夢主喋ります!苦手な方は注意してください
SL短編夢
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「〇〇〜」
幼い声が病室に響き渡る
「なんだ?まだ飯食ってなかったのか?」
私は不治の病に侵されて見た目も体力も一気に衰え、まるで老人のような姿になってしまった。
最近、目は霞んできて文字はよく見えないし
記憶も曖昧になってきて ついさっきなんて看護師さんの名前を忘れてしまった
手もしわしわで 本当に老人になってしまったみたいで嫌だなぁ まだ生きたいなぁ…
「いいからスープだけでも飲めよ 本当に死んじまうぞ?」
病室に置いてある椅子を手で引き寄せ座り、私にそう話しかけてくるのは悪魔の王子。
『ご飯が喉を通らなくて…食欲も落ちてきちゃってさ…はは…』
「なに弱気になってんだ 〇〇らしくねーの…」
看護師さんが置いていったお昼ご飯が目の前にある スープからは湯気がたち、人参をすり潰したサラダ…?には申し訳程度のグリーンピースが上に乗っかっている これが私が食べる毎日の食事
「ほら、あーん」
王子は私の口にすり潰された人参を近づける
私は、しょうがないか…という顔をし渋々人参を喉に通す
「なんかあんまり美味しくなさそうな料理だな……」
『もうすぐ死ぬ人間が食べれるものなんて限られてるよ』
「そっ、か」
王子が発する言葉が少し詰まったのを感じながら私は話を続けた
『…私、1週間後にはもう死んじゃうと思うんだ』
その言葉を皮切りに私は医者から伝えられたことを全て王子に話した
脳の機能が著しく低下していっていること
そのせいで記憶のピースがどんどんはまらなくなっていってること
そして最期は脳の動きが完全に停止して死に至ること。
「……」
『だからその…もう私に会いに来なくていいよ』
『こんな状態になってから私に会いに来る人はいなかった…だから王子が毎日お見舞いに来てくれることが本当に嬉しかった』
『だけど、きっと王子のことも忘れちゃうから……』
「うるせーな」
言葉を遮るように吐き捨てた言葉は少し震えていた
「オレ、難しいことはわかんねぇけどなんか…今までのことは全部忘れちゃうんだろ?じゃあ忘れるまでの間は会いに行ってもいいよな?」
その発言に私は驚いた
入院して、この姿になってからは家族や友達からも見捨てられ もう回復の兆しは無いって 自分でも絶望していたのに
なのに…ここまで自分に関心を持ってくれていたことに。
衝撃的な1日を過ごした後に思った
『遺書…書いてみようかな』
書いたとしても誰にも渡らずそのまま捨てられることがわかっていたから今まではペンを持つことすらしてなかったけれど
私には渡すべき人が出来たから
〜翌日〜
「よーっ」
病室のドアをバンッと開けいつも通り軽く手を挙げて挨拶をする
『王子…』
今日も来てくれたんだ、と私は安心した。
「よかった まだオレのことは忘れてなかったか あと呼び方はベルゼでいーよ」
『ふふっ…』
「あ?何笑ってんだよ」
2人同時に安堵したことがなんだか面白くてつい笑ってしまった
「今日はおみやげがあるんだ 見てこれ!めっちゃ綺麗なリンゴだろ?」
そう言いベルゼは私につやつやしたリンゴを2個差し出してきた
「おっさんから貰ったんだ!魔物の里の皆にって渡されたんだけど〇〇にも食べて欲しかったから」
『ありがとう でもどうやって食べるの?』
「……丸かじり?」
私はまたふふっと笑いベルゼに包丁を棚から持ってくるように頼んだ
「なんか分かりにくいところに入ってたぞ 隠してんのか?」
『だって包丁なんか持ってること知られたら没収されちゃうもん』
「ふーん…そういうもんなのか」
そんな会話をしながらスッスッとリンゴの皮を剥き、シャリシャリと食べやすい大きさにカットしていく ベットの隣にある棚からお皿を取りだしてそこに並べる
自分で言うのもなんだがこういう作業は得意分野だ
…まぁ、包丁の使い方を教えてもらった母にもう会うことは無いけれど
「おー!すげー!お前こういうこと出来たんだな!」
『確かに私が料理してる姿見せたこと無かったね』
「オレが毎回魔物の里に呼んでたからな」
ベルゼはうめー!と言いながらリンゴをばくばく口に放り込んでいく
私もそのスピードで食べれたらなぁ…と落ち込みながらリンゴをひと欠片噛んだ
「うまい?」
『美味しいよ』
「へへ、おっさんにも伝えておく!」
この無邪気な笑顔に何度救われたことか
この日は楽しい気分のまま終わった
……明日、私がどうなってるか 自分でも分からないから死ぬまでの瞬間を噛み締めていく そう決めた
〜翌日〜
今日も〇〇んとこ行くか〜と起きた瞬間に思った
飯食って、勉強してから支度して ダッシュで町外れの病院に向かった
「よっ!」
『…?』
〇〇が少しの間止まっていたことに嫌な予感がした
『……!ベルゼ』
「っ…〇〇、今日はちゃんと昼飯食べれたのか?」
〝いつも通り〟それを崩さないよう無理やりテンションを戻した ちょっとだけ表情が暗くなっちゃったのは反省だな…
『さっき、看護師さんが食器を持って行ってくれたんだけど ちょっとだけご飯残しちゃった…』
「そんな落ち込むなって!そういうこともあるだろ」
『うん……あっ、そういえば今日渡したいものがあって…』
「え、なに?」
〇〇はゴソゴソと枕の下を探った
これ!という声と同時に目の前に現れたのは表に〝遺書〟と書かれた1枚の手紙だった
「…んだこれ……」
オレが遺書を受け取ると〇〇は再び喋りだした
『その手紙、呼んだら破り捨ててほしいんだ』
「は?なんでだよ」
『恥ずかしいから…さ』
なんてふざけたこと言うもんだから余計中身が気になってきた
「もう今見ていいか?」
『だめだめだめ!私が死んでからにしてよ…!』
からかいながら楽しく過ごした
でも次の日〇〇は予定より早くこの世を去った
それを知ったのはいつもより遅い夕方に会いに行った時、窓から人間が数人見えたからだ。
〇〇に会いにいく人なんていないと思っていたから興味が湧いて窓から覗いて見た
病室には二人立っていてベッドにはなんの反応も無い〇〇がそこには居た
全てを察し
「オレがいつもより遅い時間に会いに行ったから間に合わなかったんだ…!」
と歯を食いしばりながら自然と身体の力が抜けてしゃがみこんだ 何も考えられない
「……とりあえず帰るか」
気を取り直して、なんて出来ないけど里にゆっくりと歩いていった
道中 〇〇と過ごした日々の記憶を辿ってみた
初めて会った日のこと ゲームで〇〇が負けた日のこと 喧嘩した日のこと 〇〇が入院した日のこと
考えたらオレたちって出会って1年も経ってなかった、1人の人間にここまで心揺さぶられるなんて思ってもいなかった
「あ」
そういや昨日〇〇から遺書貰ったんだった アイツが最後に遺してくれたもの
思い出すとすぐさま脚を早く動かして自分の部屋にダッシュで戻ってきた
「はぁっ…はぁっ…」
息切れをしながらも遺書の紙を開いた
『もっと王子と一緒に過ごしたかったです 色んな場所に行って、色んな景色を見て、色んなものを食べたりして…こんな気持ちになったのは久しぶりです
王子のおかげで毎日が楽しくて こんな私でも愛してくれる人がいる、とっても嬉しかった。
だから、私が居なくなってからも私の分まで幸せになってね 大好きです。』
何でコイツは最後までオレのことばっか考えてんだよ
「これじゃまるでラブレターだな」
ははっ、と笑ったはずなのに口角は全然上がっていなかったし目が熱くてたまらなかった
─────────────────
〇〇の死後〝悪魔が人間の魂を抜き取った〟
なんて噂がたったらしいけどオレそんなことしてねーし!てか出来ねーし!
ま、どうでもいいかそんなこと
「あー随分遠くまで来たな〜」
腕をめいいっぱい上にあげて伸びをした
「次はどこに行く?〇〇」
フォレストランドの海を見ながらそう語りかけた
END
幼い声が病室に響き渡る
「なんだ?まだ飯食ってなかったのか?」
私は不治の病に侵されて見た目も体力も一気に衰え、まるで老人のような姿になってしまった。
最近、目は霞んできて文字はよく見えないし
記憶も曖昧になってきて ついさっきなんて看護師さんの名前を忘れてしまった
手もしわしわで 本当に老人になってしまったみたいで嫌だなぁ まだ生きたいなぁ…
「いいからスープだけでも飲めよ 本当に死んじまうぞ?」
病室に置いてある椅子を手で引き寄せ座り、私にそう話しかけてくるのは悪魔の王子。
『ご飯が喉を通らなくて…食欲も落ちてきちゃってさ…はは…』
「なに弱気になってんだ 〇〇らしくねーの…」
看護師さんが置いていったお昼ご飯が目の前にある スープからは湯気がたち、人参をすり潰したサラダ…?には申し訳程度のグリーンピースが上に乗っかっている これが私が食べる毎日の食事
「ほら、あーん」
王子は私の口にすり潰された人参を近づける
私は、しょうがないか…という顔をし渋々人参を喉に通す
「なんかあんまり美味しくなさそうな料理だな……」
『もうすぐ死ぬ人間が食べれるものなんて限られてるよ』
「そっ、か」
王子が発する言葉が少し詰まったのを感じながら私は話を続けた
『…私、1週間後にはもう死んじゃうと思うんだ』
その言葉を皮切りに私は医者から伝えられたことを全て王子に話した
脳の機能が著しく低下していっていること
そのせいで記憶のピースがどんどんはまらなくなっていってること
そして最期は脳の動きが完全に停止して死に至ること。
「……」
『だからその…もう私に会いに来なくていいよ』
『こんな状態になってから私に会いに来る人はいなかった…だから王子が毎日お見舞いに来てくれることが本当に嬉しかった』
『だけど、きっと王子のことも忘れちゃうから……』
「うるせーな」
言葉を遮るように吐き捨てた言葉は少し震えていた
「オレ、難しいことはわかんねぇけどなんか…今までのことは全部忘れちゃうんだろ?じゃあ忘れるまでの間は会いに行ってもいいよな?」
その発言に私は驚いた
入院して、この姿になってからは家族や友達からも見捨てられ もう回復の兆しは無いって 自分でも絶望していたのに
なのに…ここまで自分に関心を持ってくれていたことに。
衝撃的な1日を過ごした後に思った
『遺書…書いてみようかな』
書いたとしても誰にも渡らずそのまま捨てられることがわかっていたから今まではペンを持つことすらしてなかったけれど
私には渡すべき人が出来たから
〜翌日〜
「よーっ」
病室のドアをバンッと開けいつも通り軽く手を挙げて挨拶をする
『王子…』
今日も来てくれたんだ、と私は安心した。
「よかった まだオレのことは忘れてなかったか あと呼び方はベルゼでいーよ」
『ふふっ…』
「あ?何笑ってんだよ」
2人同時に安堵したことがなんだか面白くてつい笑ってしまった
「今日はおみやげがあるんだ 見てこれ!めっちゃ綺麗なリンゴだろ?」
そう言いベルゼは私につやつやしたリンゴを2個差し出してきた
「おっさんから貰ったんだ!魔物の里の皆にって渡されたんだけど〇〇にも食べて欲しかったから」
『ありがとう でもどうやって食べるの?』
「……丸かじり?」
私はまたふふっと笑いベルゼに包丁を棚から持ってくるように頼んだ
「なんか分かりにくいところに入ってたぞ 隠してんのか?」
『だって包丁なんか持ってること知られたら没収されちゃうもん』
「ふーん…そういうもんなのか」
そんな会話をしながらスッスッとリンゴの皮を剥き、シャリシャリと食べやすい大きさにカットしていく ベットの隣にある棚からお皿を取りだしてそこに並べる
自分で言うのもなんだがこういう作業は得意分野だ
…まぁ、包丁の使い方を教えてもらった母にもう会うことは無いけれど
「おー!すげー!お前こういうこと出来たんだな!」
『確かに私が料理してる姿見せたこと無かったね』
「オレが毎回魔物の里に呼んでたからな」
ベルゼはうめー!と言いながらリンゴをばくばく口に放り込んでいく
私もそのスピードで食べれたらなぁ…と落ち込みながらリンゴをひと欠片噛んだ
「うまい?」
『美味しいよ』
「へへ、おっさんにも伝えておく!」
この無邪気な笑顔に何度救われたことか
この日は楽しい気分のまま終わった
……明日、私がどうなってるか 自分でも分からないから死ぬまでの瞬間を噛み締めていく そう決めた
〜翌日〜
今日も〇〇んとこ行くか〜と起きた瞬間に思った
飯食って、勉強してから支度して ダッシュで町外れの病院に向かった
「よっ!」
『…?』
〇〇が少しの間止まっていたことに嫌な予感がした
『……!ベルゼ』
「っ…〇〇、今日はちゃんと昼飯食べれたのか?」
〝いつも通り〟それを崩さないよう無理やりテンションを戻した ちょっとだけ表情が暗くなっちゃったのは反省だな…
『さっき、看護師さんが食器を持って行ってくれたんだけど ちょっとだけご飯残しちゃった…』
「そんな落ち込むなって!そういうこともあるだろ」
『うん……あっ、そういえば今日渡したいものがあって…』
「え、なに?」
〇〇はゴソゴソと枕の下を探った
これ!という声と同時に目の前に現れたのは表に〝遺書〟と書かれた1枚の手紙だった
「…んだこれ……」
オレが遺書を受け取ると〇〇は再び喋りだした
『その手紙、呼んだら破り捨ててほしいんだ』
「は?なんでだよ」
『恥ずかしいから…さ』
なんてふざけたこと言うもんだから余計中身が気になってきた
「もう今見ていいか?」
『だめだめだめ!私が死んでからにしてよ…!』
からかいながら楽しく過ごした
でも次の日〇〇は予定より早くこの世を去った
それを知ったのはいつもより遅い夕方に会いに行った時、窓から人間が数人見えたからだ。
〇〇に会いにいく人なんていないと思っていたから興味が湧いて窓から覗いて見た
病室には二人立っていてベッドにはなんの反応も無い〇〇がそこには居た
全てを察し
「オレがいつもより遅い時間に会いに行ったから間に合わなかったんだ…!」
と歯を食いしばりながら自然と身体の力が抜けてしゃがみこんだ 何も考えられない
「……とりあえず帰るか」
気を取り直して、なんて出来ないけど里にゆっくりと歩いていった
道中 〇〇と過ごした日々の記憶を辿ってみた
初めて会った日のこと ゲームで〇〇が負けた日のこと 喧嘩した日のこと 〇〇が入院した日のこと
考えたらオレたちって出会って1年も経ってなかった、1人の人間にここまで心揺さぶられるなんて思ってもいなかった
「あ」
そういや昨日〇〇から遺書貰ったんだった アイツが最後に遺してくれたもの
思い出すとすぐさま脚を早く動かして自分の部屋にダッシュで戻ってきた
「はぁっ…はぁっ…」
息切れをしながらも遺書の紙を開いた
『もっと王子と一緒に過ごしたかったです 色んな場所に行って、色んな景色を見て、色んなものを食べたりして…こんな気持ちになったのは久しぶりです
王子のおかげで毎日が楽しくて こんな私でも愛してくれる人がいる、とっても嬉しかった。
だから、私が居なくなってからも私の分まで幸せになってね 大好きです。』
何でコイツは最後までオレのことばっか考えてんだよ
「これじゃまるでラブレターだな」
ははっ、と笑ったはずなのに口角は全然上がっていなかったし目が熱くてたまらなかった
─────────────────
〇〇の死後〝悪魔が人間の魂を抜き取った〟
なんて噂がたったらしいけどオレそんなことしてねーし!てか出来ねーし!
ま、どうでもいいかそんなこと
「あー随分遠くまで来たな〜」
腕をめいいっぱい上にあげて伸びをした
「次はどこに行く?〇〇」
フォレストランドの海を見ながらそう語りかけた
END