短編
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「一人の女をずっと愛すのも悪くない」
人の言葉に心を揺さぶられたのはいつぶりだろう。里を抜ける時は人を殺しては傀儡にすることに興味を持った。そして自身の腕、足、胴体、感情。要らないものはとっくに捨てたのだと思っていたのに…。
「チッ」
「(旦那なんか機嫌悪いな、うん)」
2日かけて任務から帰還したサソリ達はペインから1日の休暇を与えられた。
基本休日は傀儡のメンテナンスをしているが、今日は傀儡に仕掛ける針や刃物を調達するため出掛けることにした。
いつもはデイダラを連れていくのだが今回は別の用事もあったため1人で出向くことにした。アジトからそう遠くないぽつんと建っている工具屋。人影が見えて中から誰かが出てきた。
『久しぶりね!サソリ!』
「ああ」
元気よく挨拶するのはここの看板娘である桔梗だった。彼女はその容姿や人柄から、誰からも好かれるような素敵な女性だと少しばかり有名なのだ。
『あれ、デイダラは?』
「今日は1人だ」
キョロキョロと当たりを見渡すがデイダラどころか、店が山中にあるためか行き来する人がいない。
『へぇ珍しいねー。あ、文送ってくれてありがとね。何回も読み返しちゃった』
「何でだよ、ただの要望書だろ」
『だってサソリからのだもん〜、嬉しくってついね』
そう言ってニッと白い歯を見せて無邪気に笑う桔梗は、ちょっと待ってねと言って店の奥へ姿を消した。
桔梗と会うと毎回、いつもは味わない不思議な感覚にサソリは惑わされる。無邪気でどこか抜けていて、しかしやる時はしっかりとやり遂げる。
『お待たせー!はい、頼まれてたやつ』
そう言ってサソリの前に差し出されたのは、中くらいの巾着袋だった。桔梗は巾着を開けて、頼まれていた大量の仕掛け針が入った特殊な袋を見せた。サソリは確かに本物だと頷くと、桔梗はヒルコの背中に巾着袋を掛けてあげる。
「確かに受け取ったぞ」
『………』
「どうした桔梗」
さっきまで元気が良かった桔梗は急に俯いて、指を合わせて何か言いにくそうにしていた。サソリは不思議に思って顔を覗こうとしたら、桔梗は恥ずかしいのかすぐに手で顔を隠した。
「言いたいことがあんなら早く言え、俺はもう行くぞ」
『…サソリ』
「ああ?」
『ヒ、ヒルコから出ないの?』
桔梗はもじもじとサソリと目を合わせようとしない。サソリははぁとため息をついてヒルコから出て、桔梗の前に立つと彼女は恐る恐る上目遣いでサソリを見た。その上目遣いにサソリは何かが砕けたような気がした。
『さささサソリ!?』
「少しの間黙ってろ」
『わ、分かった・・・』
サソリは気が付くといつの間にか桔梗を抱きしめていた。自分でも何をしているのかを理解するのに数秒かかったが、追いついても桔梗を離そうとはしなかった。造り物の体でも、かすかに伝わる桔梗の温かい体温が気持ちよく思える。体重を桔梗に預けて首に顔を埋めると、びくっと体を跳ねさせて声が漏れた。
『ひゃっ・・・』
「んな声出すな桔梗。犯してやりたくなるだろうがクソ」
『な、なに言って・・!』
「・・・さっき黙ってろって言ったの忘れたか?」
『ご、ごめ・・』
日が傾き綺麗な夕日が空を赤く染めて爽やかな風が吹く中、片思い中の2人はお互い胸の奥に秘める思いを心中に収めながらも思いを伝えず抱き合っている今がとても幸せだと実感した。
「サソリの旦那、今日はどこ行ってたんだ、うん?」
「デイダラに教える必要はねぇ」
「まあいいけどよ。(機嫌治ったみたいでよかった、うん)」
「クク」
人の言葉に心を揺さぶられたのはいつぶりだろう。里を抜ける時は人を殺しては傀儡にすることに興味を持った。そして自身の腕、足、胴体、感情。要らないものはとっくに捨てたのだと思っていたのに…。
「チッ」
「(旦那なんか機嫌悪いな、うん)」
2日かけて任務から帰還したサソリ達はペインから1日の休暇を与えられた。
基本休日は傀儡のメンテナンスをしているが、今日は傀儡に仕掛ける針や刃物を調達するため出掛けることにした。
いつもはデイダラを連れていくのだが今回は別の用事もあったため1人で出向くことにした。アジトからそう遠くないぽつんと建っている工具屋。人影が見えて中から誰かが出てきた。
『久しぶりね!サソリ!』
「ああ」
元気よく挨拶するのはここの看板娘である桔梗だった。彼女はその容姿や人柄から、誰からも好かれるような素敵な女性だと少しばかり有名なのだ。
『あれ、デイダラは?』
「今日は1人だ」
キョロキョロと当たりを見渡すがデイダラどころか、店が山中にあるためか行き来する人がいない。
『へぇ珍しいねー。あ、文送ってくれてありがとね。何回も読み返しちゃった』
「何でだよ、ただの要望書だろ」
『だってサソリからのだもん〜、嬉しくってついね』
そう言ってニッと白い歯を見せて無邪気に笑う桔梗は、ちょっと待ってねと言って店の奥へ姿を消した。
桔梗と会うと毎回、いつもは味わない不思議な感覚にサソリは惑わされる。無邪気でどこか抜けていて、しかしやる時はしっかりとやり遂げる。
『お待たせー!はい、頼まれてたやつ』
そう言ってサソリの前に差し出されたのは、中くらいの巾着袋だった。桔梗は巾着を開けて、頼まれていた大量の仕掛け針が入った特殊な袋を見せた。サソリは確かに本物だと頷くと、桔梗はヒルコの背中に巾着袋を掛けてあげる。
「確かに受け取ったぞ」
『………』
「どうした桔梗」
さっきまで元気が良かった桔梗は急に俯いて、指を合わせて何か言いにくそうにしていた。サソリは不思議に思って顔を覗こうとしたら、桔梗は恥ずかしいのかすぐに手で顔を隠した。
「言いたいことがあんなら早く言え、俺はもう行くぞ」
『…サソリ』
「ああ?」
『ヒ、ヒルコから出ないの?』
桔梗はもじもじとサソリと目を合わせようとしない。サソリははぁとため息をついてヒルコから出て、桔梗の前に立つと彼女は恐る恐る上目遣いでサソリを見た。その上目遣いにサソリは何かが砕けたような気がした。
『さささサソリ!?』
「少しの間黙ってろ」
『わ、分かった・・・』
サソリは気が付くといつの間にか桔梗を抱きしめていた。自分でも何をしているのかを理解するのに数秒かかったが、追いついても桔梗を離そうとはしなかった。造り物の体でも、かすかに伝わる桔梗の温かい体温が気持ちよく思える。体重を桔梗に預けて首に顔を埋めると、びくっと体を跳ねさせて声が漏れた。
『ひゃっ・・・』
「んな声出すな桔梗。犯してやりたくなるだろうがクソ」
『な、なに言って・・!』
「・・・さっき黙ってろって言ったの忘れたか?」
『ご、ごめ・・』
日が傾き綺麗な夕日が空を赤く染めて爽やかな風が吹く中、片思い中の2人はお互い胸の奥に秘める思いを心中に収めながらも思いを伝えず抱き合っている今がとても幸せだと実感した。
「サソリの旦那、今日はどこ行ってたんだ、うん?」
「デイダラに教える必要はねぇ」
「まあいいけどよ。(機嫌治ったみたいでよかった、うん)」
「クク」