episode3〜後輩
Dream Name
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目的地に到着したバスは
ゆっくりとブレーキをかけて止まった。
「手前にいるやつから降りて、積んである荷物運べ。」
後ろの方から手塚くんの指示する声が聞こえる。
とりあえず、言われたことに従っていれば大丈夫かな。
『ありがとうございました。』
「いえ!頑張ってくださいね。」
私は、バスの運転手に礼を一言伝えて降りる。
「先輩律儀っスね。」
私の次に降りた海堂くんが言った。
どうやら顔の赤みはもう引いたみたい。
バンダナもいつもの位置にある。
『そう?あ、荷物運ばなきゃ。』
確か荷台に、テニスボールが2カゴある。
それから救急箱とスコアブック。
「フシュー。」
独特な呼吸と共に、海堂くんは
私の前を通り過ぎ、ボールを持っていく。
それも2カゴ。
『海堂くん?!大丈夫?』
「これくらい平気っス……。
先輩は救急箱とスコアブックお願いします。」
持って行くけどさ……。それより……。
「全く〜海堂の奴、カッコつけて〜!!
それじゃあ練習前から疲れちゃうよん。」
海堂くんの持つボールカゴを1つ
ひょいっと奪う菊丸くん。
「別にカッコつけてねぇ……っスよ。」
良かった。菊丸くんが半分持ってくれるなら安心だね。
「ふふ。それは英二もなんじゃない?」
不二くんが菊丸くんの持つカゴの更に片方を持つ。
仲良いわね。
流石に2人で持つ程は重くないでしょうに。
「えぇ〜不二ぃ〜。なんのこと〜?」
「なんのことだろうね。ふふ。」
皆で荷物を運びながら立海大附属中学の正門をくぐる。
つい最近まで通っていたのになんだか懐かしいや。
ホームルームが始まる時間だからだろうか。
校舎の外にはテニス部員以外誰もいない。
思った以上に目立つわね。
「青学のマネージャーとして堂々としていろ。」
キョロキョロと様子を伺っていたのが目に入ったのか
手塚くんに注意されてしまった。
そうよね、挙動不審になっていたら逆に怪しまれるもの。
それに那須(名前)としての姿を見た事ある子は
ほんの僅かな人達だけ。
男装するために胸つぶしてウィッグ被って、
双子感出すために、弦一郎みたく帽子も被ってたし……。
そういえば、そうよ。
赤也だって、女だということを知っていても
本当の姿の私は知らないじゃない……!
なんかいける気がしてきたわこの遠征。
「おはようございます!青学テニス部の皆さん。」
玉川くん……!!
「今日はよろしくお願いします。案内します。」
そう言って玉川くんは青学テニス部の皆を
コートへと案内する。
私も皆の後ろを着いていく。
「青学はマネージャーさんもいるんですね。」
玉川くんは私を見てニコリと笑った。
バレて…はなさそう。
「ああ、今日からだが。」
先頭で玉川くんと会話している手塚くんが答えた。
「え、今日?という事は1年生ですか?」
「いや、3年だ。」
手塚くん。アウト……それ言っちゃ……。
「……3年?」
玉川くんが私の顔をじーっと見つめる。
『……。』
堂々としてろと言われた私は
とりあえず、笑って返しておいた。
「なるほど……。」
待って、玉川くん??
そのなるほどは、どういう意味なの??
「着きました。青学の皆さんはここを使ってください。
9時になったら合同練習を始めますので、
それまではウォーミングアップをお願いします。
試合形式の練習は、お昼の後に予定してます。
他、何かわからないことがあれば
近くの立海生に遠慮なく聞いてください。」
玉川くんは今日のスケジュールを大まかに説明すると
ぺこりと一礼して、立海生がいるコートの方に戻った。
「各自荷物を置いて準備が出来たら、集まれ。
コートの外10周するぞ。
マネージャーはラップを頼む。」
『はい!あ…手塚くん、ちょっと相談が。』
私は、家から持ってきた帽子を被り
手塚くんの方へ走る。
『今日のランニングのことなんだけど……。』
昨日の夜、改めて練習メニューを見直してみた。
誰かに頼まれた訳では無いけれど、
自分がこうした方がいいと思ったから。
ライバルは強いに越したことはないし。
「良いんじゃないか?自分の弱点は自分では気付きにくい。
そういったサポートは大歓迎だ。何せお前はテニス経験者だ。
他にもあれば俺や大石に言ってくれると助かる。」
『うん、ありがとう。』
何とか手塚くんからの許可も得られた私は
ストップウォッチを2つ手に取り
手塚くんと一緒にコートの外へ出た。
1つは完走するまでのタイム
もう1つは1周のタイム
『これは速さを競うトレーニングではなく
ペース配分を鍛えるための練習よ。』
私は、スタートラインで手首足首を回し
走る準備をしている部員達に声をかける。
『先頭は菊丸くん。皆はその後ろに着いていって。
1周目のタイムを+-3秒の範囲で10周まで
ペースを保ってね。』
「ほいほーい!皆俺に任せて〜!!」
やる気な英二くん。
その反対にノリ気ではない他の部員達。
そうよね。昨日見学見た限り、
調子が良かったことを抜きにしても
菊丸くんは足が早い。
でも、動けるだけではダメなのだ。
もし仮にテニスの試合で1ゲーム目から全力でやったとして
それがどこまで続くのか。
スタミナが切れてしまっては試合にならない。
『ふふ。頑張って。』
私は菊丸くんを見て言った。
「もっちろん!見ててよねん!」
彼の気分を上げたところで
この声援が吉と出るか、凶と出るか。
さぁ、何人が最後まで同じペースで走りきれるか。
『準備はいい?』
ジリジリと地面を強く踏み締める音が響く。
『GO!!』
私の合図と共に菊丸くんを先頭として皆が一斉に走り出す。
私は、その姿を目で追った。
__その様子を遠く離れたところから捕らえるのは
コート上の詐欺師 、仁王雅治。
「クッ……面白くなってきたの。」
屋上から銀色の髪。
地上を楽しそうに眺めていた。
ゆっくりとブレーキをかけて止まった。
「手前にいるやつから降りて、積んである荷物運べ。」
後ろの方から手塚くんの指示する声が聞こえる。
とりあえず、言われたことに従っていれば大丈夫かな。
『ありがとうございました。』
「いえ!頑張ってくださいね。」
私は、バスの運転手に礼を一言伝えて降りる。
「先輩律儀っスね。」
私の次に降りた海堂くんが言った。
どうやら顔の赤みはもう引いたみたい。
バンダナもいつもの位置にある。
『そう?あ、荷物運ばなきゃ。』
確か荷台に、テニスボールが2カゴある。
それから救急箱とスコアブック。
「フシュー。」
独特な呼吸と共に、海堂くんは
私の前を通り過ぎ、ボールを持っていく。
それも2カゴ。
『海堂くん?!大丈夫?』
「これくらい平気っス……。
先輩は救急箱とスコアブックお願いします。」
持って行くけどさ……。それより……。
「全く〜海堂の奴、カッコつけて〜!!
それじゃあ練習前から疲れちゃうよん。」
海堂くんの持つボールカゴを1つ
ひょいっと奪う菊丸くん。
「別にカッコつけてねぇ……っスよ。」
良かった。菊丸くんが半分持ってくれるなら安心だね。
「ふふ。それは英二もなんじゃない?」
不二くんが菊丸くんの持つカゴの更に片方を持つ。
仲良いわね。
流石に2人で持つ程は重くないでしょうに。
「えぇ〜不二ぃ〜。なんのこと〜?」
「なんのことだろうね。ふふ。」
皆で荷物を運びながら立海大附属中学の正門をくぐる。
つい最近まで通っていたのになんだか懐かしいや。
ホームルームが始まる時間だからだろうか。
校舎の外にはテニス部員以外誰もいない。
思った以上に目立つわね。
「青学のマネージャーとして堂々としていろ。」
キョロキョロと様子を伺っていたのが目に入ったのか
手塚くんに注意されてしまった。
そうよね、挙動不審になっていたら逆に怪しまれるもの。
それに那須(名前)としての姿を見た事ある子は
ほんの僅かな人達だけ。
男装するために胸つぶしてウィッグ被って、
双子感出すために、弦一郎みたく帽子も被ってたし……。
そういえば、そうよ。
赤也だって、女だということを知っていても
本当の姿の私は知らないじゃない……!
なんかいける気がしてきたわこの遠征。
「おはようございます!青学テニス部の皆さん。」
玉川くん……!!
「今日はよろしくお願いします。案内します。」
そう言って玉川くんは青学テニス部の皆を
コートへと案内する。
私も皆の後ろを着いていく。
「青学はマネージャーさんもいるんですね。」
玉川くんは私を見てニコリと笑った。
バレて…はなさそう。
「ああ、今日からだが。」
先頭で玉川くんと会話している手塚くんが答えた。
「え、今日?という事は1年生ですか?」
「いや、3年だ。」
手塚くん。アウト……それ言っちゃ……。
「……3年?」
玉川くんが私の顔をじーっと見つめる。
『……。』
堂々としてろと言われた私は
とりあえず、笑って返しておいた。
「なるほど……。」
待って、玉川くん??
そのなるほどは、どういう意味なの??
「着きました。青学の皆さんはここを使ってください。
9時になったら合同練習を始めますので、
それまではウォーミングアップをお願いします。
試合形式の練習は、お昼の後に予定してます。
他、何かわからないことがあれば
近くの立海生に遠慮なく聞いてください。」
玉川くんは今日のスケジュールを大まかに説明すると
ぺこりと一礼して、立海生がいるコートの方に戻った。
「各自荷物を置いて準備が出来たら、集まれ。
コートの外10周するぞ。
マネージャーはラップを頼む。」
『はい!あ…手塚くん、ちょっと相談が。』
私は、家から持ってきた帽子を被り
手塚くんの方へ走る。
『今日のランニングのことなんだけど……。』
昨日の夜、改めて練習メニューを見直してみた。
誰かに頼まれた訳では無いけれど、
自分がこうした方がいいと思ったから。
ライバルは強いに越したことはないし。
「良いんじゃないか?自分の弱点は自分では気付きにくい。
そういったサポートは大歓迎だ。何せお前はテニス経験者だ。
他にもあれば俺や大石に言ってくれると助かる。」
『うん、ありがとう。』
何とか手塚くんからの許可も得られた私は
ストップウォッチを2つ手に取り
手塚くんと一緒にコートの外へ出た。
1つは完走するまでのタイム
もう1つは1周のタイム
『これは速さを競うトレーニングではなく
ペース配分を鍛えるための練習よ。』
私は、スタートラインで手首足首を回し
走る準備をしている部員達に声をかける。
『先頭は菊丸くん。皆はその後ろに着いていって。
1周目のタイムを+-3秒の範囲で10周まで
ペースを保ってね。』
「ほいほーい!皆俺に任せて〜!!」
やる気な英二くん。
その反対にノリ気ではない他の部員達。
そうよね。昨日見学見た限り、
調子が良かったことを抜きにしても
菊丸くんは足が早い。
でも、動けるだけではダメなのだ。
もし仮にテニスの試合で1ゲーム目から全力でやったとして
それがどこまで続くのか。
スタミナが切れてしまっては試合にならない。
『ふふ。頑張って。』
私は菊丸くんを見て言った。
「もっちろん!見ててよねん!」
彼の気分を上げたところで
この声援が吉と出るか、凶と出るか。
さぁ、何人が最後まで同じペースで走りきれるか。
『準備はいい?』
ジリジリと地面を強く踏み締める音が響く。
『GO!!』
私の合図と共に菊丸くんを先頭として皆が一斉に走り出す。
私は、その姿を目で追った。
__その様子を遠く離れたところから捕らえるのは
コート上の
「クッ……面白くなってきたの。」
屋上から銀色の髪。
地上を楽しそうに眺めていた。