episode3〜後輩
Dream Name
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『終了!お疲れ様。』
お疲れ様と、10周走りきった部員達に声をかける。
この遠征に来ている面子はレギュラー陣に3年生だ。
流石に途中でバテたり周回遅れする人はいなかったみたい。
『……。』
けど、課題は別なところにある。
私はストップウォッチで測ったタイムを
持ってきたノートにまとめる。
「記録はどうだったんだ?」
タオルで汗を拭きながら、乾くんが聞いてきた。
『まぁ、予想してた展開かなってところ。
最初の1周目と最後の10周目を比較すると
+10秒程のズレがあるよ。』
そう、最初の1周目を飛ばしすぎたのだ。
「やはりそうか。俺も頭の中で計っていたんだが、
5周目から英二のペースが2秒ずつ
落ちているような気がしたんだ。」
『うんうん。スタミナ不足とペース配分は
何とか強化したいね。』
私はノートに、"スタミナ不足" "ペース配分" と
書いて赤丸を付けた。
「各自休憩が終わったらいつものようにラリー練習。」
水分補給している部員達に手塚くんが指示を出した。
「那須さんもこまめに水分とってね。」
休憩が終わった河村くんが優しく
私に声を掛けてくれた。
『うん。ありがとう!あっ……!!
河村くん!ラケット忘れてるよ!』
ボール1つだけを手にコートへ戻ろうとする
河村くんを止めて、ラケットを渡した。
「キタキタキタキタ!!!バ〜〜ニング!!
マネちゃんサンキュ〜〜!!!グッジョ〜ブ!!」
『あ……うん。が、頑張って!』
一瞬で控えめな態度から情熱的な態度に
変わった河村くんに驚いた。
河村くんのパワーの源は、ラケットだったのか。
燃えながら練習へと戻る河村くんの背中はとても逞しかった。
パーン__パコーン__
ラリーの音が響く。
「打球の威力が弱いぞ、英二!」
「大石だって球ブレブレだよん!」
互いのミスを声に出して煽るゴールデンペア。
『なるほどね。』
煽りながらもちゃんとミスを理解して、カバーしているから
ラリーが途切れない。
更にペア同士の信頼を高めるためには……
そうね。あれを試してみようかしら。
"球2つで連続ラリー練習"と私はノートに書いた。
「フッ。」
「ふふ。調子良いね、手塚。」
「いつも通りだ。」
手塚くんと不二くん。
調子良いなんて言うけれど、
手塚くんはきっと50%も力を出していないだろう。
それは不二くんも同じことなんだけど。
"1対3の試合形式練習"とかどうだろう……。
ぶっ飛んだ発想ではあるけれど、追い詰められた状況を
練習のうちからやっていて損はないと思う。
試合では何が起こるか分からないもの。
この二人に効果が出るか分からないけれど
他の子達の練習メニューにも使えそう。
一方、100%全力でラリー練習をしている
河村くんと海堂くん
「フシュー……!!!」
「オラオラオラァ!!カモーン!ベイビィ〜!!」
最早会話なのか分からない2人。
パワーで押し切るだけじゃなくて
ピンポイントでコースを狙えるような
コントロール力が身に付いたらこの二人はとても強いと思う。
"空き缶を使ったコントロール練習"
それから……"動体視力の強化"っと。
私は皆のラリー練習を見ながら
今後の練習に使えそうなメニューを考えていた。
乾くんはそうねぇ……。
彼自身で見つけてきそうな気がするから
私が考える必要はないかな。
ただ、天気予報みたいにデータは外れることもある。
自分のデータに自惚れないことが
彼が今一番にするべきことかしら。
パタンとノートを閉じる。
さて。
まだラリー練習かかりそうだし
今のうちに濡れタオルでも作って来ようかな。
私はカバンからハンカチサイズのタオルを人数分取り出し、
一緒に用意してきたバケツを持って水道へと向かった。
汗かいた時とか暑い時に、
水で濡れて冷えたタオルを首に当てるの
凄く気持ちいいんだよね。
『ちょっと水道行ってくるね。』
「おう。」
私は近くにいた部員に声を掛けて
水道へと向かった。
『あの……。水道はどちらですか?お借りしたくて。』
知ってるけどね。
知ってるけど、勝手に行って
青学のマネがなんで水道の場所知ってんだ?
って怪しまれたら言い逃れ出来ないじゃん。
結構分かりにくいところにあるし。
念には念を。
私は、立海生がいるコートに顔を出し
休憩していた玉川くんに声を掛けた。
「ここを右に曲がると花壇があるのですが…
その花壇の奥の方に。
ここからじゃ少し分かりにくいんですよね。
一緒に行きましょうか?」
『いえ、大丈夫ですよ〜。
休憩中にお邪魔してすみません。
教えてくださり、ありがとうございます!』
礼を言って私は水道へと向かった。
「え、あぁ……別に。……!!」
後ろで玉川くんが何か言っていた気がするけど
きっと私に対しての言葉ではないだろう。
私は振り返らなかった。
〜♪〜♪
鼻歌を歌いながらタオルの入ったバケツに
水を貯める。
絞るのは向こうで良いかな。渡す直前まで冷やしたいし。
『よし。戻ろう。』
バケツを持ち、来た道を帰る。
「うあああ?!!ど、どいてくださいっス!!!!」
バケツを持って花壇の前を通ったところで
私は人にぶつかり、バケツに貯めた水をぶちまけた。
「いてて……っ……うぉ?!びしょ濡れ。」
あー。最悪だ。
その特徴的な声で、誰とぶつかったかなんて
知りたくなくても分かってしまう。
『……。』
なんでいるのよ。
「大丈夫っスか?」
遅刻か?えぇ。……遅刻だわ。
もうすぐで1時限が始まるもの。
私は制服姿でカバンを持ち座り込んでいる
__赤也を見た。
『大丈夫じゃないのは、貴方の方じゃないのかしら?』
バチンと目が合う。
バサッ__
私はジャージの上着を脱いで、彼の顔に被せた。
「?!いきなり何すんだよっ!!」
これ以上見られたらバレてしまうかもしれない。
『服濡れてるわ。風邪引かれたら困るからこれあげる。』
「いや、でもこれサイズ……というか自分のあるし。」
ジャージを返そうとする赤也。
だから私は笑顔で言ってやった。
『時間、大丈夫??』
その一言で赤也は飛び起きて顔を青ざめた。
「あ!!!やっべぇ!!!!!
副部長に見つかったら怒られるっ〜〜!!」
あー。この時間、校内パトロール中だもんね。
『I組側の階段から教室に行けば見つからないかもよ。』
「まじ?!サンキュー!!えっと……。」
コロコロと変わる赤也の表情。
久々に顔を見た感じがするけど、元気そうで良かった。
『ああ、そっか。私の名前ね……。ガーベラ。』
私は近くに咲いていた赤いガーベラの花を見て
そう答えていた。
「が、がーべら?……随分変わった名前っスね。
俺は切原赤也。そんじゃ、ジャージ借りるっスよ。
」
『どうぞ。』
赤也は私が渡したジャージを羽織り、
また走って、校舎の中へ入っていった。
『昨日弦一郎とぶつかったこと絶対忘れてるわね。』
電話で内容を聞いていた私は
そんな事を思った。
お疲れ様と、10周走りきった部員達に声をかける。
この遠征に来ている面子はレギュラー陣に3年生だ。
流石に途中でバテたり周回遅れする人はいなかったみたい。
『……。』
けど、課題は別なところにある。
私はストップウォッチで測ったタイムを
持ってきたノートにまとめる。
「記録はどうだったんだ?」
タオルで汗を拭きながら、乾くんが聞いてきた。
『まぁ、予想してた展開かなってところ。
最初の1周目と最後の10周目を比較すると
+10秒程のズレがあるよ。』
そう、最初の1周目を飛ばしすぎたのだ。
「やはりそうか。俺も頭の中で計っていたんだが、
5周目から英二のペースが2秒ずつ
落ちているような気がしたんだ。」
『うんうん。スタミナ不足とペース配分は
何とか強化したいね。』
私はノートに、"スタミナ不足" "ペース配分" と
書いて赤丸を付けた。
「各自休憩が終わったらいつものようにラリー練習。」
水分補給している部員達に手塚くんが指示を出した。
「那須さんもこまめに水分とってね。」
休憩が終わった河村くんが優しく
私に声を掛けてくれた。
『うん。ありがとう!あっ……!!
河村くん!ラケット忘れてるよ!』
ボール1つだけを手にコートへ戻ろうとする
河村くんを止めて、ラケットを渡した。
「キタキタキタキタ!!!バ〜〜ニング!!
マネちゃんサンキュ〜〜!!!グッジョ〜ブ!!」
『あ……うん。が、頑張って!』
一瞬で控えめな態度から情熱的な態度に
変わった河村くんに驚いた。
河村くんのパワーの源は、ラケットだったのか。
燃えながら練習へと戻る河村くんの背中はとても逞しかった。
パーン__パコーン__
ラリーの音が響く。
「打球の威力が弱いぞ、英二!」
「大石だって球ブレブレだよん!」
互いのミスを声に出して煽るゴールデンペア。
『なるほどね。』
煽りながらもちゃんとミスを理解して、カバーしているから
ラリーが途切れない。
更にペア同士の信頼を高めるためには……
そうね。あれを試してみようかしら。
"球2つで連続ラリー練習"と私はノートに書いた。
「フッ。」
「ふふ。調子良いね、手塚。」
「いつも通りだ。」
手塚くんと不二くん。
調子良いなんて言うけれど、
手塚くんはきっと50%も力を出していないだろう。
それは不二くんも同じことなんだけど。
"1対3の試合形式練習"とかどうだろう……。
ぶっ飛んだ発想ではあるけれど、追い詰められた状況を
練習のうちからやっていて損はないと思う。
試合では何が起こるか分からないもの。
この二人に効果が出るか分からないけれど
他の子達の練習メニューにも使えそう。
一方、100%全力でラリー練習をしている
河村くんと海堂くん
「フシュー……!!!」
「オラオラオラァ!!カモーン!ベイビィ〜!!」
最早会話なのか分からない2人。
パワーで押し切るだけじゃなくて
ピンポイントでコースを狙えるような
コントロール力が身に付いたらこの二人はとても強いと思う。
"空き缶を使ったコントロール練習"
それから……"動体視力の強化"っと。
私は皆のラリー練習を見ながら
今後の練習に使えそうなメニューを考えていた。
乾くんはそうねぇ……。
彼自身で見つけてきそうな気がするから
私が考える必要はないかな。
ただ、天気予報みたいにデータは外れることもある。
自分のデータに自惚れないことが
彼が今一番にするべきことかしら。
パタンとノートを閉じる。
さて。
まだラリー練習かかりそうだし
今のうちに濡れタオルでも作って来ようかな。
私はカバンからハンカチサイズのタオルを人数分取り出し、
一緒に用意してきたバケツを持って水道へと向かった。
汗かいた時とか暑い時に、
水で濡れて冷えたタオルを首に当てるの
凄く気持ちいいんだよね。
『ちょっと水道行ってくるね。』
「おう。」
私は近くにいた部員に声を掛けて
水道へと向かった。
『あの……。水道はどちらですか?お借りしたくて。』
知ってるけどね。
知ってるけど、勝手に行って
青学のマネがなんで水道の場所知ってんだ?
って怪しまれたら言い逃れ出来ないじゃん。
結構分かりにくいところにあるし。
念には念を。
私は、立海生がいるコートに顔を出し
休憩していた玉川くんに声を掛けた。
「ここを右に曲がると花壇があるのですが…
その花壇の奥の方に。
ここからじゃ少し分かりにくいんですよね。
一緒に行きましょうか?」
『いえ、大丈夫ですよ〜。
休憩中にお邪魔してすみません。
教えてくださり、ありがとうございます!』
礼を言って私は水道へと向かった。
「え、あぁ……別に。……!!」
後ろで玉川くんが何か言っていた気がするけど
きっと私に対しての言葉ではないだろう。
私は振り返らなかった。
〜♪〜♪
鼻歌を歌いながらタオルの入ったバケツに
水を貯める。
絞るのは向こうで良いかな。渡す直前まで冷やしたいし。
『よし。戻ろう。』
バケツを持ち、来た道を帰る。
「うあああ?!!ど、どいてくださいっス!!!!」
バケツを持って花壇の前を通ったところで
私は人にぶつかり、バケツに貯めた水をぶちまけた。
「いてて……っ……うぉ?!びしょ濡れ。」
あー。最悪だ。
その特徴的な声で、誰とぶつかったかなんて
知りたくなくても分かってしまう。
『……。』
なんでいるのよ。
「大丈夫っスか?」
遅刻か?えぇ。……遅刻だわ。
もうすぐで1時限が始まるもの。
私は制服姿でカバンを持ち座り込んでいる
__赤也を見た。
『大丈夫じゃないのは、貴方の方じゃないのかしら?』
バチンと目が合う。
バサッ__
私はジャージの上着を脱いで、彼の顔に被せた。
「?!いきなり何すんだよっ!!」
これ以上見られたらバレてしまうかもしれない。
『服濡れてるわ。風邪引かれたら困るからこれあげる。』
「いや、でもこれサイズ……というか自分のあるし。」
ジャージを返そうとする赤也。
だから私は笑顔で言ってやった。
『時間、大丈夫??』
その一言で赤也は飛び起きて顔を青ざめた。
「あ!!!やっべぇ!!!!!
副部長に見つかったら怒られるっ〜〜!!」
あー。この時間、校内パトロール中だもんね。
『I組側の階段から教室に行けば見つからないかもよ。』
「まじ?!サンキュー!!えっと……。」
コロコロと変わる赤也の表情。
久々に顔を見た感じがするけど、元気そうで良かった。
『ああ、そっか。私の名前ね……。ガーベラ。』
私は近くに咲いていた赤いガーベラの花を見て
そう答えていた。
「が、がーべら?……随分変わった名前っスね。
俺は切原赤也。そんじゃ、ジャージ借りるっスよ。
」
『どうぞ。』
赤也は私が渡したジャージを羽織り、
また走って、校舎の中へ入っていった。
『昨日弦一郎とぶつかったこと絶対忘れてるわね。』
電話で内容を聞いていた私は
そんな事を思った。