NARUTO
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砂隠れの里、植物園の一角。
赤紫色の花が咲き誇る鉢植えに水やりをしていた時のこと。
「いつ来ても良く手入れされてんじゃん」
聞きなれた声が後ろから聞こえ、作業の手を止めて振り返ると
そこにはカンクロウさんの姿があった。
「そうでしょ? 思ったより楽しいんだよこれが」
「ふーん」
自分から聞いたくせに、思ったよりも興味なさげな彼に思わず
苦笑を浮かべる。
「カンクロウさんは傀儡の方が興味あるか」
「そりゃあな」
私は植物園に持ち込んでいた傀儡の腕部分の新機構を手渡す。
「これ、新しい機構」
「おおっ」
「これで制空権を手に入れられるってわけ。どう?」
「見た感じは悪くないじゃん」
「でしょ? それにこれがちゃんと実用的になれば
テマリも楽に向こうと行き来できるし」
「そうだな」と流すような返事をする彼は夢中になって
新しい傀儡の腕を見ている。
その顔がまた何とも……いや、見つめすぎるのは良くないか、と
再びジョウロで植物に水やりをしようと手に取ると背後から
「それはありがたいな」と声が聞こえた。
「テ、テマリ!?」
聞かれていたとは思わず、上擦った声が出た。
こちらに歩み寄ってきたテマリは含み笑いを浮かべ
態とらしく尋ねる。
「そんなことより、[カノト]はどうなんだ?」
「い、今は関係ないでしょ!?」
私たちの会話に首を傾げるカンクロウさんにテマリさんが
分かりやすい耳打ちをする。
「気になる奴ができたんだとさ」
「テマリ!! べ、別にっ、そんなんじゃ!」
誤魔化そうとする私にススス、と近づいてきた彼女が小声で囁く。
「そういう割に……また紫の花が増えたな?」
「!!?!?」
まさか、意識はしていなかった。
しかし彼女に言われた通り見てみると圧倒的に赤紫や紫の花が
多く咲いている。
思ってもいなかったことにカァっと顔に熱が集まるのを感じた。
「テマリ!!」
「はっはっは、じゃあな!」
そそくさと逃げ帰ったテマリにはぁ、とため息を吐きながら
熱った頬を冷まそうと手を当てる。
「[カノト]」
「ん、どうしたの──」
カンクロウさんの声に振り返ると同時にとん、と押され
壁に背中があたり、顔の隣に手が置かれる。
いわゆる、壁ドン、と言うやつだ。
「カ、カンクロウさん……?」
普段から決してこう言うことをしない彼の意外な行動に体が固まる。
「気になるやつって誰だよ?」
「そ、それは……」
目の前にいる彼なのだが、面向かって言う勇気はなかなか出ず、目が泳ぐ。
「言えって」
これでもかと跳ねる心臓に拍車をかけるように顎に手を添え、
顔を無理やり上げさせたカンクロウさんと視線が合う。
キリッと長い目、釣り上がった眉、丁寧に施された化粧。
そのどれもがカッコよくて、鼓動が聞こえるのではないかというほど
跳ね上がる。
「俺は気が長い方じゃないじゃん」
ちょっと背伸びをすればキスできてしまう距離に心臓は爆発寸前。
意を決した私は彼の目を見つめ、口をひらく。
「カ、ンクロウさん、です」
「……は?」
「わ、私は……カンクロウさんのことが──」
好き、という言葉は口にできなかった。
代わりに唇に柔らかく温かい感触、そして交わる熱い視線とゆっくり離れていく唇。
「わ、悪い……告白は、男からって……相場は決まってるじゃん……」
視線を泳がせるカンクロウさんに脳が思考停止する。
「え、え……?」
「[カノト]、好きだ」
「わ、私も……好き」
ちぅ、と音をたてて再び唇が重なった。
