短編
change name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『げほげほっ』
咳をした反動で額に当てていたタオルがぽとりと布団へ落ちた。拾い上げると、熱を冷ますために冷たかったはずがいつの間にか生ぬるくなっていた。仕方なく重い体を起こしてベッドの傍にある小さなテーブルへ置き、再度布団を被って眠りにつこうとした。
事の発端は一昨日、木の葉へ任務に出て行きコピー忍者ことはたけカカシに捕まってしまった。暁の情報を吐かせるために桔梗の首等を触ったことにデイダラは怒りを覚え、アジトへ着いて強引に彼の部屋へ連れていかれては沢山愛されたのだ。特に首や胸には、まるで嫉妬で上書きをするようにキスをされた。
アジトに着いたのは日が昇る頃だったが、デイダラが満足したのは日が沈み始める夕方頃だった。行為が終わって疲れきって、お互い布団を被らず何も着ずに眠りについていると、案の定桔梗は風邪を引いたのだ。
『イテテテ…』
寝返りを打つと風邪で喉が痛い挙句、沢山打ち付けられたかして腰まで痛みが走り思わず口に出てしまった。
『あのバカデイダラ…』
そう呟いてもアジト内は、殆どが任務に出ているせいか静寂に包まれている。そんな時、ドアが開く音がして誰かが入ってきた。重い瞼を開けてゆっくりとドアの方へ見ると、桶を持ったデイダラが入ってきた。おそらくタオルを取り替えるためだろう、桶には白いタオルが掛かっている。
「悪りぃ。起こしたか、うん?」
『いや大丈夫…』
ベッドのそばにある小さなテーブルへ桶を置いて、新しいタオルを水に浸して絞り桔梗の額へ当てた。冷たくて気持ちいいかして桔梗は、んんーと唸る。そんな様子を見てデイダラは微笑んで桔梗の首へ手を当てた。
「だいぶ下がってきているな、うん」
もう片手を自分の額に当てて熱を測る。桔梗の回復力は凄まじく、少し眠っただけで熱が引いていった。ただ咳が少し出る様で、デイダラが部屋へ来てから数回咳をしていた。
「ちょっと待ってろよ桔梗、うん」
『…デイダラ』
「うん?どうした?」
『…傍に居て』
部屋から去ろうとするデイダラを、桔梗は彼の外套の袖を掴んで止めた。熱のせいで顔が赤くなっている上に、照れてか目元まで布団を被る桔梗にデイダラは思わず頬にキスを落とした。
「大丈夫だ、すぐ戻てくる、うん」
『わかった・・』
そういいデイダラは桔梗の部屋から出ていき、桔梗は少しの間ぼうっとドアを見つめていた。
そして数分経った後、デイダラは部屋に戻ってきた。手にはいつも桔梗が使うウサギの柄が入ったマグカップが握られていて、カップからは湯気が立っている。
「これ飲んで早く治せよ、うん」
『これは・・・?』
「良いから飲めって、うん」
桔梗はデイダラからカップを受け取り、熱いので恐る恐る一口飲んでみた。甘酸っぱいものが喉を通って中を潤す感覚が感じられ、味は一口で分かった。
『これってはちみつ?』
「正確に言えばはちみつレモン水だ、うん」
デイダラが持ってきたのははちみつにレモン水を加えた、ホットはちみつレモン水だった。喉が痛いときは、殺菌作用があるはちみつがいいと本で読んだことがある。これをデイダラが作ったのかと思ってデイダラを見るとにっこりとした笑顔が返ってきた。
『ありがとうデイダラ、すごく美味しいよ』
「それはよかった、うん!口移しでもしようか?」
『それは大丈夫だよ』
少しがっかりした彼を横見しつつ、彼が作った心地よい温もりを少しずつ味わうことにした。
「サソリの旦那!どうしよう、うん!」
「あ?何がだよ」
「桔梗が風邪ひいて、咳をしてるんだ、うん・・・」
「あいつのことだ、熱はすぐ引くだろ。咳ならのどを痛めてんな」
「痛み止めとかねえのか、うん?」
「今はねえがすぐ作れるものがある」
「それを教えてくれ旦那、うん!」
「ったくめんどくせえなぁ」