気分屋の薔薇
「闇の鏡の前に立つあなたに問う」
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「レヴンッ!?」
「ぐへぇっ」
寮内に繋がったゲートを潜った瞬間、床に倒れ込んでしまった。
驚いた様子の寮長、副寮長が駆け寄ってきた。
「どうしたんだい! それにこれは一体」
「私のユニーク魔法でふ……。あ”ぁー、ダリィ……」
ゲートは完全に閉じ、突如体に異常が発生し出した。
倦怠感や頭痛、吐き気や疲労感だけでなく
「あ”ぁ”~、お気になさらず」
「気にするだろう!! トレイ!」
「あ、ああ!」
これこそ阿吽の呼吸、というやつだろう。
手際良くクローバー先輩は私をソファに横にし、水を取りに向かい、
寮長は冷やしたタオルを額に乗せた。
「全く、何をしているんだい!!
こんなにブロットが溜まっているじゃないか!」
「うぅ……久々に使ったもので……」
「言い訳はおよしッ!!」
「あい」
それから少しぐちぐち言われたものの先輩が
持って来てくれた水を飲み干し、再び横になる。
「はぁー……世話が焼ける寮生だよ。
オーバーブロットが如何に危険な事か……」
経験者は語る。ってか。
言わないけど。
「はい……すみませんでした、寮長」
「二度と無いように」
「はい」
「十二分に休んだら部屋にお戻り」
「あい」
寮長はため息を一つ吐いて談話室を後にした。
「一体何があったら連発するんだ?」
「実はですね……」
部屋に残った呆れた様子の副寮長に事の経緯を軽く説明すると、
『あー……』と声を漏らしていた。
「それは……仕方ないと思う反面、自業自得、だな」
「反省してます……。調子乗りました……」
「今度は気をつけろよ?」
「うっす」
副寮長も談話室を去り、私も体を引き摺るように部屋へ戻った。
そこからの記憶はあまりない。
ただ、数週間に渡って悪夢にうなされ続けることになったのは
言うまでもない。
─────────
────
─
あの日から2週間。
「よくも私の■■■■をッ!!」
「この女狐!!!!」
「返せ!!!!」
「──────ッ!!!!」
甲高い金切声で勢いよく飛び起きる。
全身を嫌な汗が伝い、また背中がジクリと痛んだ。
覚えている。
あれは。
あの女は。
荒くなる呼吸、取り乱す自分に喝を入れるべく強く両頬を叩く。
大丈夫。
大丈夫だ。
私は朝食を済ませ、学校へ向かった。
「うっわ、死んでる」
「……ちょっとね」
教室。
いつもより早く来たシューちゃんに返答するも
軽口を叩く余裕はなかった。
「……大丈夫か」
「……ん」
机に突っ伏す私に珍しくシューちゃんが心配の言葉を投げかける。
それもそうか。もう2週間こんな調子なのだから。
ただ、今日は特に酷い。
「どしたどした」
「レヴンが死んでる」
「うわ、顔真っ青だぞ。授業休んだら?」
「大丈夫。逆に気を紛らわせたい」
ジョワちゃんは納得していない様だったが
『しょうがない。飴ちゃんをやろう』と
一つのキャンディーをくれた。
ここまで酷かったのは今日が初だろう。
「あんがと」
私は可愛いピンクと赤のパッケージから取り出し、口に放り込む。
優しい甘さが口内に広がり、少し気分が良くなった。
「はぁ”ぁー……生き返るわぁ」
「なら良かった」
「席に着きなさい」
数十分後、トレイン先生の落ち着いた声でぼんやりしていた
意識が少し覚醒する。
それからは夢の内容を忘れようと必死に授業に集中し続けた。
一刻も早く忘れたい。
……そんな願いとは裏腹に背中の痛みはより一層増していく。
昼食。
私は一人、購買部へと足を運んだ。
前、サムさんにもらった薬を買いに行きた。
ついでに便利そうな物や薬も買おう。
「ようこそ小鬼チャン」
「……どうも」
店の奥から姿を現したサムさんはいつもの様に笑顔を浮かべている。
「この前の薬かな?」
「……それと……記憶喪失に効く様な魔法薬、って置いてますか?
強く頭を打ってから記憶が曖昧なんです。
記憶を整理できる様な薬でも構いません」
「……もちろん有るよ。少し待っててね♪」
手をひらり、と舞わせて笑顔で店の奥へ姿を消し、
1分も立たずに小瓶を片手に戻って来た。
他の物も一緒に購入し、商品の入った袋を受け取る。
「無理は禁物だよ」
「はい。ありがとうございました、この前も……」
彼は皆まで言うなと私の口元に人差し指を当て、
綺麗なウィンクをする。
今はその好意に甘えよう。
グッと口を噤み、深く頭を下げて店を出た。
「またおいで」
ああ、耳鳴りがひどい。
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