雲雀さんと私の放送事故に巻き込まれた話


スタントマンとは、さまざまなスタントをこなす人物のこと。主に映像作品、舞台やイベントなどにおいて、高度かつ危険なシーンを専門に演じる人物を指す。女性のスタントマンはスタントウーマンと呼ばれる。また男女問わずスタントパーソン、スタントパフォーマーともいう。

某サイトより参照、私の夫でもある雲雀さんの職業のことである。

雲雀恭弥、年齢不明、血液型不明、体重不明、身長179センチ、誕生日5月5日

雲雀さんが公開しているプロフィールはこれだけだ。ほとんど不明だけどファンの間ではそこもまた魅力的、らしい。

私もそこまで詳しくないのだが、雲雀さんはがやっているのは主にボディースタントとカースタント。
最初、ヒーロースーツを着て爆破シーンとかやってるんですかと聞いたら、そっちじゃないと言われ簡単に説明してくれた。
雲雀さんがしているのは、戦う格闘シーンや爆発シーン、車同士をぶつけて壊したり車で家に飛び込んだりするアクションがほとんど、らしい。
らしいと言ったのは、雲雀さんがテレビや映画に映る場面では顔がみえないから。
まぁスタントマンだから当たり前と言っちゃ当たり前だ。

私と雲雀さんがお付き合いを初め、籍をいれてからそれなりの年月がたった。
私は昔と変わらず雲雀さんのことを雲雀さんと呼んでいて、なぜかと聞かれたらそれはもう雲雀さんは雲雀さんだからとしか言えない。

怪我しないかな、大丈夫かなと心配はつきないものの、雲雀さんはどんな危険な撮影も傷一つつかずに帰ってきてくれる。
むしろ、楽しそうに帰ってくるものだから拍子抜けしてしまう。
前に、なぜスタントマンの仕事をしようと思ったのかと聞いてみたことがある。
雲雀さんは、普段できないことを合法的にやれるのは堪らなく愉快だから、と答えた。
うーん、私にはよく分からないがそういうこと、らしい。

しかしここ最近はスタントマンとしてではなく、俳優としてテレビドラマや映画、モデルみたいに雑誌に出るようになってきた。

元々雲雀さんは眉目秀麗な顔立ちで、スラッと伸びた足も、切れ長な目も、どこを取っても感嘆の声を出したくなる。
ことの発端はプロデューサーのリボーンさんに目をつけられたから、らしい。
おい、アイツなかなかイケメンじゃねーか、顔出しさせようぜ、というのが最初、らしい。

むしろなぜ今まで誰も雲雀さんの美しさに気づかなかったのか、妻としては大分抗議したい気持ちでいっぱいだ。

雲雀さんが顔出しするようになってからはもうそれはそれは凄かった。
ファンクラブが瞬く間に立ち上がり、恋人にしたい男ナンバーワン、年代別イケメン俳優ナンバーワン、抱かれたい男ナンバーワンを勝ち取っていた。
ドラマも映画もちょい役でしか出ていないのに雲雀さんが映った瞬間視聴率が跳ね上がり、雑誌も小さいスナップ写真が一枚しか写っていないのに店頭から消えてしまう、という有り様だ。

雲雀さんは事務所から自分の写っている雑誌等を貰ってこないため、せっせと自分で買える範囲で購入している。
(在庫がなかったり、転売ヤーからしか買えないときは諦めている)

忙しい雲雀さんの様子を見て、私自身が決めたルールがある。

1、雲雀さんが疲れている時はゆっくり休んで貰う。
2、雲雀さんの仕事には絶対に口を挟まない。

雲雀さんも別に、私に助言を求めたり、弱音をこぼしたりすることもない。
妻としてこれで良いのかしら、なんて思って雲雀さんに聞いたことがある。

「雲雀さん、これで良いんでしょうかね?」
「相変わらず主語がないね、何?」
「あぁすみません、いや、雲雀さんと籍は入れましたけど、あんまり奥さんぽいこと出来てない気がして、、、」
「なにそれ、どう言う意味?」

ソファの上、私の太ももを枕にしていた雲雀さんは上半身を起こすと私の顔をじっと見てきた。
雲雀さんの長い足はソファから少しだけはみ出してしまっている。

「いや、なんだか雲雀さんのこと支えられてる気がしなくて。私も前と変わらず仕事が忙しいし」
「だったら仕事は辞めれば良い、僕の給料だけでも生活はできるんだから」
「いや、そこはまぁひとまず置いといて、、、。それに私、可愛くも美人でもないから」
「そんなこと気にしてるの?」
「そんなことって、そりゃ気にしますよ。雲雀さん最近、綺麗な女優さんと絡むこと多いから心配になっちゃいます」
「興味ないよ。見た目なんて金さえかければどうとでもなるからね」

そう言うと雲雀さんは私の太ももに頭を戻し、テレビを見始めた。
私も雲雀さんと同じようにテレビへと視線を向けると、雲雀さんは独り言のように呟く。

「それに僕は君の顔好きだよ。君の阿保面は見ていて飽きない」
「アホヅラって、、、」

ああそうですか、アホヅラですかと少しだけムッとしたが、まぁ雲雀さんが好きと言ってくれるなら良いかと気持ちを切り替える。
テレビを見ているとニュース番組からバラエティー番組へと切り替わっていた。
もうそんな時間かとソファの背もたれへ体を預け、DVDプレイヤーの録画機能をしらせるランプがついていることに安堵する。

バラエティー番組の司会をしている人が私の好きな俳優さんなのだ。
学生時代にドラマに出ている姿を見てから惹かれ、なんなら年齢を重ねた今現在の姿の方が好きだったりする。
とは言ったものの、雲雀さんのファンのような熱意はない。
彼の名をインターネットで調べ、テレビや映画に出る情報を調べるくらい。
はじめてドラマで見た彼は、表ではボサッとした会社員、しかしその裏では鍛えぬかれた体で闘う正義の味方だった。
ニコニコと優しい笑みを浮かべ、役柄とは違う雰囲気に戸惑いながらも、俳優さんってすごいなぁと改めて実感する。

「やっぱり格好いいなぁ、、、」
「君、本当に僕の顔好きだよね」
「あ、違います、雲雀さんのことじゃなくて。いや!雲雀さんも格好いいんですけど!」

思いっきり睨まれ慌てて訂正をする。
雲雀さんがテレビに映った彼に気づくと、面白くないと言う顔で眉間に皺を寄せる。

「あんな中年のどこがいいの」
「中年って、、、。確かに五十後半ですけど、若くみえますよね。筋肉も衰えてないし、それに愛妻家で有名なんですよ。きっとプライベートの姿も優しいんだろうなぁ」

私がそう言うと雲雀さんは馬鹿にしたようにハッと笑い、視線は彼に向けたまま、つらつらと言葉を続けた。

「どうせそんなものはテレビのイメージだけで、裏では金にものを言わせて女を侍らせ、番組プロデューサーの靴を舐めて、汚い金で酒を飲んで遊び歩いているに決まってるでしょ」
「え、雲雀さん会ったことあるんですか?」
「ないよ」

ないのか、ないのにその言い様か。
でも、芸能界という華やかな舞台の裏側には私が考えつかないような、何かどす黒いものが渦巻いているのかもしれない。

雲雀さんが顔出ししてから、いや、顔出しをする前から。
そんな重く暗い中を歩んでいるのかもしれないと思ったら堪らない気持ちになり、辛かったらお仕事辞めても大丈夫ですからねと、太ももの上にある雲雀さんの頭を撫でる。
でも雲雀さんにはいまいち伝わっていないみたいだった。

幼なじみから悲痛な声で電話がきたのは、そんなやり取りがあった数日後の昼下がり。
休みの日に溜まっていた洗濯物や部屋の片付けようとした時だ。

「頼むよ!ヒバリさんにバラエティー番組に出るように頼んでくれ!」

電話口からでも、幼なじみが頭を下げているのが伝わってきた。
バラエティー番組とはどういうことだ、初耳だと、動かしていた手を止めしっかりと話を聞くことにする。

「雲雀さんがバラエティー番組に?出るの?」
「今それを交渉しているところなんだよ!でもヒバリさんは興味ないって言って話も聞いてくれないんだ!」

雲雀さん、雲雀さんがバラエティー番組に。
頭の中で、クイズ番組に出ている雲雀さんや雛壇に座っている雲雀さん、料理を作る雲雀さんを想像してみるがなかなか上手くいかない。

「あのさ、逆に聞きたいんだけど、雲雀さんがバラエティー番組に出てる姿、想像できる?」

そう言うと幼なじみは黙ってしまった。
この間会った幼なじみの目の下には黒々とした隈があったことを思い出す。

「想像、できなくない?ちなみに私は想像できない」
「俺だって想像できないよ!でもリボーンのやつが!」
「あー、そういうこと、、、」

幼なじみでもある沢田綱吉はディレクターの仕事をしていた。
プロデューサーのリボーンさんに無理難題を言われ、胃をキリキリさせながらも、なんだかんだとできてしまって更に無茶振りをされる。
自分自身の首を絞めてしまっていることに、幼なじみは気づいていない。

「頼むよ!お前から頼んでくれればヒバリさん絶対でてくれるから!」
「えー、そんなことないと思うけど、、、」
「あるんだって!とにかく、頼んだから!」

ブツリと電話が切れてしまう。
幼なじみもリボーンさんに似てきたなぁと思いながら、どうしようかなぁと悩む。
今はひとまず洗濯物を干してしまおう、私は洗面所へと足を動かした。

その日の夜、仕事から帰ってきた雲雀さんとゆっくり過ごしていた時に、不意に雲雀さんの携帯が鳴る。
雲雀さんは名前を確認すると電話には出ずにそのまま携帯を裏返しに置いた。

「出なくて良いんですか?」
「良い、草食動物からだから」

ああと合点がつき、そうでしたかと短く返事をする。
草食動物というのは幼なじみのことであり、あだ名?の由来はわちゃわちゃと群れている姿が草食動物に見えたから、らしい。
確かに雲雀さんは大人数で過ごすことは好きではなく、会食や打ち上げなんかもあまり参加してこない。

昼間言っていたことについてかな、ごめんよ、まだなにも切り出せていないよと心の中で幼なじみに謝る。

「何の用事だったんですかね?」

敢えて知らない振りをして聞いてみることにした。

「下らない話だから良い」

恐らくバラエティー番組への出演のことを言っているだろう。
やっぱり難しいなぁ、雲雀さんのお仕事に口を挟まないのが私の主義だし。
心のなかで幼なじみに再度謝罪をし、雲雀さんのいれてくれたコーヒー牛乳を口に含む。
ふとダイニングの時計を見ると、私の好きな俳優さんが出演する番組の時間だった。
慌ててリビングの移動し、テレビの電源を入れる。
番組はまだ始まったばかりで、良かった間に合ったとそのままソファへ腰を下ろす。
雲雀さんもリビングへ移り、私がテレビへ釘付けになっている様子を見ると、またかと呆れたかのようにため息をつく。

「本当に、どこが良いんだか」
「昔から好きなんですもん。あ、今日はオールバックだ」

私は視線をテレビへ向けたまま雲雀さんに反論をする。
雲雀さんもソファへ座り、そのまま体を横に倒すと私の太ももへ頭を置く。
彼が出ている番組はこの間のものとは違うものだ。
どうやら彼に縁のある町でお買い物をし、町紹介をするというのがこの番組のコンセプトのようだった。
彼の友人や恩師、彼の行きつけの飲食店のおじいちゃんおばあちゃんが彼と話をし、番組は穏やかに進行していく。
そろそろ番組も終わるという時間、司会から話を振られ彼は番宣をはじめた。

「僕が司会をしている番組なんですけど、この度生放送が決定しました。いつもは一時間なんですけど、生放送では二時間半やらせてもらえます。これも応援してくださる皆様のおかげです、ぜひ楽しんでもらえたら嬉しいです」
「いやぁ、相変わらず腰が低い!謙虚でイケメンで演技も上手なんて、神様は不公平ですよ!」

大阪弁訛りの司会者はこのこのと、彼のことを茶化していた。
分かる分かる、演技も上手くて謙虚でイケメン、すごいなぁとテレビを見つめる。

「生放送かぁ、、、」

小さく呟いた私の声が聞こえたのだろう、雲雀さんからは寝っ転がったまま睨まれた。

「いや、ずっと頑張ってきたんだなぁと思って!ファンとして喜んでるだけですよ!」
「別に、なにも言ってないよ」

プイと顔をそらされたその顔は、いじけている子供のようだった。
雲雀さんの柔らかい髪の毛が少しだけくすぐったい。

「ドラマや映画以外の姿を見れるのは嬉しいもんなんですよ、ファンは」

雲雀さんは黙ったまま、私の話を聞いていた。

「雲雀さんのファンの人もきっとそう思ってますよ」

私がそう言うと雲雀さんはクルリとこちらへ顔をむけ、お互いが見つめ合う状態になる。

「君もかい?」
「私?私は、でもそうですね、テレビで雲雀さんが出てたら絶対見ちゃいますよ」

籍を入れているのにどういう意味だろうと思ったが、確かに雲雀さんがテレビに出てたら絶対にリアルタイムで見るし録画もするだろう。
雲雀さんが好きだからという気持ちと、怖いもの見たさの気持ちが半々だがそこは黙っておく。

ふーんそうとだけ答えると雲雀さんはニュース番組を見始め、何か考えている様子だった。
幼なじみから電話がきたのは、雲雀さんとそんな話をした数日後のことだ。
やばい、雲雀さんのバラエティー番組への出演のことか。
なにも話してないぞと思いながらも通話ボタンをおす。

「もしもし、あのさ、雲雀さんの件なんだけど」
「ありがとう!」

幼なじみから開口一番お礼を言われ、変な声が出てしまう。

「ヒバリさんに言ってくれたんだろう?ヒバリさん、バラエティー番組出てくれるって!さっき正式な返事がきたんだよ!」
「お、おん?そうなの?」
「そうなのって、頼んでくれたんだろう?じゃなきゃあのヒバリさんが出てくれるわけないよ~」

幼なじみは興奮している様子でペラペラと話し続け、その度に私に対してお礼を挟んでくる。
私が?雲雀さんに?いつ?いや、頼んだ覚えはこれっぽっちもなかった。

「そう言えば、雲雀さん何のバラエティー番組に出るの?」

していないことでお礼を言われるのはなんだか少しだけ不気味で、私は慌てて話を変える。
幼なじみは雲雀さんの出演する番組名と時間帯を教えくれた。

「生放送だし五分から十分ぐらいなんだけどさ、ヒバリさんその番組だったら出るって言ってくれて!向こうも承諾してくれたし助かったよ」

そう、雲雀さんが出演するバラエティー番組とは奇しくも私の好きな俳優が司会進行をつとめる生放送番組だった。

「そ、そうなんだ」
「これでリボーンにどやされなくてすむ!今度ちゃんとお礼するから!」

そう言うと幼なじみからの電話はブツリと切れてしまう。
そうか、あの雲雀さんがバラエティー番組に、、、。
その日は休みを取ってリアタイしよう、そう思いながらも取り敢えず目の前の仕事を終わらせてしまわなければと私は事務所へ戻った。

幼なじみからバラエティー番組に出るって聞きましたよと雲雀さんに言ったら、そう、もう聞いたのと短い返事が返ってくる。

「どういう内容でやるんですか?時間も限られてますよね?」
「対談形式」
「たいだん?」

雲雀さんはそれ以上のことは教えてくれなかった。
まぁ当日まで楽しみに待っていてくれということなのだろう。
私は大人しく放送日を待つことにした。

雲雀さんが生放送に出ることはどうやらトップシークレットのようで、テレビにも雑誌にもネットにもどこにも情報が上がっていない。
雲雀さんが生放送中に出てきたらどうなるのだろうか、きっとネットでは大騒ぎになるんだろうなぁと他人事のように考える。

そして放送当日。
お風呂に入り、一通りのスキンケアを終えた私はソファへ座りながら缶チューハイを飲んでいた。
一人で座るソファは何時もより広く感じて、真ん中にどかりと座ってみる。
ふふん、王様だ王様と気が少しだけ大きくなった。

テレビをつけるとお馴染みの音楽と共に番組がスタートした。
雲雀さんいつ頃出るのかな、最後の方に出るのかなとちびちび缶チューハイを飲みながら待つ。

「この後、ビックリする人が登場します。ぜひチャンネルはこのままで」

お、もしかして、と思いながらCMが終わるのを待つ。思った通り、雲雀さんが登場した。
私はSNSをやっていないため、後から知ったのだがネット上はだいぶざわついたらしい。
撮影場所は先程と変わり、司会進行をつとめる彼と雲雀さんしかおらず、二人はお互いに椅子に座った状況で挨拶を始めた。
なるほど、それで対談形式と言ったのかと納得し、確かにこれだったら群れてないですもんねと心の中で雲雀さんに話しかける。

「えー、なんとこの方が来てくれました!雲雀恭弥さんです!」
「どうも」

うわぁ、本当に雲雀さんだ、ちゃんとしてる!
思わず、授業参観を見に来た親の気持ちはこうなのかもしれないと、どきどきしてしまう。

「いやぁ、今をときめく雲雀恭弥さんが出てくれるなんて、、、。バラエティー番組には初めて出られると聞いたんですけどそうなんですか?」

番組は意外にも穏やかに進んでいく。
いやぁ眼福と言うのはこういうことなんだろうな。
最後の方は気分が良くなり缶チューハイをぐびぐび飲む。

「あの、最後に聞いても良いですか?」

彼は何時ものように謙虚正しく雲雀さんに質問をしようとしていた。
なんだろう、何を聞こうとしているんだろう?と画面に釘付けになる。

「どうしてこの番組に出ようと思ってくれたんですか?雲雀さんはあんまりこう言った番組には出ない印象が強かったものですから、、、」

確かにそれは雲雀さんのファンも、ファンじゃない人も不思議に思っていたことだろう。
現に私も不思議に思っていた。

雲雀さんは、あぁと言葉を発しそして、

「妻がこの番組のファンでね。それで出ようと思ったんだ」

スタジオが水を打ったかのようにシーンと静まり返る。
そうそう、妻がね、つまり私がね、この番組の、というか彼のファンだからね、って、、、。
えぇ!?雲雀さん結婚してること言っちゃった!?
言っても良いのか!?

「雲雀さん、ご結婚されていたんですか?」

話を続けようとした彼は少しだけ斜め下を見て、恐らくテロップに気づいたのだろう。
カメラに笑顔を向け、一旦CM入りますと言うとパッと画面が切り替わる。

明るい音楽が流れるのと同時に、私の携帯から着信音が流れた。
見るとそこには幼なじみの名前が記載されている。

「もしもし、、、」
「ちょっと、どういうことだよ!ヒバリさんが結婚してることはまだ公開してないことなのに!」
「いや、私にも分かんないよ!雲雀さんそんな話してなかったし!」
「こっちは電話が鳴り止まないし、ネットでもヒバリさんが妻帯者ってタイムラインがずっと流れてて、、、。あぁ~!リボーンにどやされる~!」
「そんな、私に言われても、、、」
「本当にそうだよな」

不意に幼なじみとは違う、低い落ち着いた声が聞こえてきた。

「リボーンさん!」
「気分を害して悪かったな、ダメツナは俺が締めておくから」
「いや、それはそこまで気にしてないと言うか、、、。でも大丈夫なんですか?雲雀さん結婚してるなんて言っちゃって」
「言っちまったもんはしょうがねぇからな。録画だったらどうとでも出来るが、ナマはどうしようもねぇ。まぁヒバリのことだからわざと狙ったんだろうけど」
「わざと?」

自分が妻帯者って言うことのメリットとは何だろうか?

「分からねぇのか?」
「いや、きっと近づいてくる女性が煩わしいとか、打ち上げに誘われるときの断り文句が言いやすくなるとか、そう言うことだと思います」

私がそう言うとリボーンさんは電話の向こう側で大笑いをしていた。

「お前、面白いな。ヒバリが気に入ったのが良く分かる。今度飲みにでも行こうぜ、それじゃあな」

リボーンさんとの電話が終わり、再度携帯の着信音が鳴り響く。
雲雀さんからだった。

もしもしと携帯を耳に当てると、少しだけお疲れ気味の雲雀さんの声が聞こえてきた。

「お疲れ様です」
「うん、終わったから今から帰るよ」

分かりました、待ってますと言い電話を切ろうとしたが、雲雀さんは電話を繋いだままだからそのまま待つことにする。

「どうだった?」

不意に雲雀さんから言われ、あぁ、雲雀さんがバラエティー番組に出ていたことかと素直に感想をのべる。

「やっぱり雲雀さんは格好いいなぁって思いながら見てましたよ。スーツも似合ってましたね」

シーンと沈黙、あれどうしたんだろうと携帯を耳から離し、少しだけ振ってみる。
電波が悪いのかと思ったがどうやら違うみたいだ、雲雀さんの声が聞こえてきて慌てて携帯を耳に戻す。

「僕と彼、どっちの方が格好良かった?」
「そんなの、雲雀さんに決まってるじゃないですか」

間髪入れずにそう答えると、いつになく上機嫌な雲雀さんの声が聞こえてきた。

「まぁ、分かりきったことだけどね」

それから数日後、雲雀さんのバラエティー番組への出演依頼が殺到した話しとか、私が好きな俳優さんに会えた話しとか、私とリボーンさんが一緒に飲みに行って雲雀さんがぶちギレた話しとか、機会があれば是非お話ししようと思う。
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