短編
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舞園さんハピバ!&七夕記念。
平和な世界線での七夕のお話しです。
※百合夢です。
【舞園さやかの場合】
「舞園さん!」
10分前に待ち合わせ場所に着いたのに、そこには既に舞園さんがいた。
もう夜遅いので人通りもなく、人気アイドルの舞園さんがファンの人達に囲まれてしまっていることもなかったようで安心した。
舞園さんと出掛けるのは実は今日が初めてだったりする。
クラスでは結構話しをするほうだとは思うけれど…アイドルの彼女を前にすると未だに緊張してしまう。
私服の舞園さんはフリルと水色のリボンのついた白いワンピースを着ていていつもストレートな髪は緩くウェーブがかっていた。当然可愛い。
ただの街灯の下に立っているだけなのにステージでスポットライトを浴びているかのように彼女の周りがキラキラして見える。
「お待たせしました。待った?」
「いえ!全然!それに苗字さんを待つ時間も楽しかったですよ」
笑う彼女にクラクラする。
そもそもなんで私と舞園さんが七夕に2人で会っているのかというと、先日学校でもうすぐ七夕だね~と前の席の舞園さんに話しを振ったのが切っ掛けであった。
舞園さんが丁度夜はオフなんです。と言った流れで私がじゃあ一緒に星でも見ない?と誘ったらなんとOKされてしまった。
「苗字さん?」
「あ、ううん!行こっか」
顔を覗き込んできた舞園さんの綺麗な顔が、至近距離に。
私は慌てて目を逸らし、そう言って歩きだそうとすれば舞園さんに手を握られた。
「手、繋いで行きましょう?」
「い、いいですよ?」
「ふふっ。わたしの敬語、うつっちゃいましたか?」
ニコニコ笑う舞園さんに私はドギマギしつつ歩き出した。
「上見てください。……綺麗ですね」
「あ、ほんとだ!綺麗…」
歩きながら見上げれば空は満点の星空。
明日朝から仕事の舞園さんと遠出は出来ないから、近場でお散歩しながら星を見ようという話しだったけれど、綺麗に星空が見えてよかった…。
「苗字さん。今日、誘ってくれてありがとうございます。わたし、とても嬉しくて今日を楽しみにお仕事や勉強を頑張れました」
「……舞園さん」
空を見上げたままの彼女の横顔はやはり、整っている。綺麗な瞳にうつる星空がとても綺麗。
するとふと舞園さんが目を閉じて口を動かした。
「どうかさん苗字ともっと仲良くなれますように…」
「へっ?」
「ふふっ。七夕のわたしのお願いごとです」
「わ、私も舞園さんともっと仲良くなりたい…!」
舞園さんがそう思ってくれていたことが嬉しくて声が弾んだ。きっと私の顔は今緩みきってしまっていると思う。
「本当ですか?嬉しいです!…けど、わたしの仲良くなりたいと苗字さんの仲良くなりたいは違う意味だと思いますよ」
「…え?」
「なんでもないです!これから攻めていくので覚悟してて下さいね?」
「う、うん?」
「ふふっ」
意味はよく分からないけれど舞園さんが楽しそうだし、星空は綺麗だから良しとした。
夜の道を舞園さんと手を繋ぎながら歩いている。こんな贅沢が出来ていることに、感謝した。
【罪木蜜柑の場合】
「あ…」
夜にコテージから抜け出して星を見に行こうと海まで行くとそこには先客がいて私は少し驚く。
罪木蜜柑さん。超高校級の保健委員である彼女は健康的な生活を心掛け、早く眠りについて早く起きそうだと思っていたから彼女が夜の海にいることが意外だったのだ。
みんなと仲良く修学旅行をしている(といってもウサミに拉致されたようなものだけど)今でさえネガティブ思考で、過去にいじめられていたという彼女が夜の海辺に1人佇んでいるというなんだか危なげな光景に私は思わず駆け出して罪木さんの腕を掴んだ。
「ひゃあ!?」
「あ、驚かせてごめん。罪木さんここで何してるの?」
「えっ!苗字さん!?」
何故だか罪木さんが私の名前を言いながら大きく仰け反った。
私はそれが気になって口を開こうとしたら罪木さんはぎゅっと私に抱きついてきた。
「そ、そっか、これは夢ですねぇ…!だって苗字さんが今ここに来るなんてタイミングが良すぎですし、そ、そうに決まってますぅ。えへ、えへへ…」
罪木さんは今私とここにいることを夢と認識したのか、私に抱きついて擦り寄ってきた。
私はこのおかしな状況にただ呆然としてされるがままだ。
まぁ、別に悪いことをされているわけじゃないしいいかなという考えではある。ただ、誤解したままなのは彼女が可哀想なのでそろそろ伝えたい。
「あのね、罪木さ」
「夢の中でまで苗字さんに会いたいって願ってしまうなんて私、凄く[#da=21#]さんが好きなんですねぇ…」
「えっ…あ、あの、罪木さん!」
「好きです!私、ものすっごく苗字さんが大好きですぅ」
「え、えぇ!?」
ぎゅっと私から抱きついて離れない罪木さんの告白に私はお手上げだ。
好かれていることは嬉しいけれど、これを現実だと理解した時、彼女が平静でいられるのかということを思うと心配だ。
「七夕の私のお願いごとはたったひとつだけ…苗字さんとずっとずっと一緒に居られますようにですからねぇ」
頬を染めてそう言った彼女に私は星にそっと「どうか罪木さんが今の出来事全て現実だと気づきませんように」と強く願った。
にも関わらず…。
「おはよう。苗字。昨日の夜、海まで見に行くって言ってた天ノ川は見えたか?」
「えっ…?苗字さん昨日の夜、海に行ったんですか?じゃ、じゃあもしかしてあれは夢じゃ…」
「ひ、日向くんんんん」
罪木さんがマジで気づくまで3秒前。
【赤松楓の場合】
『今年こそ告白して付き合えますように!』
隣で短冊にお願いごとを書いていた楓ちゃんの短冊をこっそり覗いたらそう書いてあって、私は胸が苦しくなった。
楓ちゃん。好きな人いるんだ…。
クラスで一番仲の良い自信があったのに私は今この瞬間まで楓ちゃんに好きな人がいることを知らなかった。
私、楓ちゃんのこと好きなのに…。
『楓ちゃんのお願いごとが叶いますように』
自分でそう書いた短冊を見て苦い気持ちになる。
さっきまで確かにそう願っていたはずなのに、楓ちゃんのお願いごとを知ってしまった今となっては別である。
私には大好きな楓ちゃんが他の誰かと付き合って、笑いあって、手を繋いで、抱きしめあったりするのを応援することは出来ないから…。
そんな自分を心底酷いと思うけれど、でも楓ちゃんのことに関して私は心が狭くなってしまう。
「名前ちゃん」
「ど、どうしたの?」
「願いごと、何書いたの?」
「か、楓ちゃんこそ~」
知っているし、楓ちゃんの口から他の人が好きだという話しなんて本当は聞きたくないけれど。
「え、えっと…私のより名前ちゃんの願いごとだよ!うん!」
「?」
なんだか変なテンションで短冊を自分の背に隠した楓ちゃんの頬が赤い。
「私のは秘密だよ」
「え~!そんなこと言わないでよ…っと!」
「っ!?」
楓ちゃんが私に抱きついてきた。
私は衝撃のあまり固まり、あっさりと楓ちゃんに短冊を奪われてしまった。
「どれどれ~?」
ニヤニヤしながら短冊を見た楓ちゃんに私は慌てて取り返そうとしたけれど、次の瞬間楓ちゃんは真剣な顔で私を見た。
「これ、本当?私の願いごとが叶いますようにって…名前ちゃんそう思ってくれてる?」
「う、うん…」
観念して頷けば楓ちゃんは顔を綻ばせた。
心底嬉しそうに笑った顔に私の心臓が高鳴る。
――好きだなぁ。
「好きだよ」
「へっ?」
「私、名前ちゃんのことが好き。だから、私と付き合ってほしいな」
楓ちゃんが私に自分の書いた短冊を見せてくる。
そこには先程私が盗み見た時と変わらず『今年こそ告白して付き合えますように!』と書いてある。
それって…。
「ねぇ、まだ私の願いごと叶えばいいって思ってくれてるかな?」
「っ…うん、うん!私も楓ちゃんが好き。付き合ってください!」
「!!嬉しすぎだよ~!」
ぎゅっと楓ちゃんが私を抱きしめる。
その後、私たちは2人で新しい短冊を笹の葉のできる限り高い位置に飾った。
『ずっと仲良くいられますように』
それが今年の2人の願いごとだ。
