短編
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茉莉絵ちゃん、誕生日おめでとう!!(大遅刻)
※茉莉絵ちゃん視点です。#QP戦の少しあとぐらいの話。女部長←ここあちゃん要素出てきます。帰宅部夢主です。
「はぁ………」
ふとした時に思い返しては、重いため息が出てしまう。
寝ても覚めても私の頭を大部分を占めているのは、今現在部長と楽しそうにお話している苗字名前さん。同じクラスメイトの女の子。私の大切なお友だち。そして──
私の好きな人。
『あ!』
振り返った彼女が私に気づいて嬉しそうな顔で手を上げる。
『茉莉絵ちゃん!これから部長とクレープ食べに行くんだけど、一緒に行かないー?』
こちらに向かって真っ直ぐにそう言った彼女に返事をしようと開きかけた口を閉じる。
(部長と2人で話していたなら、2人で行ったほうがいいんじゃ……)
なんて思ってしまって、返事に迷ってしまう。モヤモヤと気持ち悪い感覚が胸に渦巻いて、はじめてのことに戸惑いが隠せない。顔に出てしまう。
「す、すみません。今日は少し用事があって…、また誘ってください!」
みっともない顔を見られたくなくて、ろくに会話も交わさずにその場を去る。自分で断って急いで逃げてしまったくせに今も部長と2人っきりな名前さんのことを思って苦しくなるなんて、こんなのどうしようもなく身勝手で我儘。
「げっ……天吹茉莉絵…って、なんで泣いてるのよ!?」
「山本さん…」
誰もいないと思って駆け込んだ教室でスマートフォンを弄っていた山本さんとばっちり目が合ってしまって、慌てて顔を逸らすも見られてしまったようで。
「……そんな反応されると気になるんだけどー。名前ちゃんと何かあったわけ?」
ぶんぶんと首を振る。違うんです。私が勝手に思い悩んでいるだけで…!だとか、名前さんは何も悪くないんです。とか言葉は頭に浮かんできているのに唇は閉ざされたままだった。
だって、そう言ってしまったら私が胸に抱いているこの気持ちがバレてしまう。綺麗なだけじゃないぐちゃぐちゃで汚さも混じったこの気持ちが。
「好きなんでしょ?隠さなくていいって。ここあにはバレバレだし」
「えっ。あの、どうして、わかったんですか?」
「えー……。まぁ確かに、他の人にはわからなかったかも?けど、ここあにはわかるよ。だって、ここあの好きな人、女の子だから」
「え。そう、なんですか…?」
「気づいてなかったの?」
鈍〜とおかしそうに笑う山本さんになんだか不思議な感じがした。思えば、山本さんとは同じクラスなのに何故かあまり話したことがなかった気がする。
私は少し迷った後にゆっくりと口を開いた。
「あの、山本さんはその人に好きだと伝えたんですか?」
「うん。伝えたよ?けど勘違いしないで。女同士だとか関係ないとか思わないよ。ここあはハニーが好きだけど相手が好きになってくれるかとわからないし。そう、言ってみないことにはね」
そう言って強気に笑った山本さんの表情は恋をしているんだとわかる素敵なものだった。
『見つけた!茉莉絵ちゃーん!』
「!」
教室を見回して私を見つけた名前さんが、パタパタと私に向かって走ってくる。その手にはクレープが2つ見え、少し抜けたところのある彼女がそれを落とさないかハラハラした。
『茉莉絵ちゃんとどうしてもクレープ食べたくて、持ってきちゃった』
「えっ!それは嬉しいんですけど、部長は…?」
『なんか、部長人気者だからいろんな人に囲まれちゃって、待たせるの悪いからって解散してきたんだ…』
そこで名前さんが山本さんに目を向ける。
その後ビクッと驚いた様子でわなわなと山本さんを見て身体を震わした名前さんは、何を思ったのか山本さんに頭を下げた。
『ごめんね!!茉莉絵ちゃんの用事ってここあちゃんと何か話とかだったりした……?』
「違うからっ!ここあはハニー一筋だし!……こほんっ。てわけだから、ここあもう行くね」
『へっ?』
「ハニーのとこ♡それじゃあ、2人はごゆっくり〜」
ヒラヒラと手を振って山本さんは弾むような軽い足取りで教室を出ていってしまった。
途端に山本さんの言葉に何か思うところがあったのか、それともただの気のせいか、嵐が去った後のような静けさに包まれた教室で名前さんと2人。
「…クレープのアイス、溶けちゃってますね……」
『あ、ほんとだ!早く食べよう…!』
名前さんが「どーぞ」と手渡してくれたクレープをそっと大事に受け取り、溶けて危うい部分から口に含んだ。
甘いバニラの味が口いっぱいに広がって、目の前で幸せそうな顔でクレープを頬張る名前さんを見て胸にも甘い何かが広がった。
「好きです」
『うん。私も好き』
「美味しいよね。ここのクレープ」と無邪気に笑う彼女の笑顔は可愛らしいけれど、この時は少し憎らしいと思ってしまって矛盾した感情を私はやっぱり持て余してしまう。
『好きだから、茉莉絵ちゃんと食べたかったんだ』
「っ!……嬉しいです。凄く」
名前さんの言動に一喜一憂して、振り回されて、はじめての感情に戸惑うことばかりだけれど。
でも、嫌じゃないから。
私はこの初恋を大事にしたいと思うのです。
※茉莉絵ちゃん視点です。#QP戦の少しあとぐらいの話。女部長←ここあちゃん要素出てきます。帰宅部夢主です。
「はぁ………」
ふとした時に思い返しては、重いため息が出てしまう。
寝ても覚めても私の頭を大部分を占めているのは、今現在部長と楽しそうにお話している苗字名前さん。同じクラスメイトの女の子。私の大切なお友だち。そして──
私の好きな人。
『あ!』
振り返った彼女が私に気づいて嬉しそうな顔で手を上げる。
『茉莉絵ちゃん!これから部長とクレープ食べに行くんだけど、一緒に行かないー?』
こちらに向かって真っ直ぐにそう言った彼女に返事をしようと開きかけた口を閉じる。
(部長と2人で話していたなら、2人で行ったほうがいいんじゃ……)
なんて思ってしまって、返事に迷ってしまう。モヤモヤと気持ち悪い感覚が胸に渦巻いて、はじめてのことに戸惑いが隠せない。顔に出てしまう。
「す、すみません。今日は少し用事があって…、また誘ってください!」
みっともない顔を見られたくなくて、ろくに会話も交わさずにその場を去る。自分で断って急いで逃げてしまったくせに今も部長と2人っきりな名前さんのことを思って苦しくなるなんて、こんなのどうしようもなく身勝手で我儘。
「げっ……天吹茉莉絵…って、なんで泣いてるのよ!?」
「山本さん…」
誰もいないと思って駆け込んだ教室でスマートフォンを弄っていた山本さんとばっちり目が合ってしまって、慌てて顔を逸らすも見られてしまったようで。
「……そんな反応されると気になるんだけどー。名前ちゃんと何かあったわけ?」
ぶんぶんと首を振る。違うんです。私が勝手に思い悩んでいるだけで…!だとか、名前さんは何も悪くないんです。とか言葉は頭に浮かんできているのに唇は閉ざされたままだった。
だって、そう言ってしまったら私が胸に抱いているこの気持ちがバレてしまう。綺麗なだけじゃないぐちゃぐちゃで汚さも混じったこの気持ちが。
「好きなんでしょ?隠さなくていいって。ここあにはバレバレだし」
「えっ。あの、どうして、わかったんですか?」
「えー……。まぁ確かに、他の人にはわからなかったかも?けど、ここあにはわかるよ。だって、ここあの好きな人、女の子だから」
「え。そう、なんですか…?」
「気づいてなかったの?」
鈍〜とおかしそうに笑う山本さんになんだか不思議な感じがした。思えば、山本さんとは同じクラスなのに何故かあまり話したことがなかった気がする。
私は少し迷った後にゆっくりと口を開いた。
「あの、山本さんはその人に好きだと伝えたんですか?」
「うん。伝えたよ?けど勘違いしないで。女同士だとか関係ないとか思わないよ。ここあはハニーが好きだけど相手が好きになってくれるかとわからないし。そう、言ってみないことにはね」
そう言って強気に笑った山本さんの表情は恋をしているんだとわかる素敵なものだった。
『見つけた!茉莉絵ちゃーん!』
「!」
教室を見回して私を見つけた名前さんが、パタパタと私に向かって走ってくる。その手にはクレープが2つ見え、少し抜けたところのある彼女がそれを落とさないかハラハラした。
『茉莉絵ちゃんとどうしてもクレープ食べたくて、持ってきちゃった』
「えっ!それは嬉しいんですけど、部長は…?」
『なんか、部長人気者だからいろんな人に囲まれちゃって、待たせるの悪いからって解散してきたんだ…』
そこで名前さんが山本さんに目を向ける。
その後ビクッと驚いた様子でわなわなと山本さんを見て身体を震わした名前さんは、何を思ったのか山本さんに頭を下げた。
『ごめんね!!茉莉絵ちゃんの用事ってここあちゃんと何か話とかだったりした……?』
「違うからっ!ここあはハニー一筋だし!……こほんっ。てわけだから、ここあもう行くね」
『へっ?』
「ハニーのとこ♡それじゃあ、2人はごゆっくり〜」
ヒラヒラと手を振って山本さんは弾むような軽い足取りで教室を出ていってしまった。
途端に山本さんの言葉に何か思うところがあったのか、それともただの気のせいか、嵐が去った後のような静けさに包まれた教室で名前さんと2人。
「…クレープのアイス、溶けちゃってますね……」
『あ、ほんとだ!早く食べよう…!』
名前さんが「どーぞ」と手渡してくれたクレープをそっと大事に受け取り、溶けて危うい部分から口に含んだ。
甘いバニラの味が口いっぱいに広がって、目の前で幸せそうな顔でクレープを頬張る名前さんを見て胸にも甘い何かが広がった。
「好きです」
『うん。私も好き』
「美味しいよね。ここのクレープ」と無邪気に笑う彼女の笑顔は可愛らしいけれど、この時は少し憎らしいと思ってしまって矛盾した感情を私はやっぱり持て余してしまう。
『好きだから、茉莉絵ちゃんと食べたかったんだ』
「っ!……嬉しいです。凄く」
名前さんの言動に一喜一憂して、振り回されて、はじめての感情に戸惑うことばかりだけれど。
でも、嫌じゃないから。
私はこの初恋を大事にしたいと思うのです。
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