと言ってグラスをなおし、これから場内の廊下を掃除するためキッチンを後にした。残された桔梗はさっき言われたことを思い出し深く考えることにしたが、一人で考えすぎると思わず口に毀れるのが桔梗の癖である。
「すまない、誰かいるか?」
『私が総統様に…』
「…何だ?」
『好きって言うの…?』
「!?」
桔梗はキッチンへ来たグルッぺンに気づかず、乾いた食器を棚ヘなおしながら独り言を続ける。本人の居る前で。
『あの瞳、あの髪、あの手、腕、胸、脚、全部素敵だけど』
「っ…………」
『私がそばに居たら…』
「……………」
『総統様の評価を下げしまう、かな…』
「……… 桔梗」
『はーいって総統様??!!』
独り言を全て聞かれただろう桔梗は顔を真っ赤にさせて倒れかけるが、シンクに手をついて耐えた。そんな様子を見てグルッぺンは危ないと思いすぐさま腕で抱える。
「大丈夫か桔梗?顔が真っ赤だが」
『え、あ、だ大丈夫で、す!』
距離が近すぎてクラクラし始めたので慌ててグルッぺンから離れた。モジモジとしている桔梗を見てグルッぺンはふふっと笑を零した。
『(あの総統様が笑った…!)』
「桔梗よ」
『は、はい!』
「さっきは俺の評価を下げるとかなんとか言っていたな」
『…!はい…』
「では何故俺はお前を指名していると思うんだ」
この国のトップ、グルッぺンにコーヒーなどを入れるのは桔梗が配属してから桔梗しか入れてはならないと指名、命令されてる。それはなぜか……。
『私が入れる珈琲が美味しいからですか…?』
「…茶の味は違ってくるが珈琲は誰が入れても同じだ」
『私が噂されているからですか?』
「…何の噂か知らんな」
『私が使いやすいからですか?』
「…今までこき使ったことないな」
『では私のことを…』
その後に続く言葉が詰まってしまう。もし、もし違っていたら、自分の思い込みだったらと考えると胸が苦しくなる。言葉を発せずにいるとグルッぺンは桔梗の耳元で囁いた。
「…好きだからですか、だろ?」
そう言いニヤリと口角を上げるグルッぺンに、桔梗は耳を赤めてボソッと何かを言い俯く。
「?何か言ったか?」
『…う…す』
「ん?」
『そう、です…』
「そう、とはどうなんだ??」
明らかに言わせようと悪戯する悪魔を成敗するのは、頬を赤らめて上目遣いをする天使だった。
『すき、です』
「…いい子だ」
ちゅっと音を立てて額にキスをする悪魔は上手だった天使に敗北を認めたのであった。
「やっと思い伝えたんかい」
「ふん、向こうが気づかないのが悪いんだ」
「いやいやグルさんもグルさんで勘違いされるやり方するから。ってかこれハンコ押さんでええの?」
「…ほとんど話聞いてなかったから知らん」
「はぁ???」
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