短編
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今の状況を理解するのにどれだけ時間がかかっただろう。数秒?数分?窓からキラキラと指し込んでいる太陽がどれだけ移動しただろう。
目の前に覆い被さっている彼は私の恋人。綺麗な金髪は任務の時とは違って下ろしており、右眼は鮮やかな碧色と普段前髪で隠れているスコープを着けた左眼は確実に私を写している。
「……………」
『………そろそろ退いてくれる?』
何時までも退こうとしない彼、デイダラに口を開いたが私の希望は叶わず身体は微動打にしない。強いて言うならば綺麗に整った眉がピクリと動いた位だった。
事の発端は私がいつもの様に彼の部屋のベッドでダラダラしながら、作業机に向かい粘土を捏ねて芸術活動に没頭する彼の背中を見ていた。
普段と大して変わらない光景だったが最近彼が私に構ってくれないのだ。声をかけても「ふーん」や「そうか」などといって興味を示そうとしない。ベッドに脱げ捨てられた外套を手に取ると彼の匂いが鼻をくすぐり少し寂しい気持ちに陥ってしまった。
暫く抱きつくように外套に顔を埋めているせいで少し息苦しくなり何気なく顔を上げると、彼の金髪とは違う鮮やかな赤い髪の毛がベッドシーツに付いていた。
『…ねぇデイダラ』
「んー?」
俯きながらボソッと呼びかけると彼は振り向きはせず返事だけして手は止めなかったので寂しさと怒りが混ざり彼を問いつめることにした。
『これ何』
「どれ?オイラの部屋に桔梗が分からないものでもあったかな、うん」
やっと振り返ったら私が右手でヒラヒラとしている髪の毛を見て、一瞬見えにくく目を細めたが途端に瞳を丸くして固まり慌てて奪おうとしたが少しからかってやろうと思いスルリと避けてみせた。
『デイダラ??』
「ち、違うんだ、うん!」
『何が違うの?さっきこのベッドシーツに付いてたんだけど』
「とりあえず捨てろ?うん?」
『やだ。もしかして最近構ってくれないのはこの人のせいだったりする??』
「……………」
『何その無言』
「……………」
『私じゃ満足できないかー』
「……………」
『もう飛段やイタチに構ってもらおうかな』
構ってくれない原因はこれのせいかと聞いてみたり飛段とイタチの名前を出しても反論するどころか意味深な無言で返ってきて冗談半分で聞いた自分を恨んだ。こんな知らない赤の他人に負けて悔しく虚しく、そして寂しさが一気に押し寄せてきたが涙はグッとこらえて一言言ってやった。
『ばか!!!!』
いつも以上に大きい声で発した途端私の視界は見慣れない天井と先程よりも近いデイダラの顔が写り、後から来る背中の痛みと彼の両手は私の頭の傍に付いてあり他の誰かから見ると彼が私を押し倒しているような状況となった。幸い下はベッドだったので布団のクッションで痛みは和らげられた。
「…ったく、黙ってりゃ好き勝手言いやがって、うん」
『何よ!退いてよばか!』
「ふん」
私の希望は叶わずいつまで経っても退かない彼の胸板を押しても、所詮男と女の力の差でビクとも動かずキッとデイダラを睨んだ。
「…行くのか」
『えっ?』
「あいつらのところに行くのかって聞いてんだよ、うん」
『っ!』
さっきまで真っ直ぐに私を捉えていた碧い瞳はどこか寂しさを感じさせる純粋な瞳へと変わっていき、冗談でもからかってしまったことを後悔した。
「……オイラが悪かったな、うん」
『……うん』
本当に反省しているようで落ち込んでいるデイダラの頬を撫でてやると私の手を取り音を立てて口付けをした。久しい唇の柔らかい感触に頬を赤らめて目を逸らすとクイッと顎を持たれて視線を戻された。
「構ってやれなかった理由聞きたいか?うん?」
『理由…』
「おう」
そう言うとデイダラは私の上から退けて作業机からある物を持ってきた。
それは2頭身程のサイズで綺麗に人型を思わせるよう形取られた白い粘土の塊だった。よく見てみると胴体の上半身となる部分に2つの膨らみがあり上半身から下半身へ繋がる部分はスラッと細くなっていた。
『これってまさか…!』
「ああ、そのまさかだぜ、うん」
「桔梗だ!」
口角を上げて自慢げに私を見せびらかすデイダラに私は不意にも胸に針が刺されたようなズキッとした痛みが走った。
『ありがとうデイダラ、疑ってごめんね』
「やだ、おいらは許さないぞ、うん」
『えっ』
デイダラは悪戯好きの悪餓鬼だと暁で言われているが、内心は優しい心を持った青年であることを知っている私は許されると思っていたがまさかの回答が返ってきた。ポカンと間抜けな顔をしているとデイダラはにやりと怪しく口角を上げて、作品を机に置いて私の前に立ち唇をなぞった。
「寂しかったんだよな?うん?」
『さ、寂しかったけど・・・!』
「じゃあ罪滅ぼしとして俺が沢山満たさすぜ、うん」
『んっ・・』
デイダラの何で満たすか考える暇もなく唇を重ねられ、何度も角度を変えて私を求めるかのようにキスを交わす。
『ふぁっ・・ん・・はぁ・・』
徐々に息が切れてきて酸素を求めようとデイダラから離れようとすると後頭部を抑えられて逃げられないようにされる。自分を求めてくれているように思えて久しぶりの体感に嬉しく思ったが、さすがに酸素が足りないのでデイダラの胸板を軽く叩くとチュッとわざと音を立てて離れていった。
「桔梗・・・。その顔オイラを誘ってんのか?うん?」
『ふぁっ・・?』
ポッと頬を赤らめてはぁはぁと息の整えいているとその時の顔がよかったのかデイダラはまたもベッドへ押し倒した。今度は乱暴にではなく私が痛くならないようにそっとしてくれた。
「できるだけ優しくするが、覚悟しろよ桔梗」
『・・・ん』
答えるかのようにそっとキスをしてやると目を丸くして驚いたがすぐににやりと笑って私の外套のボタンに手をかけた。
後日なぜ赤い髪の毛がデイダラのベッドに付いていたかを聞くとあれは彼のツーマンセルの相方であるサソリのものだろうと答えた。デイダラが私の人型粘土を作ろうと思ったが普段鳥やクモしか作らない彼は人型を作ったことがなく、人を基にした人傀儡を扱うサソリに相談していたのだ。デイダラの部屋へ来てもらってアドバイスを受けているときはサソリはデイダラのベッドに腰を掛けているのでその時に落ちたものだという。
普段同じ屋根の下で暮らしている暁のメンバーに赤髪がいることを完全に忘れていてあのサソリに嫉妬していた自分が恥ずかしく思い、デイダラにからかわれながらも沢山の愛が降り注いだのはまた別のお話。
目の前に覆い被さっている彼は私の恋人。綺麗な金髪は任務の時とは違って下ろしており、右眼は鮮やかな碧色と普段前髪で隠れているスコープを着けた左眼は確実に私を写している。
「……………」
『………そろそろ退いてくれる?』
何時までも退こうとしない彼、デイダラに口を開いたが私の希望は叶わず身体は微動打にしない。強いて言うならば綺麗に整った眉がピクリと動いた位だった。
事の発端は私がいつもの様に彼の部屋のベッドでダラダラしながら、作業机に向かい粘土を捏ねて芸術活動に没頭する彼の背中を見ていた。
普段と大して変わらない光景だったが最近彼が私に構ってくれないのだ。声をかけても「ふーん」や「そうか」などといって興味を示そうとしない。ベッドに脱げ捨てられた外套を手に取ると彼の匂いが鼻をくすぐり少し寂しい気持ちに陥ってしまった。
暫く抱きつくように外套に顔を埋めているせいで少し息苦しくなり何気なく顔を上げると、彼の金髪とは違う鮮やかな赤い髪の毛がベッドシーツに付いていた。
『…ねぇデイダラ』
「んー?」
俯きながらボソッと呼びかけると彼は振り向きはせず返事だけして手は止めなかったので寂しさと怒りが混ざり彼を問いつめることにした。
『これ何』
「どれ?オイラの部屋に桔梗が分からないものでもあったかな、うん」
やっと振り返ったら私が右手でヒラヒラとしている髪の毛を見て、一瞬見えにくく目を細めたが途端に瞳を丸くして固まり慌てて奪おうとしたが少しからかってやろうと思いスルリと避けてみせた。
『デイダラ??』
「ち、違うんだ、うん!」
『何が違うの?さっきこのベッドシーツに付いてたんだけど』
「とりあえず捨てろ?うん?」
『やだ。もしかして最近構ってくれないのはこの人のせいだったりする??』
「……………」
『何その無言』
「……………」
『私じゃ満足できないかー』
「……………」
『もう飛段やイタチに構ってもらおうかな』
構ってくれない原因はこれのせいかと聞いてみたり飛段とイタチの名前を出しても反論するどころか意味深な無言で返ってきて冗談半分で聞いた自分を恨んだ。こんな知らない赤の他人に負けて悔しく虚しく、そして寂しさが一気に押し寄せてきたが涙はグッとこらえて一言言ってやった。
『ばか!!!!』
いつも以上に大きい声で発した途端私の視界は見慣れない天井と先程よりも近いデイダラの顔が写り、後から来る背中の痛みと彼の両手は私の頭の傍に付いてあり他の誰かから見ると彼が私を押し倒しているような状況となった。幸い下はベッドだったので布団のクッションで痛みは和らげられた。
「…ったく、黙ってりゃ好き勝手言いやがって、うん」
『何よ!退いてよばか!』
「ふん」
私の希望は叶わずいつまで経っても退かない彼の胸板を押しても、所詮男と女の力の差でビクとも動かずキッとデイダラを睨んだ。
「…行くのか」
『えっ?』
「あいつらのところに行くのかって聞いてんだよ、うん」
『っ!』
さっきまで真っ直ぐに私を捉えていた碧い瞳はどこか寂しさを感じさせる純粋な瞳へと変わっていき、冗談でもからかってしまったことを後悔した。
「……オイラが悪かったな、うん」
『……うん』
本当に反省しているようで落ち込んでいるデイダラの頬を撫でてやると私の手を取り音を立てて口付けをした。久しい唇の柔らかい感触に頬を赤らめて目を逸らすとクイッと顎を持たれて視線を戻された。
「構ってやれなかった理由聞きたいか?うん?」
『理由…』
「おう」
そう言うとデイダラは私の上から退けて作業机からある物を持ってきた。
それは2頭身程のサイズで綺麗に人型を思わせるよう形取られた白い粘土の塊だった。よく見てみると胴体の上半身となる部分に2つの膨らみがあり上半身から下半身へ繋がる部分はスラッと細くなっていた。
『これってまさか…!』
「ああ、そのまさかだぜ、うん」
「桔梗だ!」
口角を上げて自慢げに私を見せびらかすデイダラに私は不意にも胸に針が刺されたようなズキッとした痛みが走った。
『ありがとうデイダラ、疑ってごめんね』
「やだ、おいらは許さないぞ、うん」
『えっ』
デイダラは悪戯好きの悪餓鬼だと暁で言われているが、内心は優しい心を持った青年であることを知っている私は許されると思っていたがまさかの回答が返ってきた。ポカンと間抜けな顔をしているとデイダラはにやりと怪しく口角を上げて、作品を机に置いて私の前に立ち唇をなぞった。
「寂しかったんだよな?うん?」
『さ、寂しかったけど・・・!』
「じゃあ罪滅ぼしとして俺が沢山満たさすぜ、うん」
『んっ・・』
デイダラの何で満たすか考える暇もなく唇を重ねられ、何度も角度を変えて私を求めるかのようにキスを交わす。
『ふぁっ・・ん・・はぁ・・』
徐々に息が切れてきて酸素を求めようとデイダラから離れようとすると後頭部を抑えられて逃げられないようにされる。自分を求めてくれているように思えて久しぶりの体感に嬉しく思ったが、さすがに酸素が足りないのでデイダラの胸板を軽く叩くとチュッとわざと音を立てて離れていった。
「桔梗・・・。その顔オイラを誘ってんのか?うん?」
『ふぁっ・・?』
ポッと頬を赤らめてはぁはぁと息の整えいているとその時の顔がよかったのかデイダラはまたもベッドへ押し倒した。今度は乱暴にではなく私が痛くならないようにそっとしてくれた。
「できるだけ優しくするが、覚悟しろよ桔梗」
『・・・ん』
答えるかのようにそっとキスをしてやると目を丸くして驚いたがすぐににやりと笑って私の外套のボタンに手をかけた。
後日なぜ赤い髪の毛がデイダラのベッドに付いていたかを聞くとあれは彼のツーマンセルの相方であるサソリのものだろうと答えた。デイダラが私の人型粘土を作ろうと思ったが普段鳥やクモしか作らない彼は人型を作ったことがなく、人を基にした人傀儡を扱うサソリに相談していたのだ。デイダラの部屋へ来てもらってアドバイスを受けているときはサソリはデイダラのベッドに腰を掛けているのでその時に落ちたものだという。
普段同じ屋根の下で暮らしている暁のメンバーに赤髪がいることを完全に忘れていてあのサソリに嫉妬していた自分が恥ずかしく思い、デイダラにからかわれながらも沢山の愛が降り注いだのはまた別のお話。
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