episode2〜務め
Dream Name
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普段は自転車登校の桃が
今日は珍しく徒歩だった。
「桃、今日は徒歩なんだね。
朝練遅刻ギリギリだったのもそのせい?」
確かにと、タカさんも英二も相槌を打つ。
「あ〜実は今朝。」
寝坊して猛スピードで自転車を漕いでいたら
車とぶつかって自転車を駄目にしたらしい。
「ひえ〜。桃大丈夫だったの?怪我してない?」
『大事にならなくて良かったわね。』
心配と安堵の声が混ざり合う。
「大丈夫っスよ!まぁ、そん時にちょっと
捻挫したところ、やっちゃったくらいなんで。」
「ったく。危ねぇ。
……下手したらテニス出来なくなってたぞ。」
ふふ。どうやら、海堂も心配してる様子。
「海堂の言う通りだよ。運が良かったね桃。」
「はい……。でも……明日の遠征行けないのは少し残念っス。」
柿ノ木中と立海だもんね。
そうそう練習試合を組める相手じゃない。
あれ、そう言えば……。
急遽、遠征に参加することになった那須さん。
「ねぇねぇ、明日の遠征って確か……。」
英二も気づいたのか、遠征という言葉に反応した。
いや、英二だけでは無い。
ここにいる全員が気付いていた。
『……。』
皆考える事は同じ。視線は彼女の方。
集まる視線に彼女も居心地が悪そうな顔をしていた。
「那須さん。もしかしてだけど、手塚に聞きたかったことって
明日の遠征の詳細についてだったりする?」
僕に声をかけられた那須さんは
そうですと言わんばかりの目で、
コクリと、首を縦にゆっくり振った。
『竜崎先生に詳しく聞こうとしたんですが、
仕事終わってないからって逃げられてしまって。』
なるほどね。自分が前にいた学校も参加するから
少しでも詳細を知りたかったんだね。
「はは、竜崎先生も那須さんのこと
相当気に入ったみたいだね。
ところで、(名前)ちゃんが青学に転校したことって
立海の皆は知らないのかい?」
僕も気になっていたことをタカさんが質問した。
『知ってるよ。でも、一人だけ知らない子が……
いや、正確には二人か。』
正確には二人。
ボソリと聞こえるか聞こえないかの声で那須さんは言った。
『でもまぁ今日なったばかりだから当たり前なんだけど、
マネージャーをしている事は皆知らないよ。』
ふふ、知ったら立海の皆驚くだろうね。
僕達が、立海へ帰ってと言わなくても
立海の方が彼女に帰ってこいと言ってくるかも。
『でも弦一郎には話そうかと……あ。
そう言えばメール。』
立海の真田から、実は部活の見学中にメールが来ていたと
彼女が言った。
「ん〜何々?なんて書いてるかにゃ〜。」
失礼にも、那須さんの背後に回り
携帯を覗き込む英二。
「……(名前)すまない。……っえ?!それだけ?!」
英二が読み上げたメール本文は、とても淡白なものだった。
『……あー。なるほど。』
「!?」
「いやいや、先輩!なるほど。って
なんでそれだけで伝わんスか?!」
那須さんの反応には僕も驚いたけれど、
それ以上に驚いていたのは海堂と桃。
『ん?なんでだろ。へへ。
でも、弦一郎の言いたい言葉は分かるよ。
言葉数は少ないけれど、真っ直ぐな性格してるからか
弦一郎が何考えてるかは分かるんだよね。』
僕が裕太の話をする時みたいに
真田の話をしている那須さんは、
陽だまりのようにとても温かい笑顔だった。
「その〜。(名前)ちゃんってもしかしてだけど、
真田と……つ、付き合っているのかにゃ?」
今日1日だけで、よく懐き
彼女のことを気に入った様子の英二は
彼女に確かめるように質問した。
『私と弦一郎が?ははっ!菊丸くん面白いこと言うね。
そんなわけないでしょう?従兄弟だもの。』
従兄弟。……そういうことか。
彼女の言葉を聞いて何処か安堵している自分がいた。
「えぇ〜?!従兄弟なの!双子の兄弟っていうのは嘘で
従兄弟はホントで……えっと?」
彼女の新しい情報にどうやら英二はまた
頭の中がパンクした様子。
「……その。メールの意味ってなんだったんスか。」
「はぁーん、海堂。お前先輩の事が気になるのか?」
「バッ!!ちげぇ!そんな気味悪いメールの内容、聞いたら
モヤモヤして気になんだろうが。」
気味悪いか。
確かに謝罪文一言だけのメールって
ちょっと気味が悪いなぁ。
「転校した事がバレそうな確率80%」
タカさんの後ろから姿を見せた乾。
「うぉ?!乾?!」
「い、乾先輩!?どっから湧いたんスか?!」
皆那須さんに気を取られていて
気付いていなかったみたい。
「ん?興味深そうな面子が揃っていたから、
校門辺りからつけさせて貰ってたよ。
早々、不二にはバレていたが。」
ふふ。
「その、バレそうな人物は君の後輩……で間違いないか?」
『流石、乾くんだわ。その通り。』
へぇ。那須さん、後輩に転校のこと隠してたんだ。
それだけ、その後輩の事を大事にしてたんだね。
少し羨ましいな。なんて。
『乾くん、明日の遠征で
立海の参加するメンバーって分かるかしら?』
「ちょっと待て。確か……。」
乾はいつものノートをペラペラと捲り
遠征についてとっていたであろうデータを探す。
「あった。これが参加メンバーだ。」
普段そのノートを他人に見せることの無い乾が
那須さんに、遠征メンバーについて
書かれているページを見せている。
「俺も見たいっス!」
「桃は明日留守番だろ。新入生の勧誘頼むよ。」
近寄る桃を振り払い、明日から学校である
新入生の部活見学についても釘を刺す。
「ちぇ〜。乾先輩ケチっスね。」
文句を言いながらも、後輩が出来るのは嬉しいのか
勧誘の件は張り切っている桃。
ふふ、頼りになるね。
これなら僕が言わなくても、自分でどうにか乗り越えそう。
ふと、今朝の件を思い出した。
なんだかんだ皆と帰ることになって
話どころではなくなってしまった。
彼らのことは、そっと見守ろうかな。
那須さんの話も聞いたら、後輩を支えるのにも
色んな方法があるんだなってわかったし。
そう言えば、今日の朝練。
海堂ってなんで来るの遅かったんだろう。
ストイックな海堂は、大石の次に早いくらいだ。
彼とは違って前髪のセットに時間がかかった
なんてことは無いだろう。
自分のことを話すタイプじゃない海堂の性格を考えると
僕は気になっても、聞けずにいた。
今日は珍しく徒歩だった。
「桃、今日は徒歩なんだね。
朝練遅刻ギリギリだったのもそのせい?」
確かにと、タカさんも英二も相槌を打つ。
「あ〜実は今朝。」
寝坊して猛スピードで自転車を漕いでいたら
車とぶつかって自転車を駄目にしたらしい。
「ひえ〜。桃大丈夫だったの?怪我してない?」
『大事にならなくて良かったわね。』
心配と安堵の声が混ざり合う。
「大丈夫っスよ!まぁ、そん時にちょっと
捻挫したところ、やっちゃったくらいなんで。」
「ったく。危ねぇ。
……下手したらテニス出来なくなってたぞ。」
ふふ。どうやら、海堂も心配してる様子。
「海堂の言う通りだよ。運が良かったね桃。」
「はい……。でも……明日の遠征行けないのは少し残念っス。」
柿ノ木中と立海だもんね。
そうそう練習試合を組める相手じゃない。
あれ、そう言えば……。
急遽、遠征に参加することになった那須さん。
「ねぇねぇ、明日の遠征って確か……。」
英二も気づいたのか、遠征という言葉に反応した。
いや、英二だけでは無い。
ここにいる全員が気付いていた。
『……。』
皆考える事は同じ。視線は彼女の方。
集まる視線に彼女も居心地が悪そうな顔をしていた。
「那須さん。もしかしてだけど、手塚に聞きたかったことって
明日の遠征の詳細についてだったりする?」
僕に声をかけられた那須さんは
そうですと言わんばかりの目で、
コクリと、首を縦にゆっくり振った。
『竜崎先生に詳しく聞こうとしたんですが、
仕事終わってないからって逃げられてしまって。』
なるほどね。自分が前にいた学校も参加するから
少しでも詳細を知りたかったんだね。
「はは、竜崎先生も那須さんのこと
相当気に入ったみたいだね。
ところで、(名前)ちゃんが青学に転校したことって
立海の皆は知らないのかい?」
僕も気になっていたことをタカさんが質問した。
『知ってるよ。でも、一人だけ知らない子が……
いや、正確には二人か。』
正確には二人。
ボソリと聞こえるか聞こえないかの声で那須さんは言った。
『でもまぁ今日なったばかりだから当たり前なんだけど、
マネージャーをしている事は皆知らないよ。』
ふふ、知ったら立海の皆驚くだろうね。
僕達が、立海へ帰ってと言わなくても
立海の方が彼女に帰ってこいと言ってくるかも。
『でも弦一郎には話そうかと……あ。
そう言えばメール。』
立海の真田から、実は部活の見学中にメールが来ていたと
彼女が言った。
「ん〜何々?なんて書いてるかにゃ〜。」
失礼にも、那須さんの背後に回り
携帯を覗き込む英二。
「……(名前)すまない。……っえ?!それだけ?!」
英二が読み上げたメール本文は、とても淡白なものだった。
『……あー。なるほど。』
「!?」
「いやいや、先輩!なるほど。って
なんでそれだけで伝わんスか?!」
那須さんの反応には僕も驚いたけれど、
それ以上に驚いていたのは海堂と桃。
『ん?なんでだろ。へへ。
でも、弦一郎の言いたい言葉は分かるよ。
言葉数は少ないけれど、真っ直ぐな性格してるからか
弦一郎が何考えてるかは分かるんだよね。』
僕が裕太の話をする時みたいに
真田の話をしている那須さんは、
陽だまりのようにとても温かい笑顔だった。
「その〜。(名前)ちゃんってもしかしてだけど、
真田と……つ、付き合っているのかにゃ?」
今日1日だけで、よく懐き
彼女のことを気に入った様子の英二は
彼女に確かめるように質問した。
『私と弦一郎が?ははっ!菊丸くん面白いこと言うね。
そんなわけないでしょう?従兄弟だもの。』
従兄弟。……そういうことか。
彼女の言葉を聞いて何処か安堵している自分がいた。
「えぇ〜?!従兄弟なの!双子の兄弟っていうのは嘘で
従兄弟はホントで……えっと?」
彼女の新しい情報にどうやら英二はまた
頭の中がパンクした様子。
「……その。メールの意味ってなんだったんスか。」
「はぁーん、海堂。お前先輩の事が気になるのか?」
「バッ!!ちげぇ!そんな気味悪いメールの内容、聞いたら
モヤモヤして気になんだろうが。」
気味悪いか。
確かに謝罪文一言だけのメールって
ちょっと気味が悪いなぁ。
「転校した事がバレそうな確率80%」
タカさんの後ろから姿を見せた乾。
「うぉ?!乾?!」
「い、乾先輩!?どっから湧いたんスか?!」
皆那須さんに気を取られていて
気付いていなかったみたい。
「ん?興味深そうな面子が揃っていたから、
校門辺りからつけさせて貰ってたよ。
早々、不二にはバレていたが。」
ふふ。
「その、バレそうな人物は君の後輩……で間違いないか?」
『流石、乾くんだわ。その通り。』
へぇ。那須さん、後輩に転校のこと隠してたんだ。
それだけ、その後輩の事を大事にしてたんだね。
少し羨ましいな。なんて。
『乾くん、明日の遠征で
立海の参加するメンバーって分かるかしら?』
「ちょっと待て。確か……。」
乾はいつものノートをペラペラと捲り
遠征についてとっていたであろうデータを探す。
「あった。これが参加メンバーだ。」
普段そのノートを他人に見せることの無い乾が
那須さんに、遠征メンバーについて
書かれているページを見せている。
「俺も見たいっス!」
「桃は明日留守番だろ。新入生の勧誘頼むよ。」
近寄る桃を振り払い、明日から学校である
新入生の部活見学についても釘を刺す。
「ちぇ〜。乾先輩ケチっスね。」
文句を言いながらも、後輩が出来るのは嬉しいのか
勧誘の件は張り切っている桃。
ふふ、頼りになるね。
これなら僕が言わなくても、自分でどうにか乗り越えそう。
ふと、今朝の件を思い出した。
なんだかんだ皆と帰ることになって
話どころではなくなってしまった。
彼らのことは、そっと見守ろうかな。
那須さんの話も聞いたら、後輩を支えるのにも
色んな方法があるんだなってわかったし。
そう言えば、今日の朝練。
海堂ってなんで来るの遅かったんだろう。
ストイックな海堂は、大石の次に早いくらいだ。
彼とは違って前髪のセットに時間がかかった
なんてことは無いだろう。
自分のことを話すタイプじゃない海堂の性格を考えると
僕は気になっても、聞けずにいた。