短編
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ソーンさんお誕生日おめでとうございます!
※ただし、誕生日記念夢とは思えないほどクレイジーな内容です。色々注意。ソーンさんが好きなのは一凛ちゃんなのでそこを理解している方のみお読みください。
※ソーン視点。
メビウスは、皆を幸福にする為の世界。
どうしようもない現実に押し潰されそうな哀れな人々を救う素晴らしい世界。
── 本当に?
……μは心からそう思っているだろう。
あの子は、優しいから。
だけど、私は、…………僕は、違う。
この世界は、彼女のための世界。
【私】が存在し続ける為の唯一の世界だ。
「……っ、一凛…」
君の気持ちが知りたい。
何を考えていたのか、最期の瞬間……何を、誰を、思っていたのか…。
誰にも何もわからない。
……あいつなら、わかる?
いや、あいつにだってわかりっこない。わかってたまるものか。
最期に一凛を見捨てて、一人で死なせたあの男に、一凛を一番に想う僕が分からないことが分かるはずがない。だって、そうでないと、
そこでプツリと思考を止めて、空を仰ぐ。
雲ひとつない夜空に浮かぶ星々。
恐ろしいほどに綺麗なまん丸い月を見つめていた。
あの日、君がいなくなってしまった時から僕の時間は止まってしまった。
μに願って工事中のままになっているこの場所、ランドマークタワーの最上階。
不安定な鉄の足場の先に私は立っていた。
夜の街を一望できる絶景のロケーション。
もちろん、ここにいるのは夜景を楽しむためでは無いけれど。
『綺麗……』
「!……あなた、いつの間に…」
気付かぬうちに屋上に上がってきていた1人の少女がこちらを凝視している。
時刻はとっくに夜の12時を過ぎている。
そんな時間にここに来るやつなんて早々いないだろうと軽く考えていたが、失敗だった。
傍から見たら、制服の大人しそうで美人な女子高生が飛び降り自殺しようとしている図にしか見えないだろう。……いや、実際その通りなんだが。
佐竹笙悟ならともかく、事情を知らない奴に目撃されるのがよくないことはさすがにわかる。μに頼んで記憶を消してもらう手もあるにはあるが、なるべく負荷をかけるべきではない。μにも、目の前の見知らぬ少女にも。
私は足場を伝って歩き、扉の前で固まる少女へと何事も無かったかのように歩み寄った。
「こんばんは。あなたも夜景を見に?」
『……』
「……」
『……』
「…………聞こえなかったかしら?」
『はっ!ご、ごめんなさい。あんまりにも綺麗で、見惚れてしまってました』
変なやつ。
こんな時間にこの場所へ一人で来るのもそうだが、自殺志願者(仮)に対する反応がズレにズレまくっている。
普通は止めるとか、事情を問うとか、パニックになるとか、……逃げ出すとか、するだろうに。
『その、変だとは思うんですけど…』
「……」
大丈夫。もう充分変だから。
という言葉は飲み込んで目の前の少女の言葉を待つ。
その間、妙な胸騒ぎがした。
『あなたがこの世の人ではないように見えて……、まるで、吸血鬼みたいな』
「……は?」
『綺麗な漆黒の髪が風に靡いていて、暗闇で光る赤い瞳に、色白の綺麗な顔ですし……吸血鬼みたいと思って……って失礼ですよね。すみません』
最初は瞳をキラキラ輝かせていたのに、少女はみるみるうちに申し訳なさそうに縮こまった。
違う。別に怒ってもいないし、不快になっているわけじゃない。
ただ、身体が、心が震える。
そうじゃない。そんなはずがない。と頭では理解しつつも、そうであったらいい、そうであれ。と呪いにも似た願いがまともな思考能力を奪っていく。
「一凛…?」
突拍子の無い言動。
彼女であったなら、彼女ならこんな時間に出歩いているのも納得出来る。
一時、吸血鬼に憧れていた彼女なら、さっきの言葉も頷ける。
一凛なら、一凛であったなら──
「……僕はずっと、君に会いたかったんだ」
『え』
彼女が、驚いた顔で僕を見つめる。
僕は彼女がまた何処かへ……手の届かない遠くへ行ってしまわないように腕の中に閉じ込めた。
強く強く。もう二度と離れないように。
『ま、待ってください。誰かと勘違いしてるんじゃ……?』
「何言ってるの。僕が一凛を見間違うはずないでしょ?」
優しく笑いかけると、彼女は何故か身体を震わせた。
きっとまた僕をからかっているんだろう。
『わ、私は、一凛じゃ…』
「これからは、永遠に一緒だよ。一凛」
強く抱きしめれば彼女は何故が泣き出してしまった。
待ち望んでいた再会に感極まって、抱きしめる力が強すぎたからだろうか?
でも、もう離してあげれそうにない。
だって君は、目を離したらすぐ何処かへ消えてしまうだろう?
※ただし、誕生日記念夢とは思えないほどクレイジーな内容です。色々注意。ソーンさんが好きなのは一凛ちゃんなのでそこを理解している方のみお読みください。
※ソーン視点。
メビウスは、皆を幸福にする為の世界。
どうしようもない現実に押し潰されそうな哀れな人々を救う素晴らしい世界。
── 本当に?
……μは心からそう思っているだろう。
あの子は、優しいから。
だけど、私は、…………僕は、違う。
この世界は、彼女のための世界。
【私】が存在し続ける為の唯一の世界だ。
「……っ、一凛…」
君の気持ちが知りたい。
何を考えていたのか、最期の瞬間……何を、誰を、思っていたのか…。
誰にも何もわからない。
……あいつなら、わかる?
いや、あいつにだってわかりっこない。わかってたまるものか。
最期に一凛を見捨てて、一人で死なせたあの男に、一凛を一番に想う僕が分からないことが分かるはずがない。だって、そうでないと、
そこでプツリと思考を止めて、空を仰ぐ。
雲ひとつない夜空に浮かぶ星々。
恐ろしいほどに綺麗なまん丸い月を見つめていた。
あの日、君がいなくなってしまった時から僕の時間は止まってしまった。
μに願って工事中のままになっているこの場所、ランドマークタワーの最上階。
不安定な鉄の足場の先に私は立っていた。
夜の街を一望できる絶景のロケーション。
もちろん、ここにいるのは夜景を楽しむためでは無いけれど。
『綺麗……』
「!……あなた、いつの間に…」
気付かぬうちに屋上に上がってきていた1人の少女がこちらを凝視している。
時刻はとっくに夜の12時を過ぎている。
そんな時間にここに来るやつなんて早々いないだろうと軽く考えていたが、失敗だった。
傍から見たら、制服の大人しそうで美人な女子高生が飛び降り自殺しようとしている図にしか見えないだろう。……いや、実際その通りなんだが。
佐竹笙悟ならともかく、事情を知らない奴に目撃されるのがよくないことはさすがにわかる。μに頼んで記憶を消してもらう手もあるにはあるが、なるべく負荷をかけるべきではない。μにも、目の前の見知らぬ少女にも。
私は足場を伝って歩き、扉の前で固まる少女へと何事も無かったかのように歩み寄った。
「こんばんは。あなたも夜景を見に?」
『……』
「……」
『……』
「…………聞こえなかったかしら?」
『はっ!ご、ごめんなさい。あんまりにも綺麗で、見惚れてしまってました』
変なやつ。
こんな時間にこの場所へ一人で来るのもそうだが、自殺志願者(仮)に対する反応がズレにズレまくっている。
普通は止めるとか、事情を問うとか、パニックになるとか、……逃げ出すとか、するだろうに。
『その、変だとは思うんですけど…』
「……」
大丈夫。もう充分変だから。
という言葉は飲み込んで目の前の少女の言葉を待つ。
その間、妙な胸騒ぎがした。
『あなたがこの世の人ではないように見えて……、まるで、吸血鬼みたいな』
「……は?」
『綺麗な漆黒の髪が風に靡いていて、暗闇で光る赤い瞳に、色白の綺麗な顔ですし……吸血鬼みたいと思って……って失礼ですよね。すみません』
最初は瞳をキラキラ輝かせていたのに、少女はみるみるうちに申し訳なさそうに縮こまった。
違う。別に怒ってもいないし、不快になっているわけじゃない。
ただ、身体が、心が震える。
そうじゃない。そんなはずがない。と頭では理解しつつも、そうであったらいい、そうであれ。と呪いにも似た願いがまともな思考能力を奪っていく。
「一凛…?」
突拍子の無い言動。
彼女であったなら、彼女ならこんな時間に出歩いているのも納得出来る。
一時、吸血鬼に憧れていた彼女なら、さっきの言葉も頷ける。
一凛なら、一凛であったなら──
「……僕はずっと、君に会いたかったんだ」
『え』
彼女が、驚いた顔で僕を見つめる。
僕は彼女がまた何処かへ……手の届かない遠くへ行ってしまわないように腕の中に閉じ込めた。
強く強く。もう二度と離れないように。
『ま、待ってください。誰かと勘違いしてるんじゃ……?』
「何言ってるの。僕が一凛を見間違うはずないでしょ?」
優しく笑いかけると、彼女は何故か身体を震わせた。
きっとまた僕をからかっているんだろう。
『わ、私は、一凛じゃ…』
「これからは、永遠に一緒だよ。一凛」
強く抱きしめれば彼女は何故が泣き出してしまった。
待ち望んでいた再会に感極まって、抱きしめる力が強すぎたからだろうか?
でも、もう離してあげれそうにない。
だって君は、目を離したらすぐ何処かへ消えてしまうだろう?