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捨てられる前に



「おい、ついて来い」
「はい、ハワード博士」

あからさまに嫌そうな顔でトルソを呼ぶハワードに
何事もないかのように返事をするトルソを見て、
ほんの少し表情を硬らせるオプティマス。
レノックスも彼と似た心境だったのか、小さく息をつき
トルソに声をかけた。

「博士との話が終わったらここに戻ってくるように。
これからの作戦について話がある。
これは機密事項なのでハワード博士はご遠慮ください」
「ははは、心得てますよ。ほら、急げ。
お前と違ってこっちの時間は有限なんだ」
「はい。ではまた後ほど」

足を止めていたトルソはレノックスに敬礼をしたのち、
再びハワードの後について歩き出した。

「なんだあの無礼な人間は」
「全くだ……」

彼らが立ち去り、真っ先に悪態をついたのはアイアンハイド。
同意を示したレノックス自身もハワードの態度を快く思えなかった。
それもそのはず。
ガレージを出てから聞かされた話の半分以上はトルソの
悪口愚痴ばかり。
それはもううんざりするほど。

何より、彼にとって相棒に似たような存在である
彼女の事を悪く言われるのは心地よくない。

それはアイアンハイドとレノックスに限らず
オプティマス達にも言えた事で。
少なからず近縁の存在だと認識した者達は皆ハワードの
軽蔑するような態度に気を悪くした。

「”なんでしょうか””ムカつく~~!!”」

わざとらしく大音量のラジオで音声を流し、地団駄を踏むのは
黄色いボディーのバンブルビー。

「わーーーっ!!」
「暴れるんじゃない!」

地震かのように揺れる地面に声を上げるレノックス。
アイアンハイドは咄嗟に暴れるバンブルビーを止めようと身を乗り出す。

「結局意思を持たないロボットだろう」
「仕事の邪魔にならなければいい」

口を揃えて呆れたように話すのは、
バリケードとブラックアウト。
まるでため息のように排気を行うオプティマスを他所に
自分は関係ないとメガトロンは背を向ける。

それからしばらくの間、ハワードとトルソの話題で
騒がしかったガレージはトルソが戻って来た事で終結した。

「大変お待たせしました少佐」
「ああ、いいんだ。で、まあ特別話すこともないが……」

作戦会議とは口実でそれ以上のことを考えていなかったことに
申し訳なさと困惑が入り混じり頭をかくレノックスに
トルソは優しく声をかけた。

「お気遣いありがとうございます。
おかげであの息苦しい空間から抜け出せたので、
大変助かりましたよ」
「そ、そうか?ならいいんだが。まあ、もう少しこっちに寄って
少し話でもしよう」
「いい案ですね」

少し照れ臭そうにしたレノックスはトルソを手招き、
皆で仲睦まじく談笑の一つでもできれば、と考えていた。

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