episode1〜転校生
Dream Name
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授業がない今日は
午前の式が終われば各自解散だ。
「ねぇねぇ、神奈川って何処の学校から来たの?」
「ご兄弟はいるの?」
「この後良かったら、私達と一緒にご飯食べに行かない?」
帰りのホームルームが終わり、
さっさと帰る者もいれば
集まって仲良く話すクラスメイトもいる。
僕と英二はこの後、部活がある。
その前にエネルギーを補給するための、
昼食をしているところだ。
1つの机の上でそれぞれの弁当を広げる僕達。
でも、視線は彼女の方。
やはり皆気になるみたい。
今日来たばかりの転校生のことが。
クラスの女子の大半は教室に残り、
彼女を中心として会話をしている。
「凄い人気だにゃ。」
「英二も行けばいいじゃない。」
その間に、英二の弁当無くなっちゃうかもしれないけど。
「ぬぅ……そうしたいんだけど。」
英二を含めた男子は、那須さんを囲む女子達に
邪魔だと追い返されてしまったと言う。
「女子って怖い……。」
相当ショックだったのか、小言を言いながら
眉を下げて大人しく弁当を食べている。
「ねぇ!菊丸なんか言ったー?!」
那須さんの目の前にいる野村さんが
英二に向かって声をかけた。
「なっ、なんも言ってないよん!」
「ふーん。」
確かに、英二の言う怖いがちょっと分かる気がする。
「でもまぁ、英二は先生に那須さんのことを
任されたんだから、別に落ち込む事ないんじゃない?
他の人達よりはずっとトクベツな存在だと思うよ。」
この"教室の中では"の話だけれど
「確かに!あ、でもそしたら不二だって……。」
元気になったかと思えば、
今度は風船のように頬をふくらませる。
「僕はあくまでも英二のサポート役だから。ね?」
僕は自分のお弁当箱に入っていた卵焼きを1つ
英二のお弁当箱の中へと入れた。
「これ、英二が好きなやつ。」
今日の卵焼きはいつもと違って甘かった。
「不二ぃ〜!!」
「はいはい、早く食べようね。」
食事中だと言うのに感極まって抱きつこうとするもんだから、
僕は英二の顔の前に手のひらを置いて彼の好意を遠ざけた。
「不二〜。英二〜。」
僕らの教室の入口から顔を出すタカさん。
そして大きな荷物。
「タカさん。どうしたの?その大きな荷物。」
「ああ、コレね。さっき親父が届けてくれてね。」
僕と英二は一旦食事を中断し、
タカさんの元へ駆け寄った。
こればかりは仕方ない。タカさんだもん。
用もなく教室に来たりはしない。
「クンクン。この匂いはもしかして!寿司かにゃ〜?」
「流石、英二。
進級祝いと、これからの大会に向けての景気づけだってさ。
良かったら一緒に食べないか?」
「もっちろんー!」
「ぜひ、僕も食べたいな。場所はここでもいい?
僕と英二、実は先に弁当食べてて。」
まだ食べてる途中だったことを話す。
「それは申し訳ないことしちゃったね……。
他の皆はお昼まだだって言ってたから、大丈夫だと思う!
呼んでくるね。」
「ううん、誘ってくれてありがとうタカさん。
よろしくね。荷物は預かっておくよ。」
僕はタカさんから荷物を預かった。
「それじゃあ、みんなで食べられるように机並べようか。」
「ほいほーい!」
その一部始終を見ていたクラスメイトは
僕達の話をしていた。
「すげぇ……!テニス部の奴ら昼飯の弁当に寿司だってよ。」
「俺の部活にもタカさん欲しい〜!!寿司食いてぇ!!」
それは那須さん達にも見られていたわけで。
『えっと……?』
「あぁ、さっきの子?河村隆くんだよ。
今年は確か4組だったかな。」
クラス替え初日のはずなのに、
既に他のクラスの情報も出回っているみたいだ。
「実家がお寿司屋さんで有名だよね。」
「そうそう!私この前家族で食べに行ったんだけど
凄く美味しかったよ〜!」
『へぇ…。ちょっと気になるかも。
私、お寿司好きなの。』
那須さんがお寿司が好きだという話をすると
周りの女子達もその話題で盛り上がっていた。
「那須さん。よかったら食べてみる?」
『えっ……。いいの?』
あまりにもお寿司を見る目が輝いていたから、
僕は堪らず声をかけた。
声をかけられた那須さんは
少し嬉しそうに、でも戸惑った顔で僕に聞き返した。
「とは言っても僕が持ってきたものじゃないんだけどね……。
タカさんならきっと良いよって言ってくれるよ。」
『ありがとうございます。不二くん。』
えっ。
今度は僕が言葉に詰まった。
「どうして、名前……。」
『あれ?ほら、……先生が言ってましたから。』
そういえばそうだった。
英二とのやり取りで、僕も巻き込まれたんだった。
「ごめん。そうだったね。」
『いえ……。』
僕が那須さんと話している間に
タカさんが皆を呼んできたらしい。
「ふ〜じぃ〜〜。」
サポートなんて言った矢先に
抜け駆けのような事をしてしまったからか
1人でセッティングをしていた英二には睨まれてしまった。
『あれ……?皆居なくなってる。』
気づけば、6組の教室には3年のテニス部と
那須さんしか残って居なかった。
僕も那須さんも、
一瞬で消えたクラスメイト達に動揺していた。
「フフフッ。賑やかなのもいいが、
食事はなるべく閑静な所でとる方が好みでね。
用が無さそうな生徒には帰ってもらったよ。」
なるほど。やるね、乾。
彼の手には現在開発中だと言う青汁のような物。
開発中のせいか、見た目は中々にグロテスク。
「手塚、一杯どうだい?」
「……。遠慮する。」
でも、使っているのは
全て身体に良い食材だと乾は言う。
完成したらぜひ飲んでみたいね。
一体どんな味がするのか、気になるな。
「ところで君は一体?俺のデータによると、
この学校における君の情報は1つもない。」
乾は眼鏡のブリッジを上げて言った。
「とても興味深いから、この教室に残させてもらったよ。」
それはまるで獲物を捉えた狩人 のようだった。
午前の式が終われば各自解散だ。
「ねぇねぇ、神奈川って何処の学校から来たの?」
「ご兄弟はいるの?」
「この後良かったら、私達と一緒にご飯食べに行かない?」
帰りのホームルームが終わり、
さっさと帰る者もいれば
集まって仲良く話すクラスメイトもいる。
僕と英二はこの後、部活がある。
その前にエネルギーを補給するための、
昼食をしているところだ。
1つの机の上でそれぞれの弁当を広げる僕達。
でも、視線は彼女の方。
やはり皆気になるみたい。
今日来たばかりの転校生のことが。
クラスの女子の大半は教室に残り、
彼女を中心として会話をしている。
「凄い人気だにゃ。」
「英二も行けばいいじゃない。」
その間に、英二の弁当無くなっちゃうかもしれないけど。
「ぬぅ……そうしたいんだけど。」
英二を含めた男子は、那須さんを囲む女子達に
邪魔だと追い返されてしまったと言う。
「女子って怖い……。」
相当ショックだったのか、小言を言いながら
眉を下げて大人しく弁当を食べている。
「ねぇ!菊丸なんか言ったー?!」
那須さんの目の前にいる野村さんが
英二に向かって声をかけた。
「なっ、なんも言ってないよん!」
「ふーん。」
確かに、英二の言う怖いがちょっと分かる気がする。
「でもまぁ、英二は先生に那須さんのことを
任されたんだから、別に落ち込む事ないんじゃない?
他の人達よりはずっとトクベツな存在だと思うよ。」
この"教室の中では"の話だけれど
「確かに!あ、でもそしたら不二だって……。」
元気になったかと思えば、
今度は風船のように頬をふくらませる。
「僕はあくまでも英二のサポート役だから。ね?」
僕は自分のお弁当箱に入っていた卵焼きを1つ
英二のお弁当箱の中へと入れた。
「これ、英二が好きなやつ。」
今日の卵焼きはいつもと違って甘かった。
「不二ぃ〜!!」
「はいはい、早く食べようね。」
食事中だと言うのに感極まって抱きつこうとするもんだから、
僕は英二の顔の前に手のひらを置いて彼の好意を遠ざけた。
「不二〜。英二〜。」
僕らの教室の入口から顔を出すタカさん。
そして大きな荷物。
「タカさん。どうしたの?その大きな荷物。」
「ああ、コレね。さっき親父が届けてくれてね。」
僕と英二は一旦食事を中断し、
タカさんの元へ駆け寄った。
こればかりは仕方ない。タカさんだもん。
用もなく教室に来たりはしない。
「クンクン。この匂いはもしかして!寿司かにゃ〜?」
「流石、英二。
進級祝いと、これからの大会に向けての景気づけだってさ。
良かったら一緒に食べないか?」
「もっちろんー!」
「ぜひ、僕も食べたいな。場所はここでもいい?
僕と英二、実は先に弁当食べてて。」
まだ食べてる途中だったことを話す。
「それは申し訳ないことしちゃったね……。
他の皆はお昼まだだって言ってたから、大丈夫だと思う!
呼んでくるね。」
「ううん、誘ってくれてありがとうタカさん。
よろしくね。荷物は預かっておくよ。」
僕はタカさんから荷物を預かった。
「それじゃあ、みんなで食べられるように机並べようか。」
「ほいほーい!」
その一部始終を見ていたクラスメイトは
僕達の話をしていた。
「すげぇ……!テニス部の奴ら昼飯の弁当に寿司だってよ。」
「俺の部活にもタカさん欲しい〜!!寿司食いてぇ!!」
それは那須さん達にも見られていたわけで。
『えっと……?』
「あぁ、さっきの子?河村隆くんだよ。
今年は確か4組だったかな。」
クラス替え初日のはずなのに、
既に他のクラスの情報も出回っているみたいだ。
「実家がお寿司屋さんで有名だよね。」
「そうそう!私この前家族で食べに行ったんだけど
凄く美味しかったよ〜!」
『へぇ…。ちょっと気になるかも。
私、お寿司好きなの。』
那須さんがお寿司が好きだという話をすると
周りの女子達もその話題で盛り上がっていた。
「那須さん。よかったら食べてみる?」
『えっ……。いいの?』
あまりにもお寿司を見る目が輝いていたから、
僕は堪らず声をかけた。
声をかけられた那須さんは
少し嬉しそうに、でも戸惑った顔で僕に聞き返した。
「とは言っても僕が持ってきたものじゃないんだけどね……。
タカさんならきっと良いよって言ってくれるよ。」
『ありがとうございます。不二くん。』
えっ。
今度は僕が言葉に詰まった。
「どうして、名前……。」
『あれ?ほら、……先生が言ってましたから。』
そういえばそうだった。
英二とのやり取りで、僕も巻き込まれたんだった。
「ごめん。そうだったね。」
『いえ……。』
僕が那須さんと話している間に
タカさんが皆を呼んできたらしい。
「ふ〜じぃ〜〜。」
サポートなんて言った矢先に
抜け駆けのような事をしてしまったからか
1人でセッティングをしていた英二には睨まれてしまった。
『あれ……?皆居なくなってる。』
気づけば、6組の教室には3年のテニス部と
那須さんしか残って居なかった。
僕も那須さんも、
一瞬で消えたクラスメイト達に動揺していた。
「フフフッ。賑やかなのもいいが、
食事はなるべく閑静な所でとる方が好みでね。
用が無さそうな生徒には帰ってもらったよ。」
なるほど。やるね、乾。
彼の手には現在開発中だと言う青汁のような物。
開発中のせいか、見た目は中々にグロテスク。
「手塚、一杯どうだい?」
「……。遠慮する。」
でも、使っているのは
全て身体に良い食材だと乾は言う。
完成したらぜひ飲んでみたいね。
一体どんな味がするのか、気になるな。
「ところで君は一体?俺のデータによると、
この学校における君の情報は1つもない。」
乾は眼鏡のブリッジを上げて言った。
「とても興味深いから、この教室に残させてもらったよ。」
それはまるで獲物を捉えた