Good-by Earth
世界は灼けた
何もない日常。
何もない人生。
それは唐突に終わりを告げた。
緋く燃える街。
焦げ臭く鼻を刺すような悪臭が辺りを漂っている。
昨日まで平和そのものだった世界。
車のラジオは世界中が同じような状況で地獄と化したと報道している。
その声も直ぐ聞き慣れない銃声と共に消えた。
世界は呆気なく一夜にして滅びた。
最後に見たテレビの映像によれば街を業火が襲い、
見たこともないロボットが人々を襲う地獄絵図だったそうだ。
私達の家にもそれはやって来た。
無力だった。
あっという間だった。
私たちは捕らえられ、不要な者は殺され……彼も。
人々の絶望が苦痛が、叫びが私の心を抉った。
私は値札をつけられ、強制的な改造をされて。
地獄だった。
何もかも。
それから、船に押し込まれる時。
私は独りで逃げ出した。
必死に。
銃弾をうまく躱しながら、走って、走って、走って。
無我夢中で逃げて、気づけば知らない土地で。
ロボットから銃を奪って、ひたすら逃げて、戦って。
生きながらえて?
なんになる?
……。
生きながらえてしまった私に。
どうしろって言うんだ。
地面に押し付けられて。奴らの基地に舞い戻って。
クソみたいな部屋で、クソみたいな飯を食わされながら生かされて。
この星に戻ってきたクソ野郎は言った。
無駄だと。諦めろと。救いはないと。
うるせえ。
黙れ。
それを決めるのはアンタじゃない。
私だ。
お前等に降るぐらいなら生きてやるよ。
復讐だってたっぷりしてやろう。
警報の鳴り響く基地を走り、森に逃げ込み、息を殺して身を潜める。
奴のいない隙に逃げるのは容易い。
舐めんなよ。
諦めるもんか。
負けてたまるか。
まさに地獄だろう。
希望なんてないんだろう。
そうだとしても私は────。
緋く燃える空を仰ぐ。
真っ赤な空を一機の船が黒い煙を上げながら横切って行った。
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