episode1〜転校生
Dream Name
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4月 入学式
上級生達はそれぞれの高校へと進学し、
今度は自分達がこの学園の後輩達を
引っ張らなければならないことを自覚させられる。
特に自身が変わることは何も無い。
中学最後の年も、今まで通りに過ごすだけ。
今日も6時に起き、
モーニングルーティンのコーヒーを飲んで
家を出てきた。
そう、いつも通りの日常__
でも、心のどこかで胸が高まるのは
出会いと別れの季節と言われる
この春の暖かな空気のせいだろうか。
ハラリ
緩やかな風の中、1枚の可愛らしい桃色の花びらが
狙っていたかのように僕の頬を掠めた。
「春だね。」
校門を潜り、そのすぐ側に 聳 え立つ
桜の木の前まで歩いた。
僕の手にはコンパクトカメラ。
ふと、僕の目に止まったのは
綺麗な形をした花たちではなかった。
「ふふ、キミはまだ間に合わなかったみたいだね。」
まだ蕾の状態の桜をフレームに収める。
カシャ
__うん。こういう写真も悪くない。
撮った写真を確認して、
僕は鞄の中へとカメラをしまった。
また見に来よう。
今度は咲いた時に。
きっと、あの蕾は綺麗に咲いてくれる。
そんな気がした。
「不二!」
背中の方から声が聞こえた。
それは部活でよく聞き慣れた声。
僕は振り向き、足を止める。
「大石。おはよう。」
「おはよう。今日はいつもより早いな。」
僕のところまで走ってきて、隣に並ぶ大石。
「そうかな?いつも通りだと思うけど。
そう言う大石は、今日ちょっと遅いんじゃない?」
部室の鍵を任されている大石は、
部員の誰よりも早く学校に来る。
「あぁ……少し気合い入れ過ぎて。
ほら、今日は入学式もあるし。」
理由を尋ねてみると、大石は隣で
恥ずかしそうに笑い、髪を触っていた。
なるほどね……。そういうことか。
これがあと10分でもかかっていたら
僕は部室の外で待たされたって訳か。
「入学式の日くらい、朝練無くても良いのにね。」
竜崎先生も忙しいはずなのに、
本当にテニスが好きなんだね。
「そうも言ってられないだろ。」
先程まで照れていた人物はどこへやら。
ガチャ
大石は、部室の鍵を開け
真剣な表情で語った。
「全国大会__
俺達は必ず全国大会に行く。」
"俺達の代では青学を全国へと導く"
それは1年の頃、大石が手塚に語った約束。
「なら、お互い頑張らなきゃね。
まずは、その一歩だよ。」
来週には校内ランキング戦が行われる。
そこで勝利した者だけがレギュラーに選ばれる
青学テニス部の名物の大イベントだ。
「話は終わったか?」
少し前から部室の前で待機していた手塚が
中へ入ってきた。
「おはよう、手塚。
混ざってくれても良かったのに。ね、大石。」
こういうところでも、
なんだか手塚とは距離を感じてしまう。
「ああ。水臭いじゃないか。」
「すまない。」
別に謝って欲しい訳じゃないのに……。
手塚は堅すぎるよ。
「ちぃーす!!」
「ちわっす……。」
続々と部室に集まる部員達。
「やっぱ先輩達早いっスね。」
「ああ?テメェが遅すぎんだろーが桃城。」
「なんだとっ?テメェも同じ時間に来てんだから
同類じゃねーかよ海堂!」
部室に到着して早々、お互いの服を掴み合い
いつもの喧嘩を始める桃と海堂。
このやり取りも青学テニス部の名物になりつつある。
「お前らいい加減にしろ。
ここにいる全員グラウンド20周だ。」
そして、これも。
「桃、海堂。後でゆっくりお話しようか。」
「……ヒっ。」
「……。」
全く……。
今日から後輩ができるって言う日に情けないよ。
今日の朝練の大半は走り込みで終わった。
上級生達はそれぞれの高校へと進学し、
今度は自分達がこの学園の後輩達を
引っ張らなければならないことを自覚させられる。
特に自身が変わることは何も無い。
中学最後の年も、今まで通りに過ごすだけ。
今日も6時に起き、
モーニングルーティンのコーヒーを飲んで
家を出てきた。
そう、いつも通りの日常__
でも、心のどこかで胸が高まるのは
出会いと別れの季節と言われる
この春の暖かな空気のせいだろうか。
ハラリ
緩やかな風の中、1枚の可愛らしい桃色の花びらが
狙っていたかのように僕の頬を掠めた。
「春だね。」
校門を潜り、そのすぐ側に
桜の木の前まで歩いた。
僕の手にはコンパクトカメラ。
ふと、僕の目に止まったのは
綺麗な形をした花たちではなかった。
「ふふ、キミはまだ間に合わなかったみたいだね。」
まだ蕾の状態の桜をフレームに収める。
カシャ
__うん。こういう写真も悪くない。
撮った写真を確認して、
僕は鞄の中へとカメラをしまった。
また見に来よう。
今度は咲いた時に。
きっと、あの蕾は綺麗に咲いてくれる。
そんな気がした。
「不二!」
背中の方から声が聞こえた。
それは部活でよく聞き慣れた声。
僕は振り向き、足を止める。
「大石。おはよう。」
「おはよう。今日はいつもより早いな。」
僕のところまで走ってきて、隣に並ぶ大石。
「そうかな?いつも通りだと思うけど。
そう言う大石は、今日ちょっと遅いんじゃない?」
部室の鍵を任されている大石は、
部員の誰よりも早く学校に来る。
「あぁ……少し気合い入れ過ぎて。
ほら、今日は入学式もあるし。」
理由を尋ねてみると、大石は隣で
恥ずかしそうに笑い、髪を触っていた。
なるほどね……。そういうことか。
これがあと10分でもかかっていたら
僕は部室の外で待たされたって訳か。
「入学式の日くらい、朝練無くても良いのにね。」
竜崎先生も忙しいはずなのに、
本当にテニスが好きなんだね。
「そうも言ってられないだろ。」
先程まで照れていた人物はどこへやら。
ガチャ
大石は、部室の鍵を開け
真剣な表情で語った。
「全国大会__
俺達は必ず全国大会に行く。」
"俺達の代では青学を全国へと導く"
それは1年の頃、大石が手塚に語った約束。
「なら、お互い頑張らなきゃね。
まずは、その一歩だよ。」
来週には校内ランキング戦が行われる。
そこで勝利した者だけがレギュラーに選ばれる
青学テニス部の名物の大イベントだ。
「話は終わったか?」
少し前から部室の前で待機していた手塚が
中へ入ってきた。
「おはよう、手塚。
混ざってくれても良かったのに。ね、大石。」
こういうところでも、
なんだか手塚とは距離を感じてしまう。
「ああ。水臭いじゃないか。」
「すまない。」
別に謝って欲しい訳じゃないのに……。
手塚は堅すぎるよ。
「ちぃーす!!」
「ちわっす……。」
続々と部室に集まる部員達。
「やっぱ先輩達早いっスね。」
「ああ?テメェが遅すぎんだろーが桃城。」
「なんだとっ?テメェも同じ時間に来てんだから
同類じゃねーかよ海堂!」
部室に到着して早々、お互いの服を掴み合い
いつもの喧嘩を始める桃と海堂。
このやり取りも青学テニス部の名物になりつつある。
「お前らいい加減にしろ。
ここにいる全員グラウンド20周だ。」
そして、これも。
「桃、海堂。後でゆっくりお話しようか。」
「……ヒっ。」
「……。」
全く……。
今日から後輩ができるって言う日に情けないよ。
今日の朝練の大半は走り込みで終わった。