episode2〜務め
Dream Name
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入学式が終わり、午後の部活に備えて
俺は同じクラスになった柳生と昼食を済ませていた。
「真田君。なんだか廊下が騒がしくありませんか?」
「む。」
確かに聞こえる、廊下を走るドタバタとした音。
「少し注意してくる。」
「はい。頼みます。」
俺は席を立ち、教室の扉へと向かう。
ゴッ
扉を開けようとした瞬間、
俺の鼻に奴の石頭がぶつかった。
「グッ……!!!!」
痛い。
ジンジンと痛む鼻の頭。
「ちょっとーー!!!?真田副部長!!?
なんで扉の前にいるんスか!!危ないっスよ!!」
同じタイミングで扉を開け
俺にぶつかってきたのは切原赤也。
「この、たわけが!!!!!!!」
世話が焼けるテニス部の後輩だ。
「ヒィィ!!!すんません!!!!」
俺が一喝すると、赤也は顔を青ざめ土下座をし始める。
別にそこまでは望んでないのだが。
「真田君。大丈夫ですか?これ使ってください。」
そう言って柳生から渡されたのはポケットティッシュ。
なぜだ?
そう思い、自身の鼻に触れると血が出ていた。
「鼻血か。すまない柳生。貰うぞ。」
「いえ、構いません。ここは、私が片付けておくので
真田くんは水道で洗ってきてください。」
床にも数滴血が垂れていた。
「あぁ、頼む。」
俺は柳生からティッシュを受け取り、
近くの水道へと向かった。
「はぁ……。」
俺にも非がなかったわけではない。
赤也が慌てていたのも何となく検討がつく。
(名前)は、青学で上手くやれているだろうか。
友達は出来たのか。
変な奴に絡まれていないか。
心配で仕方がない。
そして、赤也は知らない。あいつが転校したことを。
「おっ。真田じゃん。」
「ん?丸井か。昼食はもう終わったのか?」
「終わったぜぃ。げっ、どったの。その顔。」
俺の顔を見て驚く丸井に、
俺は教室に目掛けて走ってきていた赤也と
ぶつかったことを話す。
「ふーん。珍しいこともあんだな。
真田が誰かとぶつかるなんて。
まるで、たるん……あ、いや。なんでもない。」
たるん……。
そこまで言って丸井は言うのを辞めた。
「いや、いい。俺もそう思っていたところだ。」
たるんどる。そう自分自身に言い聞かせた。
「やけに素直じゃん。(名前)ちゃんいないから?」
……。
「ぷはっ!ここ、シワ寄ってるっての!」
丸井は笑いながら俺の顔を見て、自身の眉間をつつく。
「む。」
「まぁ、(名前)ちゃんなら大丈夫だろぃ。
まずは、自分の鼻心配したら?」
そうだったな。
俺は今、鼻から血を流しながら廊下を彷徨 いている。
「んじゃ、俺は部活前にちょっと用事あるからよ。」
引き止めて悪かったなと、
丸井は昇降口の方へ向かっていた。
あいつまた菓子を……。
上手く躱されてしまったと思いながら、
水道まで来た俺はようやく
手と鼻についた血を洗い流すことが出来た。
やはり、たるんどる。
(名前)は、立海のために役に立とうとして
転校を決意したのだ。
幸村もいない今、俺がこんな無様なままでは
部が締まらないのではないか?
(名前)は、俺達を信じている。
なら、俺も(名前)を信じよう。
それに、たかが東京の学校だ。
何時でも会いに行けるではないか。
そうと決まれば、今夜辺りにでも
俺からあいつにメールを送ろう。
柳生から貰ったティッシュを鼻に詰めて
俺は教室へと戻った。
「その……副部長。本当にすみませんでしたっ!!」
改めて謝罪をする赤也。
「いや、俺の注意不足でもある。気にするな。
だが、廊下は走るな。いいな?」
「はいっ!わかりました!!」
赤也は分かったと言うと教室を出て行こうとする。
「ちょっと待て、赤也。
お前用があって、ここに来たのではないのか?」
確かそうだったはずだ。
そうでなければ、ぶつかってなどいない。
「それなら大丈夫っス!
真田副部長が水道に行っている間、
柳生先輩に話聞いたんで!」
そうなのか……。
てっきり(名前)の事で、
俺に用があったのかと思っていたが。
「んじゃ俺、自分の教室で飯食ってきます!また部活で。」
今度はちゃんと歩いて自分の教室へと向かった赤也。
全く。
「真田君。」
やっと落ち着き、昼食を再開する俺達。
「なんだ。」
「あの……私……。」
柳生が、もごもごといつもとは違った様子で話しかける。
なんだか、気味が悪いな。
「ハッキリ話さんか。」
「えぇ……はい。ですが、私。
とんでもない事をしてしまったかもしれないです。」
とんでもない事……とは?
「先程、切原君に(名前)さんのことを聞かれまして。」
赤也……。やはり、(名前)の事を聞きに来ていたのか。
「それで、なんて言ったんだ。お前は。
赤也のやつは随分と納得していた様子だったぞ。」
あいつが騒がず丸く収まったということは、
事実を伝えていないことは確かだ。
なら、なんと言って説得させたのか。
少し胸騒ぎがした。
「事実を伝えるのは、流石に私も不味いと思ったので……
その場の咄嗟の判断で、(名前)さんは今
職業研修中でいないと……。
ほら、3年のカリキュラムであるじゃないですか。」
職業研修……か。その案は悪くは無いだろう。
だが、それだと
「クラスのことは聞かれなかったのか?」
「はい。聞かれましたよ。
"赤也には自分の力で私を見つけて欲しい"
そう伝言を預かりました。と……。そしたら、切原くん。
"ゲーム見たいでワクワクしますね!"
なんて言って、大変目を輝かせてしまって。」
ゲームか……。
「時間の問題だな。」
「そうですよね。すみません。」
(名前)さんにも申し訳ないと柳生は頭を下げた。
「いや、寧ろ感謝する。俺が言うよりは良かっただろう。
多少の時間稼ぎにはなったはずだ。」
俺が言っていたら、今頃赤也は
虱潰 しに他校へ乗り込んでいたかもしれない。
流石、柳生だ。
普段仁王と一緒にいるだけのことはある。
「この事は一応、(名前)には伝えておこう。」
「ええ。その方がいいでしょう。」
今夜送ろうと思っていたメールは
思わぬ展開で、今送る形となった。
俺は同じクラスになった柳生と昼食を済ませていた。
「真田君。なんだか廊下が騒がしくありませんか?」
「む。」
確かに聞こえる、廊下を走るドタバタとした音。
「少し注意してくる。」
「はい。頼みます。」
俺は席を立ち、教室の扉へと向かう。
ゴッ
扉を開けようとした瞬間、
俺の鼻に奴の石頭がぶつかった。
「グッ……!!!!」
痛い。
ジンジンと痛む鼻の頭。
「ちょっとーー!!!?真田副部長!!?
なんで扉の前にいるんスか!!危ないっスよ!!」
同じタイミングで扉を開け
俺にぶつかってきたのは切原赤也。
「この、たわけが!!!!!!!」
世話が焼けるテニス部の後輩だ。
「ヒィィ!!!すんません!!!!」
俺が一喝すると、赤也は顔を青ざめ土下座をし始める。
別にそこまでは望んでないのだが。
「真田君。大丈夫ですか?これ使ってください。」
そう言って柳生から渡されたのはポケットティッシュ。
なぜだ?
そう思い、自身の鼻に触れると血が出ていた。
「鼻血か。すまない柳生。貰うぞ。」
「いえ、構いません。ここは、私が片付けておくので
真田くんは水道で洗ってきてください。」
床にも数滴血が垂れていた。
「あぁ、頼む。」
俺は柳生からティッシュを受け取り、
近くの水道へと向かった。
「はぁ……。」
俺にも非がなかったわけではない。
赤也が慌てていたのも何となく検討がつく。
(名前)は、青学で上手くやれているだろうか。
友達は出来たのか。
変な奴に絡まれていないか。
心配で仕方がない。
そして、赤也は知らない。あいつが転校したことを。
「おっ。真田じゃん。」
「ん?丸井か。昼食はもう終わったのか?」
「終わったぜぃ。げっ、どったの。その顔。」
俺の顔を見て驚く丸井に、
俺は教室に目掛けて走ってきていた赤也と
ぶつかったことを話す。
「ふーん。珍しいこともあんだな。
真田が誰かとぶつかるなんて。
まるで、たるん……あ、いや。なんでもない。」
たるん……。
そこまで言って丸井は言うのを辞めた。
「いや、いい。俺もそう思っていたところだ。」
たるんどる。そう自分自身に言い聞かせた。
「やけに素直じゃん。(名前)ちゃんいないから?」
……。
「ぷはっ!ここ、シワ寄ってるっての!」
丸井は笑いながら俺の顔を見て、自身の眉間をつつく。
「む。」
「まぁ、(名前)ちゃんなら大丈夫だろぃ。
まずは、自分の鼻心配したら?」
そうだったな。
俺は今、鼻から血を流しながら廊下を
「んじゃ、俺は部活前にちょっと用事あるからよ。」
引き止めて悪かったなと、
丸井は昇降口の方へ向かっていた。
あいつまた菓子を……。
上手く躱されてしまったと思いながら、
水道まで来た俺はようやく
手と鼻についた血を洗い流すことが出来た。
やはり、たるんどる。
(名前)は、立海のために役に立とうとして
転校を決意したのだ。
幸村もいない今、俺がこんな無様なままでは
部が締まらないのではないか?
(名前)は、俺達を信じている。
なら、俺も(名前)を信じよう。
それに、たかが東京の学校だ。
何時でも会いに行けるではないか。
そうと決まれば、今夜辺りにでも
俺からあいつにメールを送ろう。
柳生から貰ったティッシュを鼻に詰めて
俺は教室へと戻った。
「その……副部長。本当にすみませんでしたっ!!」
改めて謝罪をする赤也。
「いや、俺の注意不足でもある。気にするな。
だが、廊下は走るな。いいな?」
「はいっ!わかりました!!」
赤也は分かったと言うと教室を出て行こうとする。
「ちょっと待て、赤也。
お前用があって、ここに来たのではないのか?」
確かそうだったはずだ。
そうでなければ、ぶつかってなどいない。
「それなら大丈夫っス!
真田副部長が水道に行っている間、
柳生先輩に話聞いたんで!」
そうなのか……。
てっきり(名前)の事で、
俺に用があったのかと思っていたが。
「んじゃ俺、自分の教室で飯食ってきます!また部活で。」
今度はちゃんと歩いて自分の教室へと向かった赤也。
全く。
「真田君。」
やっと落ち着き、昼食を再開する俺達。
「なんだ。」
「あの……私……。」
柳生が、もごもごといつもとは違った様子で話しかける。
なんだか、気味が悪いな。
「ハッキリ話さんか。」
「えぇ……はい。ですが、私。
とんでもない事をしてしまったかもしれないです。」
とんでもない事……とは?
「先程、切原君に(名前)さんのことを聞かれまして。」
赤也……。やはり、(名前)の事を聞きに来ていたのか。
「それで、なんて言ったんだ。お前は。
赤也のやつは随分と納得していた様子だったぞ。」
あいつが騒がず丸く収まったということは、
事実を伝えていないことは確かだ。
なら、なんと言って説得させたのか。
少し胸騒ぎがした。
「事実を伝えるのは、流石に私も不味いと思ったので……
その場の咄嗟の判断で、(名前)さんは今
職業研修中でいないと……。
ほら、3年のカリキュラムであるじゃないですか。」
職業研修……か。その案は悪くは無いだろう。
だが、それだと
「クラスのことは聞かれなかったのか?」
「はい。聞かれましたよ。
"赤也には自分の力で私を見つけて欲しい"
そう伝言を預かりました。と……。そしたら、切原くん。
"ゲーム見たいでワクワクしますね!"
なんて言って、大変目を輝かせてしまって。」
ゲームか……。
「時間の問題だな。」
「そうですよね。すみません。」
(名前)さんにも申し訳ないと柳生は頭を下げた。
「いや、寧ろ感謝する。俺が言うよりは良かっただろう。
多少の時間稼ぎにはなったはずだ。」
俺が言っていたら、今頃赤也は
流石、柳生だ。
普段仁王と一緒にいるだけのことはある。
「この事は一応、(名前)には伝えておこう。」
「ええ。その方がいいでしょう。」
今夜送ろうと思っていたメールは
思わぬ展開で、今送る形となった。