episode2〜務め
Dream Name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『あ、ここです。』
着いたのは私が住むアパート。
「ここって確か一人暮らし用のアパートだよな?」
乾くんが、建物の名前をマジマジと見ながら言った。
『そうだよ。実家は神奈川。
……とは言っても、弦一郎の家なんだけど。』
「え、真田の家が実家ってどういうこと?」
「英二。あ、あまり深入りしすぎるのは良くないよ……。」
不思議に思った菊丸くんは理由を尋ねた。
それを良くない話ではないと思った河村くんは
菊丸くんに注意する。
『いや、大丈夫だよ。河村くん。
私の言い方が悪かった。』
弦一郎の家が実家というのも
おかしな話なんだけれど
私の両親は昔から転勤や出張が多く、
家を持っていないのだ。
わざと持たないというのもあるんだろうけど……。
長期の時はアパートを借り、短期の時はホテルを借りる。
そんな忙しい両親だ。
今は海外で長期の出張に出かけているところ。
そんな仕事に追われる両親が
私と過ごす時間は普通の家庭と比べると、とても短い。
申し訳なく思った両親は、私に寂しい思いをさせないよう
親戚の家に預けることにした。
それが弦一郎の家。
弦一郎のお母様曰く、
私が1歳になるまでは育児休暇を取って
沢山の愛情を注いでくれたそう。
『両親は仕事で海外だから、お世話になってる真田家が
私の代わりの実家みたいなものなの。
実際、1歳の頃からずっと住んでたからね。』
今の一人暮らしの費用とかも
両親に転校することを話したら快く出してくれて、
年に数回しか会えないけれど……それでも
私は両親にとても感謝しているし頭が上がらない。
「そうなんだ。だから、那須さんしっかりしてるんだね。」
凄いよと河村くんが褒めてくれる。
『へへ、そうかな。』
私は嬉しくて、思わず顔を緩ませてはにかむ。
『あっ、家までありがとうございました。』
私はテニス部の皆にペコリと一礼した。
皆で着いてくること無かったのに、
学校から近いからついでなのか。それとも、好奇心か。
それぞれ送ってくれた理由は違うだろうけど、
皆優しい人達なんだなって思った。
「どういたしまして。結構近いんだね、学校から。」
不二くんが言った。
『はい。両親が過保護で……。』
「ふふ。愛されてるんだね。」
にこりと笑う。
「んじゃ、俺らもそろそろ帰りますか〜。」
「あ"?てめぇが仕切ってんじゃねぇ。」
「まぁまぁ、落ち着いて2人とも……!
って……!もう英二いないし!!」
「英二ならさっきお姉さんから
電話が掛かってきて、先に帰ったぞ。」
部活後だというのに、元気な皆。
まだパワー有り余ってそう。
「じゃあ、僕達も失礼しようか。那須さん、また明日。」
『はい。また明日。』
いなくなってしまった菊丸くんの後を追うように
他のみんなもまたねと帰って行った。
『さてと……。』
私も明日の準備をしなくちゃ。
家の中へ入り、鍵を閉めて靴を脱ぐ。
ジャージとタオル……
それから弁当も作らなきゃだから明日は早起きだな。
入部届けも持って行かなきゃ。
遠征の帰りに、真田家に寄ろう。
そうなると、弦一郎に電話しないといけないなぁ。
赤也のことも聞かなきゃ……。
明日の遠征メンバー、乾くんに見せてもらったけれど
やっぱりレギュラー陣の名前は書かれていなかった。
1、2年の試合経験を積み立てるのを目的とした
練習試合って感じだ。
その中には赤也の名前もなかった。
立海の敷地内で遭遇しなければ
バレずに済む可能性が高い。
大丈夫。きっと大丈夫。
『……よし。』
私は弦一郎に電話をかけた。
『もしもし。』
ワンコールで弦一郎は出た。
『わっ、びっくりした。
電話出るの早くない?"弦ちゃん"。』
〈っ〜〜!その呼び方をやめろ!〉
一体どんな声量で電話してるんだ。
あまりにも大きな声で、私は携帯を耳から離す。
『ハイハイ、弦一郎。反抗期??』
〈む。俺はそこまでたるんでない。
大体そのふざけた呼び方は中学上がる前に卒業しただろ。〉
確かに。でも、たまに呼びたくなっちゃうんだよね。
『良いじゃん。誰も聞いてないんだし。』
私は明日の荷物を入れるカバンを
ガサゴソと探しながら答えた。
電話の向こうで大人しくなる弦一郎。
『あれ。もしかして、他に誰かいた?』
〈すまない(名前)。俺がいる。〉
弦一郎の携帯を取って代わりに答えたんだろう。
『わ!蓮二くん!』
蓮二くんの声が携帯から聞こえた。
〈ところで、随分ガサゴソと騒がしいが
何か探しているのか?〉
向こうに聞こえてたんだ。
私も弦一郎のこと言えないじゃない。
『うん。ちょっと荷物入れるカバン探してて。
あ、あった。これこれ。これが丁度良いんだよね。』
大きくも小さくもない丁度良いサイズ。
1日だけの練習試合とかそういう時に重宝している。
〈何処かに出掛けるのか?〉
『あー。明日ね。遠征あるの。』
〈ん?遠征?どういうことだ。
今日は青学も入学式だったろう?
なぜ遠征という言葉が出てくるんだ。〉
私は包み隠さずに、今日あったことを話した。
『入部させられたのよ。男子テニス部に。
マネージャーとして。』
〈え……。〉
蓮二くんは驚いたように声を漏らして黙っていた。
その後ろでは、慌てたような弦一郎の声が聞こえた。
〈なぬっ!?蓮二代われ!!〉
『……。』
面倒くさいことになったかもしれない。
〈マネージャーとはどういう事だ。(名前)。〉
私は今とても通話を切りたい衝動に駆られている。
弦一郎と電話2時間コースじゃないのこれ。
大半が弦一郎の小言よ。嬉しくないわ。
『どうも何もそのままの意味よ。』
〈お前は何しに青学へ行ったんだ?!〉
『偵察。』
そう、偵察だ。
〈なら、なぜマネージャーなど!!
敵の肩を持つようなことをしている!!
たるんどるぞ(名前)!!〉
で、出た〜!!!!たるんどる!!!
やっぱり言われてしまったわ。
見事なまでのフラグ回収だわ。
〈落ち着け弦一郎。何か理由があるかもしれない。
まずは(名前)の話を聞こう。〉
ナイスフォロー蓮二くん。本当に頼りになるわ。
タイミングよく弦一郎の隣に蓮二くんが居てくれて良かった。
『そうなの。話を聞けば納得してくれるわ。
ね!聞いて!!弦ちゃん!!そのために電話したの!』
〈ぬぅぅ……。〉
〈(名前)。あまり調子に乗ると痛い目見るぞ。〉
後半ふざけていた事に気付かれ、
蓮二くんに注意される。
『はーい。』
蓮二くんには敵わないなって。ほんと思う。
着いたのは私が住むアパート。
「ここって確か一人暮らし用のアパートだよな?」
乾くんが、建物の名前をマジマジと見ながら言った。
『そうだよ。実家は神奈川。
……とは言っても、弦一郎の家なんだけど。』
「え、真田の家が実家ってどういうこと?」
「英二。あ、あまり深入りしすぎるのは良くないよ……。」
不思議に思った菊丸くんは理由を尋ねた。
それを良くない話ではないと思った河村くんは
菊丸くんに注意する。
『いや、大丈夫だよ。河村くん。
私の言い方が悪かった。』
弦一郎の家が実家というのも
おかしな話なんだけれど
私の両親は昔から転勤や出張が多く、
家を持っていないのだ。
わざと持たないというのもあるんだろうけど……。
長期の時はアパートを借り、短期の時はホテルを借りる。
そんな忙しい両親だ。
今は海外で長期の出張に出かけているところ。
そんな仕事に追われる両親が
私と過ごす時間は普通の家庭と比べると、とても短い。
申し訳なく思った両親は、私に寂しい思いをさせないよう
親戚の家に預けることにした。
それが弦一郎の家。
弦一郎のお母様曰く、
私が1歳になるまでは育児休暇を取って
沢山の愛情を注いでくれたそう。
『両親は仕事で海外だから、お世話になってる真田家が
私の代わりの実家みたいなものなの。
実際、1歳の頃からずっと住んでたからね。』
今の一人暮らしの費用とかも
両親に転校することを話したら快く出してくれて、
年に数回しか会えないけれど……それでも
私は両親にとても感謝しているし頭が上がらない。
「そうなんだ。だから、那須さんしっかりしてるんだね。」
凄いよと河村くんが褒めてくれる。
『へへ、そうかな。』
私は嬉しくて、思わず顔を緩ませてはにかむ。
『あっ、家までありがとうございました。』
私はテニス部の皆にペコリと一礼した。
皆で着いてくること無かったのに、
学校から近いからついでなのか。それとも、好奇心か。
それぞれ送ってくれた理由は違うだろうけど、
皆優しい人達なんだなって思った。
「どういたしまして。結構近いんだね、学校から。」
不二くんが言った。
『はい。両親が過保護で……。』
「ふふ。愛されてるんだね。」
にこりと笑う。
「んじゃ、俺らもそろそろ帰りますか〜。」
「あ"?てめぇが仕切ってんじゃねぇ。」
「まぁまぁ、落ち着いて2人とも……!
って……!もう英二いないし!!」
「英二ならさっきお姉さんから
電話が掛かってきて、先に帰ったぞ。」
部活後だというのに、元気な皆。
まだパワー有り余ってそう。
「じゃあ、僕達も失礼しようか。那須さん、また明日。」
『はい。また明日。』
いなくなってしまった菊丸くんの後を追うように
他のみんなもまたねと帰って行った。
『さてと……。』
私も明日の準備をしなくちゃ。
家の中へ入り、鍵を閉めて靴を脱ぐ。
ジャージとタオル……
それから弁当も作らなきゃだから明日は早起きだな。
入部届けも持って行かなきゃ。
遠征の帰りに、真田家に寄ろう。
そうなると、弦一郎に電話しないといけないなぁ。
赤也のことも聞かなきゃ……。
明日の遠征メンバー、乾くんに見せてもらったけれど
やっぱりレギュラー陣の名前は書かれていなかった。
1、2年の試合経験を積み立てるのを目的とした
練習試合って感じだ。
その中には赤也の名前もなかった。
立海の敷地内で遭遇しなければ
バレずに済む可能性が高い。
大丈夫。きっと大丈夫。
『……よし。』
私は弦一郎に電話をかけた。
『もしもし。』
ワンコールで弦一郎は出た。
『わっ、びっくりした。
電話出るの早くない?"弦ちゃん"。』
〈っ〜〜!その呼び方をやめろ!〉
一体どんな声量で電話してるんだ。
あまりにも大きな声で、私は携帯を耳から離す。
『ハイハイ、弦一郎。反抗期??』
〈む。俺はそこまでたるんでない。
大体そのふざけた呼び方は中学上がる前に卒業しただろ。〉
確かに。でも、たまに呼びたくなっちゃうんだよね。
『良いじゃん。誰も聞いてないんだし。』
私は明日の荷物を入れるカバンを
ガサゴソと探しながら答えた。
電話の向こうで大人しくなる弦一郎。
『あれ。もしかして、他に誰かいた?』
〈すまない(名前)。俺がいる。〉
弦一郎の携帯を取って代わりに答えたんだろう。
『わ!蓮二くん!』
蓮二くんの声が携帯から聞こえた。
〈ところで、随分ガサゴソと騒がしいが
何か探しているのか?〉
向こうに聞こえてたんだ。
私も弦一郎のこと言えないじゃない。
『うん。ちょっと荷物入れるカバン探してて。
あ、あった。これこれ。これが丁度良いんだよね。』
大きくも小さくもない丁度良いサイズ。
1日だけの練習試合とかそういう時に重宝している。
〈何処かに出掛けるのか?〉
『あー。明日ね。遠征あるの。』
〈ん?遠征?どういうことだ。
今日は青学も入学式だったろう?
なぜ遠征という言葉が出てくるんだ。〉
私は包み隠さずに、今日あったことを話した。
『入部させられたのよ。男子テニス部に。
マネージャーとして。』
〈え……。〉
蓮二くんは驚いたように声を漏らして黙っていた。
その後ろでは、慌てたような弦一郎の声が聞こえた。
〈なぬっ!?蓮二代われ!!〉
『……。』
面倒くさいことになったかもしれない。
〈マネージャーとはどういう事だ。(名前)。〉
私は今とても通話を切りたい衝動に駆られている。
弦一郎と電話2時間コースじゃないのこれ。
大半が弦一郎の小言よ。嬉しくないわ。
『どうも何もそのままの意味よ。』
〈お前は何しに青学へ行ったんだ?!〉
『偵察。』
そう、偵察だ。
〈なら、なぜマネージャーなど!!
敵の肩を持つようなことをしている!!
たるんどるぞ(名前)!!〉
で、出た〜!!!!たるんどる!!!
やっぱり言われてしまったわ。
見事なまでのフラグ回収だわ。
〈落ち着け弦一郎。何か理由があるかもしれない。
まずは(名前)の話を聞こう。〉
ナイスフォロー蓮二くん。本当に頼りになるわ。
タイミングよく弦一郎の隣に蓮二くんが居てくれて良かった。
『そうなの。話を聞けば納得してくれるわ。
ね!聞いて!!弦ちゃん!!そのために電話したの!』
〈ぬぅぅ……。〉
〈(名前)。あまり調子に乗ると痛い目見るぞ。〉
後半ふざけていた事に気付かれ、
蓮二くんに注意される。
『はーい。』
蓮二くんには敵わないなって。ほんと思う。