先日のデイダラのおかげ？で風邪も無事治り、桔梗はリーダーのペインから忙しいかして沢山の依頼を受けた。

チリンチリンと笠に付く鈴の音と共に、ズル、ズルと引きずる音が鳴っている。本日は桔梗とデイダラ、そしてサソリのスリーマンセルで行われた。久しぶりの3人に桔梗は嬉しく、これから人を殺めるというのに遠足気分でいた。

「桔梗、随分と浮かれてんじゃねぇか」
『だってこの3人って久しぶりじゃない？』
「オイラは桔梗と二人が良かった、うん」
「俺だって好き好んでお前らと行きたかねぇよ」

サソリはチッと舌打ちしながらも、なんだかんだ桔梗やデイダラの事を気にかけてくれている。この前もデイダラから桔梗の風邪のことを聞くと、面倒くさがりながらもデイダラに協力したりと憎めないところがある。デイダラもサソリといつも言い合いばかりしているが、同じ芸術家として尊敬している所があると言っていた。お互い本人の前では絶対に口はしないが…。
日が沈んで来て依頼者の元へはもう少しかかる為、大きい木の下で焚き火を炊いて休む事にした。サソリはヒルコから出て木にもたれ掛かり、桔梗はデイダラにもたれかかっていた。桔梗は間もなくしてスースーという寝息を立てて眠りについた。

「…寝たか」
「ああ。少し疲れたみたいだ、うん」
「今日はただ歩いてただけだがな」

サソリは傍にあった小さな木の枝を焚き火へ投げると、バチッと音を立てて火は少しばかり大きくなる。
隣で可愛らしい寝息を立てて寝る桔梗を見て、デイダラは不意にも微笑んで頭を撫でてしまった。

「…………」
「…何？」
「いいや。何でもねぇ」
「はぁ？なんだよ旦那、もしかして桔梗が羨ましいんか？」
「んなわけねぇだろ」

デイダラは自分の相方が自分の恋人を、悪い意味で意識しているのかと思って疑ったが、サソリはないないと手と頭を横に振った。
デイダラが聞くに、サソリは抜忍になる前はかなりモテていたらしい。顔100点、容姿100点、実力100点の彼は人を傀儡にすることにしか興味がなかったが、里の者特にくノ一からしたら実に完璧な人間だった。

「旦那って女抱いたことあるのか、うん？」
「…てめぇ喧嘩売ってんのか？あん？」
「いやだって今はもうそういう欲求は捨ててるだろ、うん？純粋な疑問だ」
「デイダラに教える義理はねぇ」
「えーなんでだよ、うん！」

デイダラが少し声を上げたかして、桔梗が少し体制を変えて寝返りをした。デイダラは慌てて口を手で押さえ、恐る恐る桔梗を見るがまたスースーと寝息を立て始めた。

「まあお前が心配するほど俺も飢えてねえ。女なんてその辺にいるしな」
「旦那はそれでいいんか、うん？」
「…何が言いたい」

デイダラは桔梗の寝顔を見て微笑み頬をそっと撫でで語る。

「一人の女をずっと愛するのも良いもんだぜ、うん」
「…言っておくが俺はお前より長く生きてんだ。それぐらいわかるが、それが難しいこともあんだよ・・・。」

初めて見るサソリの表情にデイダラは目を丸くして、思わず見つめているとサソリはきっと目を細めて睨んだ。

「…この話はまた今度だ」
「仕方ねえな、うん」

そう言いサソリは焚火に砂をかけて火を消し、再び木に元に寄りかかって足を立てて寝る体制をとった。デイダラも桔梗を起こさないように額にかかる前髪を除けて、額にちゅっと音を立ててキスを落とした。草木が揺れる音やフクロウがなく声が心地よく鮮明に鳴り響き、デイダラも直ぐに眠りについた。









翌日、デイダラが目を覚ました時には桔梗とサソリは昨日取れた川魚を焼いていた。何故か桔梗の頬が赤くなっているのをデイダラは見逃さなかった。

『あ、デデデイダラ！おはよう！！』
「おはよう桔梗。どうかしたか、うん？」
『ん？？な、何でもないよ！早く食べよ！』
「さっさとしねえとデイダラの分も食うぞ」
「サソリの旦那は食わねえじゃねぇか、うん」

なぜか桔梗が焦っているのを不思議に思いながらも、3人（2人）は熱々の焼き魚を食べていた。
朝の準備が終えて、依頼者のもとへ足を進める。俯きがちに歩く桔梗が気になり、デイダラは声をかけた。

「桔梗、どうしたんだ、うん？」
『ででで、デイダラ！何でもないよ！』
「なんでそんなに焦ってんだよ。俺なんかしたか、うん？」
『ううん！デイダラは何もしてない・・・！』

そう言い桔梗は2人を追い越して走っていった。おい！っとデイダラは止めようとするももう遅く、残された二人は顔を見合わせた。

「…旦那、桔梗になんか言ったか？」
「いいや。デイダラが接吻していたとか言ってねえよ」
「なっ！！！！」

目を丸くし顔を真っ赤にして桔梗を追いかていったデイダラを見て、サソリはｸｸっと悪戯に笑いズル、ズルっと再び軽くなった足を進めていった。




「一人の女をずっと愛する、か。ｸｸ、悪くはないな」