夢主喋ります!苦手な方は注意してください
SL短編夢
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「これか……!」
季節は春
まぁこのサンドランドに草原がある訳じゃないし花が咲きほこる訳でもないけれど
隣の国のフォレストランドには珍しい花が咲いているらしいという話を聞いた
いつもは嫌いな読書も今日だけは捗って
そして〝桜〟という大きい木の存在を知った。
─────────────────
〜一週間前〜
「おらっ!このっ!」
オレたちは楽しく格闘ゲームを一緒にプレイしていた
遊んだ後に夕焼けを一緒に見ながら〇〇を家に送り届ける それがルーティンだった
「またオレの勝ち!」
『あ〜…負けちゃった』
「いひひ……そういえば今日会った時、なんか言おうとしてなかった?」
こんなにも楽しい時間を過ごせる人が隣にいるなんて 出会った当初は考えてもいなかった
それと同時にこんなにも楽しい日常が急に終わるなんてことも予想してなかった
『…実は、引っ越さなきゃいけなくなって』
「引越しぃ?なんだそんなことか」
『……隣の、国に…』
引っ越すつったって今よりもちょっと遠い場所に住むってことなんじゃないのか
「…」
ゲームの待機画面の音楽しか流れなくなったこの場所で次に口を開いたのは〇〇だった
『隣国のフォレストランドってサンドランドより自然が豊かで動物もいっぱいいて、いい場所らしいんだ』
「んな事は知ってる」
少し拗ねた態度をしながらオレは思った
やっとあのクソ天使も倒せたしなんか国との仲も良くなったらしいし?一段落したと思ったら次はこれか
「でも…今より会える頻度が少なくなるってだけだろ?年に何回は会いに行くさ」
『だけどフォレストランドでもかなり端の方で、道の整備もされてない山奥の家に住まなきゃいけないらしいんだ』
『……それでも会いに来てくれる?』
答えはもちろん
「当たり前だろ?オレに行けない場所なんてないんだよ」
彼女はふはっと笑い
『あのね 新しい家の近くに珍しい木が植えられてあるらしいんだ』
「めずらしいきぃ?」
『うん。私もよくは知らないんだけど枝にピンク色の花が咲いていて綺麗なんだって』
「へ〜……」
花に興味のないオレにとってはつまらない話題で
『…ベルゼが家に来たらそのお花、見せてあげたいな』
〇〇は憂いを帯びた顔をして話を続けた
『向こうに行って元気になった私の姿も見せてあげる』
元気になる前提で話を進めるのもコイツらしい
…一気に痩せていく姿を見て誤魔化せるはずもなく 誰がどう見ても彼女は病気だった
きっと〇〇の親は自然の空気を吸わせたかったんだろう
「オレも協力してたつもりだったんだけどな〜…」
『少しでも病気の進行を遅らせるために指を動かすゲームを一緒にしてくれてたんでしょ?』
「バレてたか」
このまま時間が止まれば〇〇の病気はこれ以上酷くならないのにな〜なんて叶わないことを願っていた
しかし無慈悲にも時は進んで一人ぼっちでコントローラーを握っていた
「つまんねぇよ……」
ボソッと呟いて 会えるはずなのに既に寂しくて
距離が遠いだけ、遠いだけ と頭の中で何度も唱える
身体が動くのは早かった
気がついた時にはいつもは行かない図書室に入って〇〇が言っていた〝ピンク色の花が咲いている木〟を探していた
これも違う これも違う 色んな本を取り出してはまたしまう
「これか……!」
聞いた通り写真に映るその花はとても綺麗で、だけど大きくて、まるで〇〇のような儚さがあった。
そして次の日、引越しの前日に貰った住所が書かれた紙を握りしめ、オレは里を出た。
─────────────────
『本当、周りなんもないな〜…』
あるのは生い茂った草と〝あの日〟の木
カラカラと慣れない手つきで車椅子を自分で動かす 目を瞑って
『次はいつ会えるかな……』
ボソッと呟いて 会えるはずなのに既に寂しくて
「だけどその会いたいと思ってる悪魔が目の前にいたらどうする?」
驚いて目をパッと開けた あの日の木をバックに決めゼリフを言う
あぁ、私たち思ってることは同じだったんだ。
「この木、桜って言うんだってよ」
『桜…』
知らなかったな そもそも名前を知ろうとしなかった だって、
「オレが調べてくるって分かってたからだろ?」
『も〜心読まないで…!』
「そんな試すようなことしなくてもいいのにさ」
『私の事なんてすぐ忘れちゃうと思ってたから』
「じゃあ忘れちゃわないようにこれから一緒に思い出作りしてこうぜ!」
元気に話しかけてくれる彼のことが愛おしくてたまらなかった
これも桜のせいかもしれない
カラカラと慣れない手つきで車椅子を動かしてくれるベルゼを見て
このまま時が止まればいいのにな なんて叶わないことを私は願っていた
END
季節は春
まぁこのサンドランドに草原がある訳じゃないし花が咲きほこる訳でもないけれど
隣の国のフォレストランドには珍しい花が咲いているらしいという話を聞いた
いつもは嫌いな読書も今日だけは捗って
そして〝桜〟という大きい木の存在を知った。
─────────────────
〜一週間前〜
「おらっ!このっ!」
オレたちは楽しく格闘ゲームを一緒にプレイしていた
遊んだ後に夕焼けを一緒に見ながら〇〇を家に送り届ける それがルーティンだった
「またオレの勝ち!」
『あ〜…負けちゃった』
「いひひ……そういえば今日会った時、なんか言おうとしてなかった?」
こんなにも楽しい時間を過ごせる人が隣にいるなんて 出会った当初は考えてもいなかった
それと同時にこんなにも楽しい日常が急に終わるなんてことも予想してなかった
『…実は、引っ越さなきゃいけなくなって』
「引越しぃ?なんだそんなことか」
『……隣の、国に…』
引っ越すつったって今よりもちょっと遠い場所に住むってことなんじゃないのか
「…」
ゲームの待機画面の音楽しか流れなくなったこの場所で次に口を開いたのは〇〇だった
『隣国のフォレストランドってサンドランドより自然が豊かで動物もいっぱいいて、いい場所らしいんだ』
「んな事は知ってる」
少し拗ねた態度をしながらオレは思った
やっとあのクソ天使も倒せたしなんか国との仲も良くなったらしいし?一段落したと思ったら次はこれか
「でも…今より会える頻度が少なくなるってだけだろ?年に何回は会いに行くさ」
『だけどフォレストランドでもかなり端の方で、道の整備もされてない山奥の家に住まなきゃいけないらしいんだ』
『……それでも会いに来てくれる?』
答えはもちろん
「当たり前だろ?オレに行けない場所なんてないんだよ」
彼女はふはっと笑い
『あのね 新しい家の近くに珍しい木が植えられてあるらしいんだ』
「めずらしいきぃ?」
『うん。私もよくは知らないんだけど枝にピンク色の花が咲いていて綺麗なんだって』
「へ〜……」
花に興味のないオレにとってはつまらない話題で
『…ベルゼが家に来たらそのお花、見せてあげたいな』
〇〇は憂いを帯びた顔をして話を続けた
『向こうに行って元気になった私の姿も見せてあげる』
元気になる前提で話を進めるのもコイツらしい
…一気に痩せていく姿を見て誤魔化せるはずもなく 誰がどう見ても彼女は病気だった
きっと〇〇の親は自然の空気を吸わせたかったんだろう
「オレも協力してたつもりだったんだけどな〜…」
『少しでも病気の進行を遅らせるために指を動かすゲームを一緒にしてくれてたんでしょ?』
「バレてたか」
このまま時間が止まれば〇〇の病気はこれ以上酷くならないのにな〜なんて叶わないことを願っていた
しかし無慈悲にも時は進んで一人ぼっちでコントローラーを握っていた
「つまんねぇよ……」
ボソッと呟いて 会えるはずなのに既に寂しくて
距離が遠いだけ、遠いだけ と頭の中で何度も唱える
身体が動くのは早かった
気がついた時にはいつもは行かない図書室に入って〇〇が言っていた〝ピンク色の花が咲いている木〟を探していた
これも違う これも違う 色んな本を取り出してはまたしまう
「これか……!」
聞いた通り写真に映るその花はとても綺麗で、だけど大きくて、まるで〇〇のような儚さがあった。
そして次の日、引越しの前日に貰った住所が書かれた紙を握りしめ、オレは里を出た。
─────────────────
『本当、周りなんもないな〜…』
あるのは生い茂った草と〝あの日〟の木
カラカラと慣れない手つきで車椅子を自分で動かす 目を瞑って
『次はいつ会えるかな……』
ボソッと呟いて 会えるはずなのに既に寂しくて
「だけどその会いたいと思ってる悪魔が目の前にいたらどうする?」
驚いて目をパッと開けた あの日の木をバックに決めゼリフを言う
あぁ、私たち思ってることは同じだったんだ。
「この木、桜って言うんだってよ」
『桜…』
知らなかったな そもそも名前を知ろうとしなかった だって、
「オレが調べてくるって分かってたからだろ?」
『も〜心読まないで…!』
「そんな試すようなことしなくてもいいのにさ」
『私の事なんてすぐ忘れちゃうと思ってたから』
「じゃあ忘れちゃわないようにこれから一緒に思い出作りしてこうぜ!」
元気に話しかけてくれる彼のことが愛おしくてたまらなかった
これも桜のせいかもしれない
カラカラと慣れない手つきで車椅子を動かしてくれるベルゼを見て
このまま時が止まればいいのにな なんて叶わないことを私は願っていた
END
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